男子中学生と堅物天使のチート交渉
男子中学生って、変な所で真面目ですよね
「それでどんなチートにしますか?」
事務員さんみたいな白のワイシャツにベスト姿の天使さん……背が低くて中学生にしか見えない、スベランツちゃんが言うには、どうやら俺は死んだらしい……まだ十四才だったのに……
「あの……一つだけなら、どんな能力でもいいんですか?」
「はい、力の上限はありますが、私達の倫理観に反しなければ大抵の願いは叶えられます」
でも神様はチャンスをくれた
魔物が増えすぎた異世界で冒険者として生きるなら、生き返らせてもいいと
「なら、透視能力を下さい!」
俺は男子中学生だ
こんな能力があったらなーと妄想くらいした事はある
まさか役立つ日が来るとは思わなかったけど……
「透視能力ですか、使い方次第では恐ろし能力ですね……」
「女の子の裸を見るのに使います!!」
(魔物と戦うなら、索敵と弱点看破の両方に使える透視がいいかなと思ったんです)
「申請は却下します」
「待って、今の何!恋人が出来たら透視で『俺には裸で街中を歩いてるように見えるぞ』と安全な羞恥プレイとかがしたいんだ!……だから何言ってんだよ俺ーーーー!!」
「いい忘れてましたが、ここでは嘘はつけませんよ」
待って、再度待って!
これ嘘がつけないんじゃなくて、本音がだだ漏れしてますやん!
「さあ、どんな能力にしますか?言っときますけど、エッチなのは却下しますからね」
エッチなのがダメって……
男子中学生が妄想する九割はエッチな事だぞ!(俺基準)
それがダメなら、何も思い付かないよ!
「透明になれたり、時間停止できたりはどうでしょう?」
思わず敬語で話し掛ける俺、エロ漫画でよくある能力をダメ元で聞いてみた
「もちろん論外です」
笑顔で却下する事務員天使さん、もちろんって事は……まさか知ってるのか!
「物凄い幸運とかは?」
「ラッキースケベ狙いですね、分かります」
なんで分かった!
こいつ手強い……だけど、俺の妄想力を舐めるなよ、裏の裏をかいてでもエロい能力を得てみせる!
「分かりました、では……水魔法でお願いします」
「濡れ透け目当てですね、却下します」
「……風魔法を…」
「パンチラ目当てですね、却下します」
「なんで決め付けるんだよ!」
「違うのですか?」
「いいえ、仰る通りです……ああああ!この本音がだだ漏れる空間が憎い!」
アカーン
嘘がつけないだけならまだしも、本音が出るから誤魔化しようがない!
「因みに火や土の魔法ならどうするつもりですか?私では思い付かないので教えて下さい」
「火は周囲を温めて、土は虫みたいに動く砂を服の中に入れて、自分から脱いで貰おうと…………だから本音ーーーーっ!!」
ハァハァハァ
質問されたら答えてしまう
……ここは、男子中学生を殺す空間かっ!
「ハァー……エッチなの以外は無いのですか?」
「無茶言わないでくれ!男ならみんなエロい能力を欲しがるに決まってるじゃないか!」
無言で首を振って否定された
うっそだー、どんな魔法やスキルでも、取り敢えずはエロに使用出来ないかと考えるだろ?
鑑定とか、俺なら絶対にスリーサイズとか調べるし
料理スキルなる、食べたら裸でリアクションを取る料理を作っちゃう
「少なくとも私が担当した人物に、エッチな事をするのを前提に能力を考える人は居ませんでした」
「そいつらEDかなにか?」
しまった、本音空間のせいで、思わず本音が出てしまった(棒)
「失礼な事を言わないで下さい、皆さんは異世界で普通に結婚やハーレムを築いています」
「うわぁー……ハーレムとか引くわ」
「どの口が言いますか!」
「いや、二次元なら良いけどさ、リアルでハーレムって……正直ドン引き」
「その人達も貴方にだけは言われたく無いでしょうね。だいたいエッチな能力はハーレムの為じゃないのですか?」
何をバカな事を、俺がエロ能力を欲する理由はただ一つだ!
「俺がエロ能力を行使するのは、たった一人の好きな娘を徹底的に辱しめる為だ!」
「……貴方に一生恋人が出来ない呪いを掛けてもいいですか?」
「止めて!」
なんて恐ろし事を言うんだ……アカン、この天使は本気でやりかねん
……もうエロ以外で何か考えるしかないのか……でも、俺はどんな能力でもエロへと昇華しそうだし
くそっ、自分のポテンシャルが仇になるとは!
「ハァー……もういいです、何でもいいので一つ能力を選んで下さい」
「えっまさか、エロいのでもいいの!」
「良いですよ……ただし、自分の恋人以外にエッチな目的で使用したら、その能力は封印しますからね」
「マジで!やったー!」
「それで、何にしますか?」
───何でもいいなら、もう決まってる!
