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インタールード-3



□■□■□■□■□



 誰かがユニークモンスターを撃破したというアナウンスは、ヴォックソをプレイしていれば、頻度は高くなくとも誰もが一度は目にするものだ。

 発売から半年程経った今となっては、アナウンスに驚きこそすれ、その驚愕が後引くことはない。


 しかし、今回のそれは違った。

 今までのものとは明確に異なっていたからだ。




「おっ、アナウンスだ」


「ユニークモンスターか……俺も倒してえなあ」


「【わくわく星】が今ユニーク倒しに行ってるって噂あったよな」



 もはや恒例となったジングルの音が天から降り注ぎ、プレイヤーたちは空を見上げる。

 今度はどんなユニークモンスターが討伐されたのだろうか。

 名前から場所を推測してやろうとか、畜生また先を越されちまったとか、それぞれの思いは声に出さずとも表情からありありと見て取れたが、それらは次に流れたアナウンスによってピシリと固まってしまう。



[アルカナシナリオ 『原初の澱、悪魔の檻』が達成されました]


[それに伴い、ARCANA-XV『ネクロヴァージ』が大陸内に解放されます]



「……は?」



[達成者は『ミーティア』『八百万のチーズ牛丼』『御兎姫』『GOOD』『ナツレン』『ウルフさん』『幻水』の七名です]



 静寂はそれを理解した途端、一瞬のうちに驚愕へと変わる。



「アルカナシリーズって実装されてたの!?」


「【アルゴノーツ】と【イルミネーター】と【賢狼会】が手を組んでる……のか?」


「あれだろ、十クラン同盟ってやつ!」


「十三機関じゃなかったか?」


「トップクランの話は分かんねえ……ってかナツレンってあのナツレンか?」


「誰? 家に牛糞送られてた人だっけ」


「そいつじゃねーよ! ちょっと待ってろ、検索するから……ほら、このブログ」


「あー、なんか見覚えある。GEVOの人か」


「ってか、ミーティア様とウルフさんちゃんが共闘したのか!?」


「なんでまたファンクラブが乱闘に発展してんだよ! 誰か抑えろって!」


「おい【自警団】来てんじゃねーか!!」


「早く逃げろ!!!」



 驚愕は混沌に塗りつぶされ、人の注目はすぐに移り変わる。

 しかし、それでも。

 ナツレンたちによって生じた波紋は、すぐには消えそうになかった。




□■□■□■□■□




——[チャットルーム]——


System:[トリバードが御兎姫、スクリームを招待しました]


System:[御兎姫が入室しました]


御兎姫:なに


御兎姫:私、悪魔と戦ったばかりだから疲れてるんだけど


トリバード:快挙だよなあ。俺もいつかああやってアナウンスされたいよ


トリバード:まあそれは関係なくてな。大事な話があるんだ


System:[スクリームが入室しました]


スクリーム:修羅場ですか?


トリバード:違う!


トリバード:用事ってのはWeFのことだよ


トリバード:最終日の虎狼BSのメンバー、まだ決まってなかっただろ? 二人に任せたいんだ。


スクリーム:なるほどです


御兎姫:いいけど


御兎姫:ヒューマは?


トリバード:俺? もちろん出るぞ


スクリーム:じゃあこの三人で出るんですね


御兎姫:いや、4vs4だからもう一人要る


スクリーム:そうなんですか?


トリバード:ああ、それに関してはもう決めてるんだ。あとで説明するよ


トリバード:その前に、ちょっとこのチームに関する話をしたいんだ


スクリーム:?


トリバード:うちのチーム、ヴィルベルヴィンドには今リーダーがいない


トリバード:あの人が事実上の脱退を宣言したからな


御兎姫:リーダーでしょ、お前


トリバード:代理な


トリバード:それはどうでもいいんだ。ぶっちゃけうちはリーダーに導かれずとも勝手に突き進むような自分勝手の集まりだから、リーダーがいないってのは特に問題じゃない


トリバード:問題はあの人が抜けたことによる戦力の低下だ。すぐにでもあの人の代わりになるプレイヤーを探さないといけない


スクリーム:そうですね


御兎姫:そんな話するってことは、見つかったの?


トリバード:ああ


トリバード:詳しくは彼女に語ってもらおうか


System:[トリバードが幻水を招待しました]


System:[幻水が入室しました]


幻水:やっほー☆初めましての人は初めまして、そうじゃない人はこんにちは、どうも幻水でーす☆☆☆☆☆


スクリーム:はじめまして!


御兎姫:スパム?


幻水:御兎姫ちゃんは辛辣だねぇ


幻水:あ、ちなみに私が入るわけじゃないから安心してね☆


トリバード:幻水は腕は確かだが、言動が狂人のそれだからな。外面も気にしないといけない以上チームに入れるにはリスクが高い


幻水:おい☆ 直球で失礼だなあ?


トリバード:今回引き入れようと思っているプレイヤー


トリバード:それはナツレンだ


スクリーム:!


御兎姫:ん? スクリームも知ってるの?


スクリーム:ちょっと前にプロポーズされました!


