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Part48 終の玉座に座す骸

初めて活動報告を書きました。

ツイッターの方に来ていた、ヴォックソへの質問の回答とかも載せていますので是非ご覧ください。

そちらの方でも書きましたが、世界観に関する質問とかは核心に触れない限りどんどん答えていきますので、感想などに書いていただけるとありがたいです!



 荒れ果てた玉座の間に、黒い閃光が迸る。

 雷は打ち棄てられた装飾品を砕き、地を焦がし、幾多にも枝分かれしながら俺たちへと迫った。

 その一撃を俺はどうにか回避するが——ヤバい、速すぎる。


 間髪入れずに放たれた二撃目を、崩れた体制で無理やり《エアグライド》を使うことでどうにか回避する。

 そのまま地面を転がって這い蹲ることになってしまったが、幸い追撃は無いようで、急いで立ち上がって状況を確認する。



「大丈夫か!」


「問題ないぞっ」



 どうやら、キルカは無事なようだ。

 しかし——



「はは、まともに喰らっちゃったよ……」



 幻水は避けられなかったらしい。


 こいつもあの《GEVO》という名のクソゲーをクリアした人間の一人だ。回避には長けているはずなのだが……



「……もしかして、前より強くなってたりするのか?」


「あくまでも私の主観だけど、前戦った時はあんなに速くなかったんだよねぇ」



 ここまで来ると、何かが絡んできてるとしか思えない。

 考えつくのは……やはりキルカの存在だろうか。

 ユニーククエストの最終関門として、そもそものボスよりも難易度が底上げされているのかもしれない。


 とすると、いくら幻水が以前に戦ったことがあったとしても、頼ることは出来なそうだ。

 まあ、これまでも事前情報なしのソロプレイだったので大した差はないが。


 さて、それから幾度も雷が放たれた後、急に動きを止めた骸王が剣を目の前に構えた。



『旧き神代の彼方から、未だ違わぬ此岸へ』


「詠唱!?」


「ああ……これは、大量に斬撃が飛んでくる攻撃だったかなあ」


「……ちなみに、どう避けるんだ?」


「気合いだよう!」



 幻水は、親指を立てながら良い笑顔でそう言った。



『我が剣は唸る——《妄執の錆》』



 瞬間——辺りに無数のヒビが生じた。

 それが斬撃の予兆であることは、誰が見ても明らかだった。


 玉座の間という空間が、ヒビを境に互い違いにズレてしまったような感覚。

 空気が引き裂かれる程の剣圧か、はたまた本当に空間を斬ってしまっているのか。

 とにかく、そんな最後の大技でもおかしくないレベルの攻撃を、骸王は序盤でブチかましてきやがったのだった。


 ヤバい、ヤバい、ヤバい。

 無数の斬撃を処理する為にフル回転する脳が、悲鳴をあげる。糖分が欲しい。

 右、左、右斜め上、足元、首、左肩。

 ボタンが無限にある音ゲーをやらされているような気分だ。しかもパーフェクト以外は全部ゲームオーバー。

 とんだクソゲーがあったものだ。俺が防御に全く振らないのが悪いのだが。


 無限に続くのではないかという程の剣の嵐は、やがて止んだ。

 時間にして、およそ五秒。

 しかし、その五秒の中に詰め込まれた圧倒的密度の斬撃は、体感時間を極限まで引き伸ばした。



「はぁ……はぁ……全回避!」



 正直死ぬと思ったが、意外になんとかなるものだ。

 ほとんど目に見えない攻撃をしてくる奴は、以前試練で相手にしたことがあるので、それが効いたのだろう。


 俺はともかく、キルカと幻水は大丈夫だろうか。

 視界の端に映るHPバーは……ヤバい、どっちも瀕死だ。


 骸王の動きを見ながら、俺は一度背後に下がってサポートに回る。

 アレだけの大技を使ったのだから、骸王の方もすぐには動けないようで、剣を持った腕をダラリと垂れ下げていた。



「……ナツレンくん何で避けられるの? 動きめっちゃ気持ち悪かったよう」


「流石ご主人だな」


「はいはい」



 インベントリから取り出した回復薬を、痺れが発生して動けずにいる幻水とキルカに浴びせるように飲ませる。

 痺れの方はすぐには治らないだろうが、骸王はまだ動きそうに無いので問題ない。



「もう大丈夫だな? 俺は今のうちにダメージ与えてくる」



 そう言って、俺は武器を剣へと変えて飛び出した。

 

