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第2話 『現実との隔たり』

目の前に広がっていたのは森の景色。

先ほどの散歩道とは違い、補整されていない森といった方が表現は正しい。


「……っ」


先ほどの16:9の画角の映像とは違い、VR空間のような没入感。

だが、自分から動くことはできなかった。


「なるほど……あくまで映像なのか。」


先ほどのエルフの映像は誰かが録画か何かをして公開したものだろうと推察する。

映像だったのは少し残念だったが、

視線の主が歩き始めたのでとりあえず観察を続ける。

しばらく歩いていると一軒の小屋の前で立ち止まった。

小屋は木でできており、いかにも手作りといったような感じだ。

視線の主が小屋の戸を叩き、住人を呼びだす。


『シグ!いるかー!!』

『……。おい!今日の晩飯狩りに行くんだろ。シグーいないのかー!』


すると、小屋の戸からのっそりと一人の男性が顔を出す。


『ふぁ……ベルか。おはよう~』

『おはようってもう昼も過ぎてるぞ!今起きたのか』

『いやなんか眠くなっちゃって昼寝してた。狩りだよね。今準備するから中で待っててよ。」

『わかったー邪魔するぞー』


小屋に招き入れたシグと呼ばれる男性は長身に金髪二重。

眠そうな表情を抜きにしたら、顔は整っている。というかイケメンだ。

くそっイケメン爆発四散!


『ベル、今日は何を狩るの?』


顔を洗い終わったシグがタオルで顔を拭きながら質問をする。


『んーそうだなぁー何も決めてなかったな。あ、狩り競争しようぜ』

『えーまたー??ベル一度も勝てたことないでしょ?』

『うるせえな!今日こそは勝つんだよ!』

『ハハハ、期待しておくよ』


どうやらシグとベルは仲が良く、シグはベルより強いらしい。

けどお互いに敵対や嫌悪などは無く心から信頼しているような、そんな感じがした。


「いいな……いやっ」


羨ましくなんかない。それにどうせベルはシグの強さに嫉妬してるし、

シグもベルの弱さに優越感を感じるんだろ。

と、ここまで思って自分の性格の悪さに幻滅をする。


シグの身支度も終わり、そろそろ小屋を出発しようとしていた頃、

外へと繋がる戸を叩く音がした。


『シーグ―!!いるの~!』


『お、リルか?』

『そうみたいだね。』


そう言うとシグは扉を開け声の主である彼女を招き入れる。


『もう~!いるならさっさと開けてよね!』

『ごめんごめん。』

『リル何の用だ。またシグのことからかいに来たのか?』

『またってなによ!いつもシグの家に行ってるみたいに言わないで!』


プリプリと怒った表情をしている彼女リルは身長は150cmくらいかな?

華奢な身体つきをしており、こちらも顔が良い。

綺麗というか可愛いと言った印象で、八重歯なのがグッドポイント!!

髪はブラウン系のショートヘアー。胸は……おいベル!シグを見るな!リルを見ろ!

おーよしよし。胸は……うむ、そこそこと言ったところだな。よし。

後は性格だけど、この手の女子は嫉妬心とかすごそうだから、僕はパスだな。

なんか疲れそう。

謎の品評会をしている中でも話は続いていたが、それも終わったようだ。


『どうせシグが勝つに決まってるでしょ!ベルには無理無理』

『フン!言っとけ!今に見てろよ!』

『まぁまぁ早く行かないと夜になるよ。』

『じゃあいつものようにオレとシグ、どっちの獲物がデカいかはリルが判断するってことで!』

『うん、わかった。負けないよ』

『暗くならない内に帰ってきてね~!』


すると、ベルはリルの姿から振り返り、

シグと一緒に歩きだす。


『とりあえず、ブルグの木の根まで行こうか』

『そうだな。』


二人が雑談をしながら歩いているのを半ばボケーっと見ていた時、衝撃が走った。

【見て】いる方ではなく、現実の方だ。

痛みを感じた瞬間、アプリは強制終了し、目の前に現実が広がる。

そこには大柄な男性がいて、僕はその男にぶつかってしまった状況にあった。


「……ぁ」


「おい、何ぶつかってんだよ。あぁ?」


うわっ……その出だし昔昔のチンピラかよ。

って言ってもよかったが、僕は言わなかった。というか言えなかった。


「ぁ……あの、す」


「あぁ?なんだ??言いたいことがあるなら大きな声で喋れよ。こっちも暇じゃねぇんだ」

「あの……ごめ、ごめ……んなさ」

「早く言えよ」


突然顔に衝撃が走る。僕は殴られたのだ。殴られた拍子に体制が崩れ、

そのまま尻もちをつく。ジリジリと焼け付くような頬の痛みに手を押さえる。


「へ、へへ……す、すいません」

「っち。」


すると、男は忙しなく走り去った。

その姿を呆然と見つつ尻もちをついた体制から身体を起こし、尻についた土埃を払う。


「別に急いでんなら、僕のことなんか無視して行けばよかったのに、なんで殴るんだよ……くそぅ。いてぇ……」


もうマイアを起動する気分ではなくなった。完全に萎えた。

他のアプリも立ち上げる気もなく、この場からも逃げたくなったので、家に帰ることにしよう。

まだ熱を感じる頬を手で押さえながら、すっかり夕方になってしまった散歩道を

トボトボと歩いて帰る姿はとても寂しそうに【見え】たのだった。




謎の品評会ってしたことありません?

これ言うと確実に引かれるかもしれませんが、割としてたりしますね。

あぁ……男性は頷いてくれて、女性には引かれる未来が想像できる。


次あたりで人物紹介とかできたらいいですね!

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