御兎姫:は?


トリバード:修羅場はそっちだったか


トリバード:まあそれはどうでもいい


トリバード:ナツレンのゲームの腕はそれぞれ知ってるだろうから説明は省く。その上あいつは人前に出ることに慣れてるから、プロゲーマーとしてもやっていけるだろ


御兎姫:確かにそうだけど


御兎姫:でも前に断られたんじゃなかった?


トリバード:そこで幻水の出番だ


幻水:ナツレン君には踏み台にされた恨みもあるし、参謀として協力しちゃうよう☆


幻水:ナツレンくんは性格上、人の期待を裏切れない


幻水:つまり外堀を埋めるのが有効なんだよう


御兎姫:外堀……どうやって?


幻水:欠員が出たからとか、スペシャルゲストとか、理由はなんでもいいけどとにかくナツレンくんをWeFでヴィルベルヴィントチームとして戦わせるって作戦だねぇ


幻水:そうすれば外野が勝手に『ナツレンがヴィルベルヴィントに加入する』とか騒ぐじゃん? そうなったらこっちのもんだよう


スクリーム:でも、戦ってくれるんでしょうか?


幻水:まあ正面から行ったら断るだろうけど、そこは私がうまく騙しちゃうから平気平気☆☆☆


スクリーム:なるほど……


御兎姫:私は反対


御兎姫:無理やりは良くない


幻水:だよねぇ、御兎姫ちゃんは反対すると思ったよう


幻水:だから脅しちゃおっかなぁ


御兎姫:は?


幻水:[写真]


幻水:ナツレンくんに抱きかかえられてる時の御兎姫ちゃんです☆


御兎姫:お前


御兎姫:お前!!


スクリーム:凄く幸せそうな顔してますね


トリバード:メスの顔だな


御兎姫:ヒューマは後で殺す


幻水:もし御兎姫ちゃんが今回の作戦の内容をナツレンくんに言ったりした場合


幻水:この写真をココロアちゃんに見せるよぉ


トリバード:うわ洒落にならん。あいつマジ危険だからな


トリバード:下手したら俺もついでに殺されるわ


スクリーム:どんな人なんですか、それ……


御兎姫:……わかった。言う通りにする


幻水:素直でよろしいねぇ


幻水:それじゃあ作戦の説明をしちゃうよう。まずは私がナツレンくんに…………


…………


……


 


□■□■□■□■□




「成る程なあ……」

 

「ん? 珍しいね。如月くんがいないのに君が来てるなんて」


「あ、嶺さん。ちわっス」


「今日は休みだったはずだけど、何かミスでもあったのかな?」


「いや、そうじゃないんスけど、アルカナに動きがあったんで気になったんスよ」


「アルカナか。もう全て実装されてるんだっけ」


「今のところ実装されているのは、ストーリーで戦うのを除くと四体っスね。まあヲルド・ヴィは現段階では戦うことすらできないんで、実質リーサル・エクリプス、エシウィネップ、ネクロヴァージの三体だけっスけど」


「ふーん? ヲルド・ヴィってジェームズが作ってた気がするんだけど」


「お願いしたんスよ。そういうコンセプトっスからね。ちなみにそれ以外のアルカナシリーズも概ね完成してるんで、後はプレイヤー次第っス」


「他も同じような感じだな。思ったよりもプレイヤー達の成長が早いからどうしようかと思ったけど、これなら大丈夫そうだ」


「そのうちアプデっスからね。これでも大忙しっスよ」


「まあ、そこは頑張ってくれたまえー」


「はいはいっス……ん? 今日ってそもそも全員休みの日っスよね? 嶺さんっていつもいるんスか?」


「いや、今日は偶然だよ。『匣』を弄って特殊能力っぽく出来ないかなって思ってさ」


「……匣って弄れるんスか?」


「ぜーんぜん無理。ちょっとでも書き変えると動かなくなっちゃうし」


「自分で作ったものなのに……」


「偶然の産物だから、作ったのはカミサマだよ」


「嶺さんは無神論者だと思ってたんスけど」


「現行の宗教を信じてないだけで無神論者ではないよ。ところで、古市さんも来てるのかい?」


「俺が来た時には居ましたけど、さっき帰ったはずっスね。いつになく荒れてたんで話しかけはしなかったっスけど…………もしかして、またっスか」


「うん。もう実装までされちゃってる。見てこれ、ヤバくない?」


「うわ、ヤバくないっスかこれ。バランスはともかく、絶対混乱おきるっスよ」


「だよね〜。まあ、どうにもならなそうだったら運営の権限でなんとかしちゃうから、一先ずは放っておこうか。ユニークアイテムならそう簡単に手に入るものでもないしね」


「……まあ俺は別にいいんスけど、最終的に苦労するのは嶺さんっスからね」


「ははは、そうならないことを願うよ。さて、作業の続きに戻るとしようかな。君も丁度いいところで切り上げで休むといい。日曜日は安息日だからね」


「それ、現行の宗教っスけどね……」


自分の構成力の無さを実感する四章でした。

一章と四章はそのうち改稿するかもしれません。

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