 俺の接近に気づいた骸王は、ふつふつと音を立てて黒く蠢く右手を下ろしたまま、口を開く。

 

 

『異の灯火よ、その力を見せよ』


「うるせえ——《アルファ・ドゥーベ》!」



 素早く動く剣先が、骸王の胸部に輝く八芒星を刻みつける。

 一瞬遅れて光は洪水の如く溢れ出し、禍々しい骸王を強く照らした。



『ぐ……あ……!』


「ああ、やっぱ光属性は骨身に染みるよな」



 剣の特色として、剣の上級スキルにはスキルそのものに光属性が付いているものが多い、というのが挙げられる。

 今使った《アルファ・ドゥーベ》がいい例だ。

 しかもそれらが軒並み強いとあっては使わない手は無いだろう。


 ついでに言うと、このゲームはあからさまに光属性が弱点となるモンスターが多い。

 もちろん全てがそうと言うわけでは無いが、鴉の眷属も黒蝕の禍もペイルライダーも、そしてこの骸王ヴァンデリックも、全て光が弱点だ。


 考えてみれば当然である。

 ヴォックソは世界観としてはダークファンタジーに分類されるものなのだから、死者の魂だとか呪われた何かだとか、そういうダークサイドに分類されるものが大量に出てくるのだ。


 だからこそ、俺は剣のスキル構成を「光属性特化」とした。

 光が弱点の敵に対しては、バフを盛りまくった《射貫く霹靂(スリサズ)》や、圧倒的デメリットのある《アトミック・ハウザー》すら越える火力を出すことも可能な構成である。



「まだまだ行くぞ……《ベータ・メラク》、《ガンマ・フェクダ》!!」



 剣の軌跡が空に光を綴り、複数の剣撃を叩き込む。

 連続で使用した二つのスキルが発動しきったのと同時に、骸王はゆっくりと剣を構え直した。

 ボーナスタイムは終わりのようだ。

 一瞬後ろを向いて確認するが、やはり幻水もキルカも痺れが治っていない。


 ……まあ、なんとかするのも俺の仕事だ。



『我が(かいな)の昂りよ——《枯裂き》』


「《デルタ・メグレズ》!」



 二つの黒剣がかち合い、激しく火花が散る。

 一方は光を纏い、一方は呪を纏い、相反する二つの力は強烈な斥力を生んだ。

《デルタ・メグレズ》の一撃はしっかりと骸王に刻み込まれたが、反対に俺の右手に一瞬痺れが走り、HPが二割ほど削れる。



「武器で受けると反動がキツイな……!」



 直撃に比べたら当然ダメージは少ないが、やはり素の防御力があまりにも少な過ぎるのでまあまあのダメージを受けてしまう。

 ちょっと前にグッドに聞いたところ、反動ダメージを軽減する装備というのもあるそうで、そういうのを装備してみるのもいいかもしれない。

 やはりこれから先回避ではなく武器で受けるべき攻撃というのは出てくるだろうし、そうでなくとも行動の幅が広がるだろう。



『クク……良いぞ』


「そりゃどうも——《イプシロン・アリオト》!!」



 光の内に闇属性をも包する黒い閃光が瞬き、歪んだ軌跡を描いて骸へ到達する。

 同時に蹄鉄のエフェクトが現れ、骸王の身体を強く蹴り飛ばした。

 骸王は蹌踉めき、膝をつく。


 チャンスだ。攻撃の手を止めてはならない。



「《ゼータ・ミザール》!」


『グ……ク……』



 複数の魔法剣がヴァンデリックの身体を刺し穿ち、地面へと縫い止める。一時的な行動阻害技だ。

 次の技を、最早彼は避けることすらできないだろう。

 俺は剣を振りかざし、高らかに宣言する。



「そしてこの《イータ・アルカイド》で最大火力は完成する!」



 剣は溢れんばかりの光を放ち、荒れ果てた玉座の間を煌々と照らす。

 呪を祓い、魔を(つんざ)く輝剣の一振りは、遂に骸王に七つ目の傷を刻んだ。


 同時に現れる、七つの星のエフェクト。

 それぞれが異なる光を放ちながら、ただ一人の対象である骸王ヴァンデリックを照らす。


《グラン・シャリオ》——星の名を冠する七つのスキルでダメージを与えることによって発動する、剣の最強スキルである。



「……さあ、これでだいぶ削れてくれれば良いんだけどな」



 勢いよく暴れ狂う、暴力的なまでに眩い閃光が、視界の全てを埋め尽くした。

 

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