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Part51 立ち上がれ、音楽戦士

メインプロットが崩壊したので少し番外編を挟みます。年末年始も継続して更新するのでどうか許してください……



「……やべえ、燃え尽きそう」



 翌日、俺は重大な危機に陥っていた。

 なんというか、一度に色々やり過ぎてヴォックソに戻る気力が消滅しかけているのである。


 これはマズい。

 ……と、言うわけで、一旦ヴォックソを休んで他のゲームをしようと思う。

 ブログの更新も滞ってるし、ここらでそろそろ新しいゲームをやらないといけないとは思っていた。


 超さんに少しの間ヴォックソから離れるという旨のチャットを送ると、すぐに『オッケー!』と返ってきたので問題はなさそうだ。



「何やろうかな……っと」



 ザッとゲーム用の棚を眺めると、既にプレイ済みのゲームパッケージ達が光を反射して眩く光る。

 鯵鯛、超次元戦車戦、三国+一志、GEVO、スクールウォーズ、ラグパラ、超合金大僧正……



「……俺の持ってるゲーム、クソゲーしかなくね?」



 そんなことは無いだろうと自分の思考を否定して、更に他のゲームを見ていく。


 宇宙ジャンケン、無限輪廻、明智用戦国、ドゲザ、発狂、白痴、アサシン王の伝説……



「……頭痛がしてきた」



 どのゲームを見ても、毎年行われているクソゲー大賞スレでの呼称が浮かんでくるのはもはや病気かもしれない

 というかそんなスレであだ名がつけられてるようなゲームしか持ってないってどういうことだよ。


 仕方ない。かくなる上は、新しいゲームを買いに行こう。

 ヴォックソのおかげでプレイヤー同士の交流の多いゲームにも慣れた。新しいゲームジャンルに手を出して見てもいいかもしれない。


 さっと身だしなみを整えて、俺はいつものゲームショップまで自転車を走らせた。



————



 今時、チャリで数分のところにゲームショップがあるというのはめちゃくちゃ幸運なことだと俺は思っている。

 店名は『リンダボックス』。個人経営だ。ダウンロード販売が主流なこの時代においてはまさに絶滅危惧種である。



「いらっしゃーい」



 店内に入ると、聞き慣れた声が俺を迎えた。

 声の主は、あまり大きくは無い店内のレジの向こうに座って、なにやら漫画を読んでいる。

 彼女の名は春原(はるはら)凛花(りんか)

 リンネの姉である。



「ん、怜穏くんじゃん。久しぶりじゃない?」


「ここ最近はヴォックソにハマってて。あれパッケージ版ないじゃないですか」


「ヴォックソか〜、あれもクソゲーって言われてるよね」


「言うほどクソゲーには感じないんですけどね」



 まあ、確かに難易度は高いようだし、万人ウケしないと言うのも事実だ。

 世間はそういうゲームをクソゲーと定義しがちであるし、こればっかりは仕方ないことだとも思う。


 さて、ゲームを物色しよう。

 やはり夏というのはよくゲームが出るもので、色々なゲームが目に入ってくる。

 名前にファイナルがつく癖に既に30までナンバリングが出てるRPGとか、人気らしいFPSなど、割と聞いたことのあるタイトルが多い。


 そんな中で、俺は一つ、見覚えのあるゲームパッケージを見つけた。



「あ、これもう出てたのか」



 手に取ったのは「ミュージックブレイバー」という名のゲーム。

 少し前に、ティザームービーを見て気になっていたゲームである。


 少し他のゲームも見て、結局俺はこのミュージックブレイバーを購入することにした。

 レジで待つ凛花さんにパッケージを渡すと、途端に妙な表情になる。



「……それかー」


「え、なんですか」



 困惑しながらも、俺は五千円札をトレーにそっと置く。



「……いや、何でもない。ここで止めたら君のファンが悲しむもんね」


「暗にクソゲーって言ってません?」


「そんなことないよ。ティースリーとか楽しんでたよね。ああいう感じ」



 ティースリーはクソゲーと言うよりはバカゲーの領域にあると思うし、そう考えればかなり面白いゲームだ。

 フルプライスで買う程のものかと言われると返答に困るが。



「またのお越しを〜」



 笑顔でそう言って、凛花さんは漫画を持ったまま手を振る。

 ちらりと目に映った漫画のタイトルは、めちゃくちゃBL系だった。

 ……そういうのは家で読んでくれ。



————



 昼食と水分補給を終え、俺は早速準備に取り掛かった。


 パッケージを開け、カートリッジを本体に挿入し、ヘッドギアを被って横たわる。

 やはり、新しいゲームに挑戦するこの瞬間というのは、めちゃくちゃに気分が高揚するものだ。


 物理コントローラーでメニューを選択し、俺は早速ゲームにログインした。



————



 俺のキャラメイクは、毎回あまり変化がない。

 どのゲームでも基本は銀髪だし、目の色は赤だ。


 一応、ヴォックソの俺が短髪なのに対し、ミュージックブレイバーでの俺は長髪になっている。


 そして、今までのどのゲームにも無かったある物体が、今俺の手にある。


 ザッと爪弾けば音が鳴り、それを連続すれば炎や雷が迸る。

 そう、一般的な『ギター』だ。



「おうおうおう、兄ちゃん良いもん持ってんじゃねーか」

「ぐへへ、俺らにくれよ、それ」



 音の調子を確かめる俺の前に、ゴロツキが二人現れる。

 プレイヤーではなく、NPC……というよりは、普通に敵だ。

 チュートリアル中の為、用意された哀れなヤラレ役ということは容易に想像できる。



[人の楽器を奪うなんて全ッ然クールじゃないYO!! 爆上げなサウンドで蹴散らして行こーゼ!]



 ハイテンションなシステムメッセージを横目で見ながら、ジャカジャカとギターを弾きまくる。

 それだけで、音の力に耐えきれなかったゴロツキが爆破四散した。



[COOOOOOL!!!]


「ふっ……決まったぜ」



 決めポーズとともに、どこからともなくやってきた人々の歓声が辺りを包む。


 世は西暦22XX年。

 突如発見された謎の音霊を手に、音楽戦士(ミュージシャン)達は立ち上がった。

 彼らは音霊と共存し、彼らは音霊と共戦する。

 

 魂震わせる魂音(ミュージック)をぶつけ合い、最高の音楽戦士を目指せ。


 それがこの「ミュージックブレイバー」の世界である。


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