出会い?そして、ライオンズ
「佐田千秋です。小学1年生、希望ポジションはキャッチャー、よろしくお願いします」
キャプテンやコーチ達も集まり、新入部メンバーの自己紹介が始まった。
今回は俺を含めて5人のメンバーが入部のようで、左から背の低い順に並ばされ右から自己紹介。
背の低い俺は一番最後に自己紹介だった…
背はきっと成長期で伸びる!
あ…この時点で伸びないフラグを立ててしまったような気がする。
ともかく。
俺が自己紹介を終えると先輩方が少しざわついた。
ん?なんかおかしかったか?
「ほー、希望ポジションがあるって事は経験者かな?」
「いえ、練習は幼稚園の時からしてましたが、正式なポジションにはついたことはないです。ただ父さんの投げた球を捕る練習はしていました」
「お、大人の球をか。これは将来期待が持てるな」
なんか、媚び売りやがってやらなんやら聞こえるな。
これは早速嫌われたかね。
普通に受け答えしただけなんだがな…
ま、気にするだけ無駄か。
自己紹介が終わり、1時間あまりランニングやストレッチ、軽い筋トレなどの基礎トレを行った。
あ、このストレッチ懐かしい!おお、この筋トレまだ少年野球でやられてたんだ!感動。
「オイ」
やっぱ、1人で練習よりも人数が多い方が野球って感じがするなー。野球最高。
「オイ」
ん?
「さっきから呼んでるだろチビ」
む?なんだコイツ。
あ、ベンチでカードやってたやつじゃないか。
それにチビじゃないし、成長期前なんだし。
「オイ、聞こえてるんか?」
「ハイ、ナンデショウカセンパイ」
さすがに顔作れねー。。
「お前、キャッチャー希望とか言ってたな?1年のくせに希望があるとか生意気だな」
むむ、いちいち言い方が勘に触るなぁ。
「別にポジションの希望に学年は関係ないと思うのですが」
もう作るのは無理だ。
んなら、とことんコイツには喧嘩腰でいってやる。
「お前…いい度胸だなチビ!」
うお、顔近い近い。
「チビじゃありません。ちゃんと千秋って名前がありますよ、茹で蛸みたいな先輩」
おおお、怒ってる怒ってる~。
ほんと茹で蛸だな。真っ赤っかでイケメン顔がもったいないぞい。
「おい、そこー!何やってる。集合だぞ」
あ、まずい。監督の評価を下げるわけにはいかない。
「あ、すいません!すぐ集まります」
「ちっ」
これが茹で蛸センパイとの出会いだった。