サースーピューの飲み語り
プップー プップー 車が行き交うネオン街に一人の男が立っていた。
彼の名はサー、多網の父である。
すると背後から「サーさんお待たせしましたっ」
「あっ、ピューお疲れ様っ」
そう彼はこないだサーの会社に入ってきた、とんぺいこと通称ピュー。
実は今日はサーの計らいにより、スーも含めた三人で飲み語ろうと言うことになっていたのだ。
初対面のスーとピュー。
著者はサー、スー、ピューと響き渡るカタカナあだ名に、よー分からん状態になっていたと言われる(およっ)。
「そのスーさんはサーさんの昔からの親友なんですよね?会うの楽しみです」
「良い奴だからよろしくね」
「はいっ」
そうこうしてるうちに、すぐにスー到着。
「サー、こないだはありがとう」
「はっ、初めましてスーです」
「あっ、ピューです」
しーん、すぐに会話は尽きた。
なんだか気まずい三人は何か話そうと、同時に声をあげる。
「あっ」皆がカブってしまったので同時に黙る。
シーン
「あっ、その」またカブり三度ほど繰り返す。
「今日は飲みましょう」とりあえずこんな言葉をサーが言った。
歩きながらの沈黙が何故がミョ〜に気まずい気がする三人の性格。
なんだか自意識過剰になる瞬間。
あっ、なんか喋んなきゃ会話出来ない人だと思われちゃう。
そんな誰もあんたを気にしてないよ的な心配をそれぞれが心配して必死に話題を考えている。
「ここ安いんだよ」サーが予約した居酒屋を指差す。
とりあえず遠慮しながらのぎこちない三人は店に入って行く。
席に案内される三人
誰も主張性がないので何処に座っていいか分からずあたふたしている。
「あっ、サーさんスーさん隣同士で座って下さい」ピューが気を利かした。
「あっ、じゃあどうも」
何故か気を利かした筈のピューがソファー席に座り、二人は木の椅子の席、座った後ピューはこう思うたそうな。
しーまったーーーーーっ!!
三人はとりあえず駆けつけ一杯にビールを注文。
「カンパーイ」
ゴキュ ゴキュ ゴキュッ
「かはーっ、うまいんだなぁこれが」
大ご機嫌な三人。
ピューがつかってはまずい、変な気を遣ってしまう、それはこの言葉。
「スーさん噂通りのイケメンですね」
「えっ、あっそう?」予想以上にあがるスー、猫背だった背がゆっくり垂直になってゆく。
「結構モテるんじゃないですか?」
この時、70度
「あっ、えっとその、まーね」
モテた事など一度もない。
「羨ましいなぁ」80度
「モテまくったりしたんですか?」
ブシュー鼻息荒く 「まあね」背筋垂直 ピカーン。
サーは思ふ、いつモテてたんだろう?
