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Part44 一騎討ち




「アオ——————ン!!!」



 一回り大きくなったキルカは、腹の底に響くような音量で遠く吠えた。


 灰色の毛はうねるように伸び、眼光は鋭く、全体的に通常時に比べて凛々しい印象を受ける。


 これは……めちゃくちゃカッコいいな。

 


「グワゥ」



 早く乗れと言われているような気がして、俺は慌ててキルカの背中によじ登った。

 もふっとした感触の背中に跨り、左手で毛を掴んでバランスを取る。



「安定感あるなあ。……っと、武器は槍でいいかな」



 騎士と言えば、持っている武器は槍だろう。

 それに、何だかんだで槍は使いやすい。

 wikiにも槍の上位スキルは軒並み強いと書いてあったので、ある程度スキルを取ってしまってもいいかもしれないな。

 

 というわけでささっと一つスキルを習得した。

 使うかどうかはわからないが、まあいい。



「————ッ!!」



 律儀に待ってくれていたペイルライダーが叫び、大鎌が一瞬大きく膨張する。

 ゴウと音を立てて鎌が振り払われ、それとは全く別の軌道で炎と黒いモヤが飛来してきた。


 かなり避けにくい軌道だが、しかしその全てをキルカは回避した。

 キルカは地を駆け壁を駆け、時には回転しながら宙を舞う。

 ……背中に俺を乗せたまま。



「ちょっ……酔う……!」



 背中に俺がいること忘れてないか?


 上下左右に揺さぶられながらも、俺は《捷焚べる天道(ソウェイル)》を発動してチクチクとバフを貯めていく。

 なかなか攻撃のタイミングがつかめず思うようにバフを稼げてはいないが、それでも積み重ねれば強大なバフとなるだろう。



 槍と鎌がぶつかり合い、激しい音が廃教会に響く。

 何度も攻撃を加えてはいるが、終わりが見えない。

 怯みモーションでも見せてくれれば良いのだが、その気配はなかった。


 形作られた炎の壁を軽々と飛び越え、キルカがその大口で馬の首に噛み付くと、ボフッと音がして口の端から炎が漏れる。

 やはり馬への攻撃は効かなそうだ。



「————ッ!!」


「キルカ、避けろ!」



 俺の言葉に反応して、キルカは近距離からの反撃を飛び避けた。

 この調子だと、馬を先に撃破して機動力を奪うのは無理そうだ。



 キルカは様子を見るように、少し離れた場所から何発か牙の魔法をペイルライダー本体に叩き込んだ。


 ペイルライダーは明らかに第一、第二形態よりも硬く、簡単に傷がつく気配はない。


 しかし、数度目の攻撃を受けて、ペイルライダーは初めて大きくよろめいた。

 もしかしたら、もう終わりが近いのかもしれない。


 これで動きが鈍ってくれれば《射貫く霹靂(スリサズ)》でトドメを刺せるのだが……むしろ第三形態がそのまま発狂モードのような感じで全体的にスピードが速くなっているので、投擲は少しリスクが高い。

 手元から離れてしまう以上、確実に仕留められるという確信が無ければ使う気にはなれないのだ。


 その為に、というわけでは無かったが、今この状況に適したスキルを取ってあった。

 大きく円を描くように槍を構え、スキルを発動する。



「《凍突く氷雪崩(イサラ)》!」



 スキルの発動と同時に槍が氷を纏う。

 槍系上位スキルのルーンシリーズにおける『氷』のスキルだ。

 辺りの温度が急激に下がり、パキパキと音を立てながら氷に覆われていく槍をペイルライダーに勢いよく突き出す。


 鋭い氷柱のようになった槍は、ペイルライダーの大鎌と激突し、激しく砕け散った。


 当然、これで終わりではない。

 氷が砕けた瞬間、新たな氷が穂を包む。


 先程よりも硬く鋭くなった氷が大鎌とぶつかり合って再度砕け散り、新たなる氷が精製される。

 破壊される度に、何度も、何度も。


 砕け散り、精製され、砕け散り、精製され。

 それを繰り返し、ついに大鎌がひしゃげた。



「ぉぉおおおお!!」



 砕ける度に硬くなって行くという事実上の防御貫通効果を持つ氷槍がペイルライダーの黒鎧を突き穿ち、体内から溢れるように燃え盛る炎すらも凍らせてゆく。



「——————ッ!!!」



 ペイルライダーは大きく断末魔の声を上げ、頭部の炎が氷に覆われた後、徐々に全身が崩壊していったのだった。



「倒せたか……? 倒せたよな、うん」



 黒い霧となって何処かへと消えてゆくペイルライダーを見ながら自分に言い聞かせるようにそう呟くと、[ペイルライダーを撃破しました]という表示が目の前に現れた。


 もしかしたらペイルライダーが廃教会と融合して第四形態とかあるんじゃないかとか思っていたが、流石にそんなことはなかった。

 そうなったらそうなったで巨大化は負けフラグなので勝てるとは思うが。



「っしゃおら! 槍は鎌よりも強し!!」


「やったな、ご主人」


「ああ! キルカも本当にありがとうな! 何か急にデカくなるし、何か急に喋ってるし………………えっ?」


「どうかしたか?」



 子供のような声でそう言いながら、キルカは首を傾げた。


 え? 何で喋ってんの? 喋れたの?



「……えっと……?」



 予想外の出来事に頭が混乱し、言葉が出ない。


 そんな俺の視界に、[参傷狼伝説(ファブラ・デ・ルプス)が進行しました]という表示が現れたのだった。

 

ペイルライダー第三形態は参傷狼伝説進行中のみの特殊形態だったりします

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