夏
この夏は、あの夏に少し似ている。
蝉の声に意識を集中させながら、ふと感じた。もう、夏も終わりかもしれない。
今年の夏は行動的だった。
仕事を探して、働いた。友人や私を愛する人と酒を飲み、花火を見た。
花火は美しく、本当に美しく、私の心に潤いを与えた。
実家の母は、少し疲れたように見えた。
自慢の母。嫌いな妹。
十も下の妹は、私には必要ない。
仕事と金を得て、時間を持て余し、娯楽を喜んだ。人に恵まれ、不自由なく、平凡の少し上にいた。
あの夏と同じ、同じではないけど、とても近く。
あれは何年前だろう。何を思っていたんだろう。
私には秋が似合う。秋に産んでくれた母に感謝している。
好きなものに囲まれて、相応しい場所で、誇りを持つことを覚えた。
清潔が好き。自分の歩んできた道が好き。私は私が好き。
だから、私を愛してくれた人が好き。
私は私が好きだから、愛されない私は必要でない。
清潔以外は私に相応しくない。
美しい思考、正方形のような心。
いつからか、決めたことは実現されるようになった。
子供の頃は違った。
それに気が付いた時から、それはより加速したように思う。
大人になったのだと、その時の私は思ったのかもしれない。
あと少し。秋は空が高くなる、と言った母の言葉を思い出すだろう。
そしたら行こう。きっとあちらは素晴らしい。
秋に産まれて秋に去る。
私らしくないけど私らしい選択、それを選ぶ私らしさ。