4年後
神の声によりティーテイムからお風呂回に変更になりました
「ふぅ」
湯舟にゆっくりと身体を沈める。ここ4年の間にいろいろとあった。『急性魔力欠乏症』は約1年ほどたったころに少しずつだが魔力が使えるようになり2年目の初めに完全に完治した。それまでは辺境伯にある騎士団のところで訓練をしたり屋敷内の雑用を手伝っていた。簡単な種火を生み出す魔法ですら魔道具に頼らないといけなかったが支えてくれる人も多かったので恩返しの分が増えた気分だ。三年目からは執事の仕事を手伝っている。いま入っているお風呂も本来なら3日に一度のところを自分の膨大な魔力で毎日入れるようになって感謝されている。財務が領地経営に口を出すことはないが回復魔法を使って激務を支えさせてもらっている。というより戦いも騎士団がいるし魔法も攻撃魔法の使い道なんてないしでここ一年で回復魔法の熟練度がかなりあがっている気がする…
もっとも大きな変化と言えばお嬢様に妹と弟ができたことだ。双子の難産だったので出産のときに部屋の外からエリアヒールの支援をさせてもらったがそのせいか信頼度がかなり高くなっているらしい。
「たのもー!」
「…お嬢様?いまは私が入ってるんですが?」
「気にしない!」
(漢らしい…)
そのこともあってか元々懐かれていたお嬢様との距離感がたまにおかしいことがある。多感な年頃だとおもうし子供に欲情なんてしないので別にいいのだが…10歳になりふくらみかけている胸に対しては目をそらしてしまう。ただ単に目のやり場に困るだけなのだが最近はその反応を楽しまれているような気がしてならない。とりあえず正面からくっつこうとするのを捕まえて背中から抱くような形に持っていく。普段は肩甲骨付近まである髪を上でまとめているのでうなじがいい感じに見えるな…
「はあ、そろそろ私は上がりますからね?」
「……」
返事がない。ただのお嬢様のようだ。来月には入学の予定なのにこの調子で大丈夫なんだろうか
「「おねーちゃーん!」」
声とともに小さい身体が二つ突撃してくる。空中にいる間に【クリーン】で身体をキレイにし優しくキャッチする。その流れで二人をお嬢様にパスし自分はそそくさと風呂場から脱出する。
そして脱衣所にたたずむメイド服の女性。どうやら今日のお嬢様たちのお着替え担当はメイド長だったらしい。
「止めてくださいよ…」
「お嬢様を止めることは不可能ですので。ちゃんと上がりそうなタイミングで呼んで上がりやすいようにマリ様とラル様を突入させたでしょう?」
「ありがとうございます…」
おかしい、お風呂に入ったはずなのにさらに疲れた様な気がする。うーん、最近ご褒美にデートの約束をさせられたり外堀を埋められてる気がする。好意はうれしいんだけど怪しいんだよね。双子が生まれて3週間くらいの真夜中に紋章官と鑑定士っぽい人が来てたし。襟元に王家に認められた刺繍が見えた気がするし。きっと暗かったから見間違えたんだろう。そもそも王都まで馬で2週間なんだ。王都まで双子の誕生の知らせが届いてからこっちに来たと想定しても早すぎる。休みなしで早馬とばさないと間に合わないペースだ。だからなんだか嫌な予感がするのも気のせいだ。気のせいなんだ。
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≪コンコン≫
ノックがされ返事をするまでもなく扉が開かれる。
「今日は一緒に寝る」
そう言ってベッドに入ってくる。
「珍しいですね?お嬢様と一緒に寝るのはマリー様とラル様が産まれてから初めてでは?」
なにかたくらみでもあるのかもしれない。いや悩みでもあるのかもしれない。いまおもえばお風呂の時もなにか言おうとしていたのかもしれない。
「タイガ…」
「はい、お嬢様。どうしましたか?」
「いまは眼鏡を外してるでしょ?なら執事じゃないんだから名前で呼んで」
ああ、しまった。自分はそこまでキッチリとした性格ではない。意識的にスイッチするために仕事中は眼鏡をかけているのだ(他にも理由はあるが)
眼鏡をかけてる俺って出来る男っぽくない?(キリリッ)
これがうまくいっているから不思議だ。形から入るって大事だな。
「コホン。ミリー?どうしたんですか?」
なるべく優しく声をかける。
「なんでもない。おやすみなさい」
そう言って懐いてしまった。難しい年ごろなんだろうか?それでも手をつないでから寝るお嬢様ほんとかわいい
「ふむ、ちょっと試してみるか」
スキル【夢渡り】発動。冒険者時代に夢魔を倒して得たスキルだが『ぐっすり眠れる』『夢に介入できる』くらいしかできなくて死蔵していたスキルだ。双子が生まれたときに夜泣き対策で久々に使ったくらいだが難点として肌と肌が触れ合っている必要がある。
夢を繋げるとそこは一面の菜の花だった。
プロット段階:ティータイム中にお嬢様が突入してきてさらに双子の紹介もして…
神の声 :お風呂回にするのです
作者 :天が言うなら仕方がない
紋章官
名前通り紋章にかかわる役職。それ以外にも国の行事などとにかく記憶力が問われる職業。今回のみの登場なので「あ、なんか結構な立場の人が来てるな」くらいに覚えておけばOK
執事のメガネ
性格をスイッチするために作られた伊達眼鏡。デザイン的には聖杯ゲームのシグルドなイメージ。性格のスイッチは型月な赤色さんよりも殺せないセンセーのあの人のイメージ(あの人はメガネを外してスイッチするけど)
実際は冒険者時代の指輪や防具などで補っていた耐性や効果を補うために作られたもの。材料はフレームが龍王のウロコでレンズが龍王の水晶体をほんの少し削ったもの。素の防御力でもBランク程度の魔法なら傷つかない。鋼鉄のナイフをおもいっきり振り下ろせばナイフが欠けるレベル。そこにさらに魔法による強化・各種魔法耐性・魅了耐性・鑑定・鑑定阻害・隠蔽・疲労回復(眼疲労限定)と素材がよかったせいか諸々追加されている。それでいて鑑定阻害と隠蔽で鑑定結果が『じょうぶなめがね』と出る。やりすぎた…
ちょっとした裏話2
主人公はうなじが好き。だいたいうなじを至近距離で見せてればドキッとするチョロい。プリ〇キュアシリーズを全部みて全部のダンスを孫とひ孫と踊っていたアグレッシブおじいちゃんだったが好きなキャラはシャイニールミ〇スと断言するレベル。
関係ないが作者は鎖骨とスパッツ派なのでブラックが一番。主人公とは相容れないのだ…
マリー・サヴァテリア
お嬢様の妹。薄い金髪に濃いオレンジの瞳。命名は出産時の功績として主人公がつけることになった。由来はマリーゴールドのような瞳がキレイだとおもったから
実は初期プロットでは薄い金髪にエメラルドグリーン(調べると分かるがほぼ蒼眼)で光属性特化型(特に回復系)の魔法の才能を持つ設定だったんだが最近見た乙女ゲームの破滅フラグを回避しようとするアニメのマ〇アと被ってしまったので急遽変更。まあ大丈夫やろ。
愛称はマリー。もしくはマリ。
ラルス・サヴァテリア
お嬢様の弟。マリーとは産まれた順で弟になる。待望の男児。薄めの赤髪にエメラルドグリーンの瞳(マリーの元設定からヨイショした)。虫の観察&読書が好き。設定段階だが魔法・武術の才能がないかわりにテイマーの素質がある。
愛称はラル。




