プロローグ
・・・
熱い・・・
背中から差し込まれた槍が赤く血に濡れて胸を突き破り、その槍先を鈍く光らせている。
不思議と痛みは感じない・・・
ただ、熱い・・・だけ、
もう何度目だろうか? 幾度同じ様な事を繰り返せば・・・
そして再び悪夢は最初から繰り返される・・・
・・・・・・
ああ、今回は今迄とは少し違う様だ・・・
今迄は剣や槍、戦斧や矢、刀に銃弾と・・・様々な死に方を経験したが・・・
今回は少し違う様だ・・・
無論、病死や事故死も数回ほど経験したが、今回はただ「光」しか感じなかった。
そして思う、
『また今回もか?』と・・・
『また○○だったのか?』と・・・
「?!・・・・ 『えっ!? ・・・ なんだこの状況は・・・・・ 体が・・・』 ツッ!・・・」
「おお! 気が付いたか? うぅん? おい!私の声が聞こえるか? おい目を閉じるな! おい!・・・」
「‼︎・・・・・・『ああダメだ・・・ 全身に激痛が疾る・・・ 激痛で意識が飛びそうだ・・・ しっ・・・ しかし今の状況を把握・・・』 ・・・」
そして意識が暗転した・・・
「おい大丈夫か? 今回は気絶する様な事は無いなよ!? 」
「ツッ・・・」
「おいおい、今は無理に動くな・・・ とりあえずはこの薬が飲めるか?・・・ ああまだ無理か? 仕様がない・・・」
「・・・!」
「ああ、驚く事は無い、今迄もコノ方法でお前に薬を飲ませていたからな・・・」
「・・・」
「まあ今迄はお前自身の意識が無かったから仕方のない事だがな・・・、見た所・・・ 体の方は自由には動かない様だな・・・ とりあえず今は寝ていろ・・・ 」
「 ?!・・・・・・・・・」
再び意識が覚醒して最初に思ったのは『?』との思考だった・・・
今回は『今迄とは違う!』と認識すると同時に、全身を襲う激しい痛み、そして唇に押し付けられた柔らかな物から流し込まれる液体、暗転する意識・・・
「ツッ!・・・・・・」
もう何度目だろうか? 今の自分は意識を取り戻すと同時に、全身を襲う激しい痛みで意識が白濁して気絶するのを繰り返している。
ただ、このところは意識を保っている時間が少し伸びた代わりに、激痛で意識が覚醒する事が増えた様だ、そして襲って来る激痛に慣れたのか?それとも多少なりと痛みが和らいだのか?冷静になって状況を観察する事が出来る様にはなって来ていた。
しかし、『冷静になって状況を観察する事が出来る様になって来た。』とは言え、未だに視力は回復しておらず微かな影の様な物しか認識出来ないし、全身は何かで拘束されているのか?『ピクリ』とも動かない、そもそも手足の感覚すら無ければ耳も聞こえ無い・・・、まあ正しくは激しい耳鳴りで満足に聴こえては無い事と、影の相手の微かに聞こえる言葉の意味も理解出来て無い、判るのは自分の唇に押し付けられる柔らかな感覚と、喉奥に流し込まれる液体の様な物の感触だけだ・・・
「今回は上等な薬を手に入れて来たぞ、次に目覚めたら少しは楽になると思うぞ!」
いつもの唇に押し付けられる柔らかな感覚と、喉奥に流し込まれる液体の様な物の感触とともに再び意識は暗転する。
作者の妄想ダダ漏れ作品であるけれど・・・