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儂、散策してみる

 しばらく泣き続け、落ち着きを取り戻し始めたホタルは、一つ鼻を啜ってから辺りを見回した。


 林間学校やキャンプで訪れたことのある森と変わりない。


 だが、立ち上がったときの目線の高さには違和感がある。


 知っている感覚よりずっと高い。


 さっき追い返した暴漢は、及び腰になって立ち上がったとき、ホタルを見上げていた。


 合わせて鑑みるに、自分の身長はキャラメイク時に設定した百九十センチなのだろうと、ホタルは思う。


 実際のホタル――(ケイ)の身長はそこまでない。百六十九センチだ。百七十に届かなかったのが少しコンプレックスだった。


 股間のサイズと同じく、理想の身長に設定した。


(ということは、ここは儂の知る世界ではないのだろうな……)


 ここがどこかわからないが、肌に感じる光や風、足の裏から染みる土や草の感触で、現実だと認めざるを得ない。


 さっきの暴漢は、ファンタジーRPGや映画で見たことのある盗賊のような服を着ていた。


(北○の拳や、マッ○マックスの怒りのデ○ロードに出演してそうだったな……)


 少女は、恐らくは脛辺りまでの丈のワンピースとエプロン。こちらもファンタジーRPGの村娘のような出で立ちだった。


(ロン毛でツインテールだった……マジ、RPGの村娘っぽかった……となると、この世界は中世ヨーロッパっぽい世界ということになるのかのぅ……)


 人がこの辺りにいるのなら、村や集落が近いということだろうか。


 ――ここで生きていくしかない。


(だとすれば、情報収集すべきだな……)


 いざというとき、股間だけでも隠せるよう、少し内股でホタルは歩き出した。


 いくらか散策していると、草地に一筋の道が見えた。人や獣が歩いている証しだった。


 ホタルは慎重にその道を辿る。


 徐々に森が開け、空が広くなった。


 ホタルが立っているのは小高い丘の上。

 そこが森の切れ目だった。

 道はうねうねと続き、その先には背の低い建造物群が見てとれた。


「人が……いるのか……」


 あそこに行けば、何かしらわかることがあるかもしれない。住むこともできるかもしれない。


 だが――


「全裸はまずいかもしれん……」


 道の途中に股間を隠せる何かがあるかもしれない。

 もしくは、良い塩梅の葉が茂った枝を折り、前後を隠して歩くか――


(どっちにしろあやしい……立派な変質者じゃ……)


 建造物に向かって歩くか、森に潜み続けるか……


 どちらにするか悩んでいると、丘の下の道に人影が見えた。

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