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冬馬君の秋と冬  作者: だかずお
39/72

冬馬ターイムッ


冬馬君は興奮していた。

ヘッ ヘッ ヘッ ハッ ハッ ハッ(なんぢゃこの始まりは、ただの変態の様ではないか)

何故なら今日は冬馬君の大好きなアニメのスペシャル番組、二時間スペシャルがやるのだ。

開始時刻は夜19時から。

現在夕方の15時。

冬馬君は始まるまで我慢出来ないでいた。

今夜の為、最高の準備を整えている。

大好きなお菓子、ジュースを買い込み番組を観ながらパリポリ食べ飲むつもりなのだ。

一人待ちながら番組を思い、今からニンマリ笑っている。準備は万端。

何度も何度も時計を見ては、まだかまだかと確認している。

こーゆう時は時間が経つのが遅く感じる。

このアニメを冬馬君が心待ちにしている理由はもちろん大好きなアニメと言う理由からなのだが、もう一つの理由もあった。それはアニメのキャラクターのヒロインが冬馬君のタイプなのであった。でへへ、可愛いのである。

今からニタニタ顔は止まらない、はやく観たいなぁ。

部屋の中を行ったり来たり、ビデオ録画はしっかり出来ているか、何度も確認している。

よしっ、後は待つだけ。

胸の高鳴りは止まらない、ハイアー、心の中叫ぶ。

ああーはやく始まらないかなぁ。

こんな時、正子がテレビのチャンネルを触る瞬間など、冬馬君の目はギロリ光っている。

「絶対にビデオの予約消さないでね」


「分かってますよ」


その日は19時になるまでリビングから一歩も出ない冬馬君であった。

18時50分までには夕飯を済まし、今はお菓子とジュースをテーブルに並べている。

ニンマリ、ニッコリ、やはり、好きな番組がやる前は堪らないのであった。


「ただいまー」そんな時、隆が帰ってくる。


「あれ、冬馬はもうご飯食べたのか?」リビングの様子を見て隆が言う。


「今日観たいアニメがやるんだってさ」


「ああ、なるほど」


いよいよ19時


アニメが始まったと同時に大好きなスナック菓子を広げ、ジュースをグラスに注ぐ。

パリポリ、ゴキュゴキュ。

「かはーっ最高、生きてて良かった〜〜」

アニメのオープニングソングをテレビと一緒になって歌っている。これがまたアップテンポでノリノリの曲なのだ。

こーゆう時、冬馬君は非常に分かりやすい男と化す。

主人公がピンチになると歯をくいしばり、ヒロインが出ると顔を真っ赤にしてニタニタ笑う。主人公が悪役を倒せば、一緒になってガッツポーズを決める。

テレビを観なくても冬馬君を見ていれば、アニメが今どんな状況かが分かるのだ。


あっと言う間に終わりの時間が来てしまう。

「いやー楽しかったなぁ」ご満悦な冬馬君。

二階にあがり、今日のアニメの新技を鏡の前、ポーズを決め、おさらいしている。

「ハイグリット アンポンタン」(なんちゅー技名だ)

この技が一体どういう効果を発するかが異様に気になるところだ。

とりあえずアニメでは、この技をくらった怪人達は皆、心を入れ替えた(よほど壮絶な技なのだろう、間違えてもくらってはいけないのは確かだ)。

冬馬君は、ヒロインの今日の一番可愛いかったシーンを回想している。「えーっと、主人公に微笑みかけた所かな?それとも、敵と戦ってるところ?やっぱ微笑みシーンだなぁ、くわぃかったなぁーっ(可愛い)」

一人ニタニタ顔は真っ赤っか。

「あっ、でも怒ってるあの表情なんかもまた」(ご機嫌である)。

そして、録画した事を思い出し、更にテンションがあがる。

またいつでもあのシーンが観れる。


そんな時、ふと清香を思い出した。

最近どうしてるかなぁ?会ってないなぁ。

向こうはこんな風に僕のこと、考えたりはしてないだろうなぁ。そんな事を思う。

少し切ない気持ちにはなるが、恋してるこの気待ちになれるのは有難い気もした。

前に行ったキャンプの写真を見る、そこに写る清香の姿を見て、なんだか胸がキュンとする。

小さなため息ひとつ。

部屋の窓から、空を見上げる。暗い夜の空の中、ポツリポツリと明るく、こちらを見つめるお星様。

冬の空は澄んでいる気がする、背景と星のコントラストがまたいい。こんな夜は自分の気持ちに正直になる。

星を眺めながら冬馬君は、清香が大好きだ、そう心より思っていた。

清香を想うだけで心に光が灯る、そんな出会いをした冬馬君は、例え相手に思われなくても幸せだった。


それにしても、昔の人は想像力が豊だったんだなぁ、あの星を見ては色んな形を想像して遊んだんだろうなぁ。

よし、僕もやってみよ。「あの星とあの星を繋げて見ると」何故か、蛇鰐美ちゃんに見えて来た自分の見方に吹き出してしまった。

つぎのやつなんかは多網のケツに見えてしまう始末。


「あの星は、僕と清香かなぁ」

星を眺めていると心が和んだ。


冬馬君は好きな音楽を急に聴きたくなる。

隆のCDプレーヤーを借りて部屋に持って来て、ポチッ「あーこれこれ」星を眺めては黄昏れる冬馬君。

すると、先程のアニメのノリノリのオープニングソングが。

これが、冬馬君のハートに火を付けた。

ライトオンファイヤーー 心に火を灯せ!!

鏡の前に立ち、ポーズを決め、曲に合わせて踊りだす。チラッ チラッ 何度も自分の顔を見てはニンマリ、そんじょそこらのナルシストもビックリな程、自分の姿に見惚れ、高く高く空へ飛翔する。

ビュオンッッ、ビュッッ 片手を勢い良く、天にかざし、歌いだす「高く高く舞い上がれ〜俺はぁー俺はぁー凄いぜ、熱いぜ、ホットでクールでシンプルだぁ(すげー歌詞である)」


「うなれ必殺 パンチパーマキック、光る俺のピカピカシューズ(もう一度言おう、すげー歌詞だ)」

拳をグーにし、片手を天にかざしながら、リズムを身体全体で刻みこみ、ナルシストも真っ青になる程、鏡を見つめながら、更に決まった自分の顔をより鏡に近づき見つめ、ニッコリ極上スマイル、そしてトドメの必殺「ハイグリット アンポンタン〜〜〜」

勢いあまって大声で叫んでしまった。


「大丈夫か?」何事かと、ビックリした隆が部屋を覗く。「アンポンタンって聞こえたぞっ」


ガチャ


そこには片手を天にかざし、鏡の前、身体を揺さぶり

ハイグリット アンポンタンと訳のわからない言葉を発する我が子が立っていた。

オーガァーッシュ育て方間違えたたか?反抗期か?


「あははははははっ」我が子の形どる理解を超えたポーズと、発せられた意味不明な言葉に苦笑いする隆


見られていた事に気付いた冬馬君は片手をかざしたまま、身体の揺れは震度130から、急に貧乏ゆすりくらいの震度2弱におさまる

で、じきに死後硬直かの如し硬直する。


現在震度0



チーーーーンッ



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