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065 genius loci 豊穣なる土地✳球体ビル円モールとタワー


 土地、風土については先程、少し触れたがさらに詳しく――。


『ゲニウス・ロキ』(genius loci)ローマ神話で土地の守護精霊とされる。地霊。


 現代の建築やおそらく都市計画では土地柄や雰囲気を指すようだが『土地の潜在力/ポテンシャル』と言っておきたい――。


 今回、仮想世界でも空間の下ごしらえができた気がする――。球体フリースペース以外は先程『格納』してある。


 コアの設置によりゲニウス・ロキなる土地霊のような何かが生じてると言っていいはず――。


 セッションの様子でペキノが周辺の土地を創造/造成したくてウズウズしているのがわかる。


 仮想空間では球体ホログラムでメニュー欄から実現したいことを選択できるけれど、イメージして魔法のように創造することもできる。きっとペキノはそれをしたいのか。


 歌いながらポッポボッポと小さく魔法を出している。プラチナが空中でキラッキラッキラキラ。


 あ、ついに魔法で音色を奏でおった――。色つきの音。まさに音色――。カラフルな優しい色に、時おり黒を混ぜたりしてね。


 そして魔法で絵を描くように創造するのかしら。絵も上手で実は歌えて魔法も操るペキノは、ある意味セッションにおいて最強なのです。


 そのうちきっと爆ぜちゃうのでしょ……。


 そうして私は広がるよーーーうな音を響かせると共に、広がるよーーーうな動きをしている。


(「う、海は近くに創りたいわ。みんなも海好きだし」)


 歓喜と興奮を音や踊りに現す者たちもいれば、合わさって海のようなムードになる音、動きを奏で、曲となって現れている――。


(「「「「「「うーーーみーーーー」」」」」」)


(「海はやっぱり近くにほしいわ。」)


 ソファがドラムでそう弾いた。いつのまにかシェリーと楽器交換している。


(「「「ひろーーい場所好きーーー」」」


 そして……


(「仮想世界だから洪水ハザードマップのチェックも必要ないわ」)


 シェリーはパート交代した円環シンセで細かくそう奏でた――。セッション中でも抜け目なし。流石だわ……。



 ざっぱーーーん――



 波の音が聴こえた気がした。


 どうやらこの仮想世界に海が誕生したらしい。となると生物も産まれるのでしょうね。


 ベイアリーナも形づくられてることでしょう。砂浜もほしい――。



 セッションのギターはシフォンで、その場で空中をあらゆる方向にくるくる回転しながら弾いている。


 ベースはサリュンが弾いている。下半身はタオンが動かしているようで、ベースを弾きながらの脚さばきが凄い。頭は二人で一糸乱れず動かしてるようた。


 ココが龍笛りゅうてきを吹き鳴らし始めたので、私とソファとシェリーが和楽器のしょうを空中から取り出す。


 ドラム音は以前のように『ガイダンス』がソファの代わりに、人工的ではないリズムマシンの如く担当し、ギターを弾いていたアプルもドラムを叩き始めた。


 笙は十七本の長短ある竹管を環状に立てた管楽器で、パイプオルガンのリードと同原理。私たち三人が、すでに本体が温まっている笙の、宇宙的と言っても良さそうな荘厳な音色を吹き鳴らし、響き、浸透していく――。


 円環シンセ内のシェリーの背後にはアーネが、笙と似たような音色を響かせ始めた――。



 ゲニウス・ロキが地霊、ポテンシャルエネルギーだとして、伝統的な日本文化では土地の神様になるのだろうか。


 そうすると今回のセッションも含めて、地鎮祭になるのかもしれない。


 豊穣なる土地よ。適度に最適な繁栄あれ――。


 皆の想い想いの望み、本当の望みが溢れだし、セッションの音色と動き踊り、魔法、ポテンシャルエネルギーが相俟って『シェアルゴリズム』へさらに組み込まれていった。



 セッション中、一瞬ブレイクして音と動きがピタッと止まり、皆が顔を見合わせた。


「「「「「次何つくる??」」」」」



(「もう、あれかなー。優先順とか置いておいて好きなものからつくっちゃう?)」


 カナンが可愛らしい動きをしながら、ちょっぴりハスキーな声でメロディを発した。



(「そうねー。仮想世界だから結構融通効くから大丈夫そう」)



 すると同時に――


(「「「「あ、吹き抜けつくりたい!」」」」)


 ベルとアヤが開放感のある大きな動きで、片脚を大きく上げながら縦回転して、大きく移動する。


 ルンルンはその周りを外側を向き、歌いながら大きく廻っている。


 傍からは螺旋状に動いているように観える。


 ユリカは球体フリースペース内のやや外側に浮いているが、魔法によって光を明滅させていて、大きく頷いているように観えた。


 一階にある球体フリースペースの周囲に、ぐるっと取り囲むように環状通路ができている。天井の高さは球体フリースペースの半球と同じ三十三メートルだったが、今さっき天井が抜けて吹き抜けができた。



 その環状通路に外方向の円モールから、八本の大きな通路が接続されている。上から眺めると✳に観える通路で、中心に球体フリースペースがある。その✳通路によって大きなショートケーキ型な八つの区画が出来ることになる。


 吹き抜けは球体フリースペースの環状通路から、高さ八十八メートルある球体建物の最上部まであり、天窓で採光できるようになっている。


 もし球体建物上にビルが建った際は、どこまで吹き抜けさせるかは今時点では決まっていない。


 球体フリースペースはどの階からでも出入りできるのが好ましい。


 周囲の環状通路には大きな円柱が八本そびえ立っていて、球体建物を支える大事な役割を果たすようだ。ビルが建った際は、伸びろ如意棒のように伸びるはずだ。


 球体フリースペースの半球外側は、吹き抜けている環状通路から三十三メートル分が観えることになる。


 球体建物の外側を囲む円モールは、広さはまだ決まっていないが、七階建ての高さ三十五メートルになっている。各階の天井高は四メートル。


 屋上も利用でき、庭園やプール、遊園地などつくられてゆくだろう。天文台もあるとよさそうだ。屋上は球体建物の二階から接続しやすくなっている。


 さてここで、球体建物を『球体ビル』その周りはそのまま『円モール』もし球体ビルの上に建つのであればそれを『(円柱)タワー』と呼称しよう。

  


 私は手の動きで――


(「次、八つのエリアを決めて、球体ビルの居住スペースをつくりましょう。」)


 そしてすぐに――

 

(「クランメンバー以外の人とも交流できるスペースも暫定でいいから、つくっておきたいわ」)


 ソファがつけ加えた。



♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪



 その頃、現実界の私たち。



「だんごーだんごーだんごー」


 私がきもちよく口ずさむやいなや――



「それ以上はダメよ」



 シェリーに止められた……。



 はーーお白湯でおなかが――



「たぷんーたぷんーたぷんー」



 シェリーとソファにジト目で観られた……。



 えーーん。



 



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