表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/104

Part94 第一の試練


 翌日、時間を決めて再度ログインした俺たちは、ゲンメイの魔法によってやたら広い部屋へとワープしたのち、試練についての説明を聞くことになった。



「あなた方が挑むのは十の試練。その全てを達成することが出来れば、昨日見せた刀を差し上げましょう」


「十の試練ね……入門っていうからもっと色々あると思ってたんだけど、それだけで良いのかい?」


「ええ、本来ならば刀を手に入れるためには年単位の時間がかかります。しかしそれはあくまでも常人の場合。あなた方のような『死なない人間』には、死を前提とした試練によって短期間で獅尊流の真髄を叩き込めるのです」



 つまりは滅茶苦茶なスパルタ教育によって短期間で仕上げるということか。

 何気に、この世界の人間(NPC)がプレイヤーのことをどう認識しているのかという情報は初めて聞いたかもしれない。

 まあ確かに死んでも五分で復活するような奴らだからな。外見こそ同一だが、完全に別個の種族として扱われていてもおかしくは無いか。



「まァいいや、早く戦おう!」



 ドラ子が拳を突き上げて、意気揚々と宣言する。その手に握られていたのは、三、四メートルはありそうな程巨大な大太刀。

 大太刀と言うか、もう斬馬刀だろあれ。



「そうですね……何か質問はありますか?」


「刀以外の武器を使ってもいいのか?」


「問題はありませんが、出来れば刀を使って欲しいですね。少なくとも、刀で突破できないような試練はありません」


「なるほど」



 それならまあ、刀だけで戦ってみるか。

 今は普通に多腕機神の刃影(ヘカトンケイル)を装備しているので、どうしてもキツかったら別の武器に変形させるけどな。



「では、始めましょう。——第一の試練は臨機応変。即ち、あらゆる敵への適切な対処が求められます」



 ゲンメイが杖で床をトンと叩く。

 いつもの転移魔法の動作だったが、転移したのは俺たちでは無く——大量の魔物だった。



「キシャアアア!!」



 鳴き声をあげながらいち早く飛びかかってきた三つ首の大蛇をスカイグライドで後ろに滑ることで回避し、着地の隙を突いて太刀の一撃を浴びせる。

 次いで背後に現れた大型の蜂を振り返りざまに斬り伏せ、スカイグライドの勢いで回転しながら更に三体の魔物を斬った。


 どうやら、HPや防御力はさほど高くないらしい。

 初手で攻撃した大蛇は未だ生きているようだが、他は全て一撃で葬り去ることが出来た。

 とは言え、大蛇もHPは削れているだろう。

 何をされるかわからないし、早いうちに倒してしま——



「屈めェ!」


「!?」



 かかった声にほぼ反射的に膝を折ると、同時にゴウッと重い空気音が鳴り、なにかが俺の頭上をかすめて行った。

 地面に転がるようにしてその飛翔体の行く先を見る。

 凄まじい勢いで回転するそれは、蛇の首を斬り、石の魔物を砕き、その他諸々をなぎ倒しながら進み、最終的に壁に激突して凄まじい轟音を響かせた。



「よォし、首取った!」



 そう言って、ドラ子がガッツポーズをする。


 先ほどまで持っていた武器は無く、恐る恐る先ほどの轟音のもとを見てみれば、突き刺さっていたのはあの斬馬刀。

 つまり、身の丈の倍以上あった斬馬刀をあの勢いで投げたのか。滅茶苦茶過ぎるだろ……。


 一体どんなジョブなんだとステータスを見てみると、意外にも彼女は『剛天』という上級職に就いていた。

 剛天は侍系の上級職で、大太刀を使った強力な範囲攻撃が売りのジョブのため、ドラ子のプレイスタイル的にはそこまで間違っているわけではない。


 とはいえ、俺はもう少し特殊な職に就いているのだと思っていた。

 やってることの滅茶苦茶度合いで言えば、同じパワータイプのプレイヤーであるミーティアやウルフさんと同程度に感じたからだ。

 ミーティアは複合上級職で、ウルフさんは特殊職。

 だからこそ彼女もそうなのだと思っていたのだが……と、ここで俺は彼女のステータスにもう一つの項目が存在することに気づいた。



職業:剛天

加護:馘鬼(かっき)



 加護……?

 見慣れない項目に首をかしげる間も無く、魔物の攻撃が俺に迫り来る。

 他人を気にしている場合ではなかったな。

 そういえば、せっかく取った刀スキルを使うのを忘れていた。碧き森と違ってここでは問題なくスキルも使えるし、熟練度を上げるためにも使っておこう。


 素早く鬼の懐に入り込んで刀を突き刺し、スキルを発動する。



「《趯閃鉤刀(てきせんこうとう)》!!」



 勢いよく跳ね上げた刀は墨汁のようなエフェクトと共に鬼の身体を裂き、瞬時に光の粒子へと変換する。


 やっぱ墨のエフェクトはかっこいいな。

 刀スキルの中でもかなり強い方のスキルではあるが、取得の決め手となったのはこのかっこよさだ。

 どうやら「永字八法」という習字の技法を表したものが元ネタになっているらしく、その名の通り八つ存在する。


 俺が剣で使った《グラン・シャリオ》のように八つ揃えると発動する強力な攻撃もあるのだが、剣と違って刀のは奥義枠に指定されているらしく、俺には扱うことが出来ない。

 とはいえ、強力な攻撃には違いないので積極的に使って行くつもりだ。



「《磔血捺壊(たっけつだっかい)》!!」



 鳥の放つ火球を避けつつ進み、スキルを発動して人型の木を左上から袈裟斬りに。間髪入れず、マナステージングで二段階の跳躍をして鳥に肉薄、そのまま叩き落とす様に刀を振るう。


 よし、まあまあ上手くいったな。

 着地後、すぐに次なる敵に対応するための行動に写ろうとすると、もちのすけが声をかけて来た。



「君はスキルを上手く使うね。やっぱり残しておいて正解だったなぁ」



 沢山の魔物に囲まれてるのに結構余裕そうだ。

 ふよふよと宙を泳ぐクラゲの様な魔物が一切の物音を立てずに彼の背後に迫っているのだが、気づいているのだろうか。



「そりゃどうも。後ろ来てるぞ」


「うん、知ってる」



 もちのすけが答えるのと同時に、クラゲがその触手の数本を伸ばし、鋭く突いた。

 しかしそれらは全て虚しく空を捉え——一瞬のうちに高く跳躍していたもちのすけが、落下しながら刀を引き抜く。



「——《ミカダチ》」



 放たれた閃光が、クラゲやその他の魔物を区別なく貫いて行く。



「流石だな……」



 彼の強さは今この場においては頼もしかったが、いつかは戦わなくてはならないことを考えると、正直憂鬱にならざるを得なかった。


読まなくても大丈夫なジョブについての説明です。


一般的なジョブは初級職→中級職→上級職→最上級職と上がっていきます。

最上級職は難易度がしんどいので殆どいません。


また、上記の四つ以外に『複合上級職』と『特殊職』というものが存在します。

前者はGOODの特殊部隊員(グリーンスネイク)やミーティアのサヴェージ、後者はナツレンの冥幻闘士や御兎姫の血殺者(ブラッド)など。

複合上級職は複数の職業を習得することで転職できるようになるもので、特殊職は主にユニーククエストをクリアすることで転職可能になるものです。


強さで並べると、初級→中級→上級→複合上級→最上級となります。

特殊職の強さは様々で、例えばナツレンが最初に転職した「見習い冥幻闘士」のように中級職相当のジョブもあります。

それでも大体の特殊職は複合上級職相当です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