「精力増強で!」
「申請は却下します」
「嘘つきー!何でもいいって言ったのにー!」
「せめて戦闘に役立つのにしなさい!」
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さあ、能力貰って異世界へ来ました!
青い空には地球の月より遥かに巨大な月が浮かんでます
道行く人々には、獣耳やエルフ耳の人がいっぱい!
鎧着て剣持ってる人もいる!
そして隣には事務員姿のスベランツさんも……
「……なんでスベランツさんも居るのかな?もしかして観光ですか?」
「貴方の監視の為に決まってるじゃないですか、しばらくは常に一緒に居ますからね」
あはは、スベランツさんは冗談が下手だねー
そんなんじゃ誰も笑わないぞ
……目がマジだ
「ランちゃん酷い、そんなに俺の事が信用出来ないのかよ!」
「はい出来ません」
「即答!」
「それと、ランちゃんは止めて下さい……これでも私は十五才です、貴方より年上なのですから」
「ロリBBAかと思ったら、ただのロリだった!」
「神よ……もう我慢しなくても良いですよね?」
神に許しを乞いながらデスサイズを出すのは止めるんだ!
それを使っていいのは死神だけです
「申し訳ありませんでした、ナイスバディーで魅力的なお姉さま」
「次バカにしたら殴りますからね」
「殴ってから言わないなんて、逆に斬新!」
殴ってから言うのがお約束だぞー
そんなんだからランちゃんは身長が伸びないんだぞ☆ミ
「ハァー……もういいから行きますよ、先ずは冒険者ギルドで登録して貰います」
わーい冒険者だー!
でもその前に聞きたい事が一つある、割りとマジに
「……冗談抜きで聞くけどさ……本当にずっと一緒に行動するの?」
「冗談抜きで言いますけど、本当に一日中監視しますよ」
「いや、そういう意味じゃなくて……宿とかどうするの?」
「!」
今気付いたって顔した!
待って、もしかして同じ部屋に泊まるの!?
「天界から見とく事は出来ないの?流石に理性が持つ自信がないんだけど」
「あそこからでは……私の力では短時間しか監視出来ないのです……宿は…………」
「あーもー、そんな泣きそうな顔しないでよ!分かったから、能力を変な事に使わないから、部屋は別々にしよ!」
「ダメです、信用出来ません」
「そこは信用しよーよー!自分の体を大切にしよーよー!」
「少なくとも貴方に恋人が出来るまでは一緒に行動します」
半泣きで言うほど嫌なら妥協しようよ!
だいたい恋人が出来るまでって、生涯DTだったらどうする気なんだよ!
…………あれ?
「ねぇ……女の子と一緒の部屋に泊まってる男に、恋人って出来るのかな……」
「頑張って下さい」
どう頑張れと!
常に一緒なら、ランちゃんと一緒にナンパとかしなきゃならないのか!
例えいい雰囲気になっても、隣にはランちゃんがっ!
難易度高いよっ!!
「……せめて兄妹って事にしていいかな?」
「不愉快です、その申請は却下します」
「どうしろって言うねんっ!!」
俺にエロ目的で能力使わせる気ないだろっ!!
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数ヶ月経ったけど、スベランツちゃんの監視は続いている
今日も今日とて、借家で二人っきりだ
「止めて下さい、私にその能力を使わないで下さい」
「えー、ランちゃんは俺の恋人なんだから使ってもいいんだろー」
「恋人になったつもりは有りません!」
「酷いっ!昨日はあんなに俺の体を貪った癖に!」
「貪られたのは私です、堕天したらどうする気ですか!」
「そんな事言ったってしょうがないじゃん、毎日お風呂まで一緒に入って来るんだもん……我慢も限界だったんだよ」
「ううぅ……汚されました、思春期の獣に汚されてしまいました」
「人聞きが悪い!数ヶ月我慢して、了承得るまで指一本触れなかった俺を誉めてもらいたいくらいなのに!」
「指一本触れなかった代わりに、毎日凝視されましたけどね」
「目の前に裸の美少女が居たら見るのが男だ!……って、本音空間は止めてー!」
「……浮気したら、地獄に落としますから」
「するわけ無いよ!だって今すごく幸せだもん!!……だから本音ーーーーっ!!」
彼女がクスリと笑う
浮気なんかしないって信じてよ!
だから、街中でもたまに本音空間を展開するのは止めて下さい!
……流石に恥ずかしいです
「私の事……好きですか?」
「大好きです!!」
なんだこの羞恥プレイ!?
笑って貰えたら幸いです
本音空間が恐ろし……
因みに俺は、ハーレム大好きです




