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幸せを見つける方法  作者: 瀧蕾野蛙
2/4

今の状況を把握する

 

 ・・・・・・


 あの日、自分の意識が覚醒してからかなりの月日が流れたと思う・・・


 全く動かなかった手足も動かせるようになり、微かながらも目も見える様になった。


 今日は日当たりの良い場所に連れ出され、その近くでは自分の面倒を見てくれている人物が何やら作業していた。


『パガン!・・・パガン!・・・』


 乾いたものを叩き割る音と、大きな影が何やら棒のようなものを振り下ろす姿がかすかに確認できる。


 いまだに激しい耳鳴りが続く為、耳に聞こえてくる音が阻害されているが、割と最近ではあの人物が何をしているのかが理解できるようにはなって来ていた。


「ふうぅ〜 よし! これで当分は薪も足りるだろう、おい大丈夫か?体は辛くないか?もう少し待てな? この薪を運んだら食事の支度をするから、お前はもう少しだけそこで大人しくしているんだぞ〜 」


 自分の面倒を見てくれている人物が何やら楽しそうに明るい声で話しかけてくるが、残念な事に自分はまだ目の前の人物が何をしゃべっているのかは充分には理解できていない、ただ『機嫌が良いのだろう』との事は理解できるので頷き返す。


 大きな薪の束を楽々と抱えて移動させた後、あの人物は食事の支度を始めたのだろう薪を燃やす匂いと、何かを炒める様な音、そして良い臭いが辺り一面に広がる。


「待たせたな準備ができたから食事にしよう、食事が終わったら風呂だ!」


 たくましい腕と硬い腹筋に支えられた自分は、軽々と持ち上げられて運ばれて行く、


「明日は、俺は街まで獲物を売りに行くが、お前は一人で大丈夫か? 」

「・・・」

「まあ帰りは少し遅くなるとは思うが、大人しく待っていろよ!?」

「・・・」

「さあ最後の一口、頑張って食べろ! でないと体力が戻らないぞ〜 」

「・・・」


 自分の面倒を見る人物は、器に残った最後の一口を自分の口の中に押し込み、『さあ風呂だ!』と強引に自分が着せられていた服を脱がし、そしてその人物も服を脱ぎ全裸になると、自分を抱えて『風呂』へと向かう、最初のうちは『風呂』と言う言葉を聞くと抵抗していたのだが、力でこの人物に敵うはずもなく、しかも激しく抵抗すると全身に激痛が疾るため、今ではされるがままになっている。


「あぁ〜 風呂は良いなぁ〜 お前もそう思うだろ〜 ? 」


 この人物、とにかく風呂が好きなのだ! 最低でも日に二回は風呂に入る。


 とは言え、その目的は半分くらいは自分の『治療の為』だと言う事も理解しはいるのだが・・・


 この状況だけは・・・


 今、自分は温かい湯の中で体を太くたくましい太ももに挟まれ、背中は硬い腹筋に寄り掛かり、頭は硬い胸板・・・・・・





 ・・・・・・ではなく、自分の頭と同じぐらいの大きさの柔らかな乳房に挟まれている。


 無論、自分の尻に当たっている股間の部分からは、余分な物が当たっている感触も無い・・・


 自分の面倒を見る人物は女性だったのだ!



 今日も彼女は明るい声で自分に喋り掛けながら、自分の全身をマッサージし始める。



 この『風呂』は天然の温泉なのだ、しかも後で知った事だが『怪我や傷によく効く温泉』で有名だったらしい・・・


 そして、この温泉の湯は『ある薬の原料』となる湯で、彼女はこの『湯』を街へと持って行く事で生計を立てていた。


 そして、この『湯』は『割と金になる』らしい・・・



 まあ、そのおかげで自分の怪我も治りつつあるのだが、『アレが有れば、こんな怪我もたちどころに治るのだが・・・』とも思いつつも、『無い物は仕方ない』とも思っていた。


 ただ『以前の様に体を動かす事は出来ないだろう・・・』とも諦めてもいた。









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