儂、これからどうすれば
まるで熊にでもなった気分だ――と、ホタルは思った。
男達に乱暴されかかっていた少女は、押し倒されたままの姿勢で、地面に仰向けで横たわり微動だにしない。
呆然と立ち尽くす『全裸』のホタルと目が合ったまま。
どのくらいの時が流れたのかはわからない。
まったく音をたてず、ホタルは静かに正座をした。
そして、手近に落ちている木の葉を拾っては股間に載せ、を繰り返す。
手入れされたかのように美しい菱形をした、臍から下の毛。その下の肉棒を隠し終えると、これまた音をたてることなく、両手をびったりと地面につけ、深々と頭を下げた。
「びっくりさせて、すまん」
そのまま動かない。
またどれだけ時が流れたかわからない。
今度は少女が動いた。
のろのろと上体を起こす。
ホタルから目線をはずさずに。
「……お爺さん……どうして、裸なの?」
叫び、カラカラに枯れた声でおどおどと少女が言う。
地面に額を押しつけたまま、ホタルは眉間に皺を寄せた。
「……それが……どう説明していいか……」
「じゃあ……どこから来たの?」
「……それも、どう説明していいものやら……ここがどこかもわからん……」
「……一人……なの?」
一人――その言葉がずんっとホタルの心を重くする。
ザッと風が吹く。
梢が揺れる音を聞きながら、ホタルは唇を噛んだ。
「……そうだ……」
「一人……」
そう呟いてから、少女は静かに立ち上がる。
それが気配でわかったが、ホタルは頭を下げたままだった。
サク……サク、サク……サクサクサクサク……
立ち上がった少女がホタルから慎重に離れ、やがて、駆け出す足音がして……それは、森の木々の向こうに消えてしまった。
しばらくして、ホタルはゆっくりと顔を上げる。
そこに少女の姿はなかった。
「健司と同じくらいの年かのぅ……」
自分と同じく、漫画やアニメが好きになった十四歳の少年の笑顔を思い出し、ホタルは目を潤ませる。
「儂……どうすればいいんじゃ……」
声にしてしまったら、駄目だった。
ぽたり、ぽたり。
ホタルの目から涙が溢れ、しっかりとした頬を伝い、がっしりとした顎から地面へと落ちる。
いくつも、いくつも。