「そう言えば、その後小夜さんとはどう?」気にしていたサーが聞く。
「あれから連絡ちょくちょくしてるんだ」
ものすっごい嬉しそうなスーまんねんの笑み。
「えっ、まさか小夜さんってスーさんのガールフレンドですか?」ピューが質問する。
この質問にまたうっれしそうなスー。
「あっ、そんなまーね」(まだ彼女ではない)
「すっごい〜〜」羨望の眼差しを浮かべるピュー。
「まっ、そんな驚くことじゃないよ」得意げなスーを見てサーは思ふ、また調子に乗って〜〜。
「僕は今までの人生で二人としか付き合った事ないんです」ピューのその言葉に唖然とするスー。
えっ二人も? プレーボーイすぎじゃないか?(そうなのか)
ちなみにスーは40を過ぎて生まれて初めての彼女(実はまだ彼女でもなんでもないのだが)小夜さんとのアドレス交換に成功したばかり。
スーはピューの言葉に動揺していた。
何故だか急にピューが自分の先輩に見え偉く見える。
「スーさんくらいの人なら女性とのトークなんてうまいんだろうなぁ」
「えっ、あっそのまーねっ」何故か語尾は消音。
こんな展開だが、意外に話は盛り上がっていた。
グビッ グビッ グビッ 酒は進む。
「いやー二人は最近仕事どう?」スーが言った。
「正直毎朝、なんかお腹痛くなるんだよね」とサー。
するとピューも「実は僕も」
すると何故かスーが二人に握手を求めた。
「僕も」
全く仕事に行きたくない三人がここにて集結。
「もし一生働かないで良いほどのお金があったら働きます?」ピューの質問。
二人の返事は即答だった。
「ノンッ」
だが三人は仕事の愚痴は今んとこ言わなかった。
「僕前に仕事やってた時、はやく帰りたかったんですけど上司の飲みに付き合わされて、ずーっと仕事の愚痴を聞かされたんです、そんな上司を見て思いました、こーはならんどこうと」ピューが語り出す。
「そーだよね、せめて仕事後くらい楽しく飲みたいよね」愚痴らなくて良かったとホッとしていたサー。
「最近はどうせ行きたくないなぁって気持ちで仕事に行くなら、せめて楽しく出来る様に自分で工夫してます」とピュー。
ピューは偉いなぁと感心する二人。
「でも、そうだよね自分の気持ち次第で変わるもんね」頷くスー。
「それでも本当にこうしたいってなった時は僕は辞める決断も大事かなって思います」
「そうだよね、その人が何かしたいことが見つかったなら僕は背中をポンと押し応援したくなる」とサー。
ここにて拍手が起こる
「よっ、さすが二人の子持ち、親の鏡だねぇ」スーがパチパチ手を叩く。
「さすがサーさん、サーさんが上司で幸せです」
普段褒められることなんて滅多にないサーは泣きそうになる「ありがとう、ありがとう」
なんだか不思議な大人の語り合いは続く
グビッ グビッ ゴクッ ゴキュッ
「いやぁーみんなで語り合い、飲む酒は美味しいね」上機嫌顔真っ赤ーのサーが言う。
「最高ですぅ〜〜〜」
酔ってきた三人は何故かお互いを褒めちぎり始めた。
「いゃあースーは昔から友達なんだけど」
「えっなに?」変なことを言われるんではないかと警戒する表情を浮かべるスー。
「昔っから優しい奴で、本当に出会えて良かったなぁって」
「僕も今日初めてお会いしましたけど、スーさん最高ですね」
顔が真っ赤になったスーはその言葉に高揚した。
「えっ、そっそうかな」
この時既に猫背に戻っていたスーの背筋が再び垂直になる。
「いやぁー、ピューさんこそしっかりしてるし、本当に素晴らしいよ」
「僕もピューが職場に来てくれて、仕事が前より楽しくなったよ」
二人の言葉にピューもあがったった。
そして三人は酔いと、ご機嫌の中この言葉を連呼する
「最高 最高 最高 最高 最高 最高〜〜」
「ハッハッハーー」飲むと、明るく笑い上戸になる三人の飲みは好きだ。
ゴキュ ゴクッ 酒はすすむ。
すっかり仲良くなったサー、スー、ピュー。
「良いな、良いな、人間って良いな、美味しいご飯にポカポカお風呂、僕の帰りを待ってんだろな、僕も帰ろお家に帰ろ、でんでんでんぐり返ってバイバイバイ」何故か日本昔話のエンディングを歌っていた。
そろそろお開きなのだろうか?
「いやぁー今日は最高でした」
「そろそろ明日も仕事だし帰りますかね」とスー
「またみんなで飲みましょう」サーがニッコリ
「そうしましょう〜〜」
外に出る三人
ビュー冬の夜風が肌にしみる
「寒くなったね、でもなんだか冬の風もなんだか乙だよなぁ」サーが言う。
ジャカジャーンッ するとギターの音が。
弾き語りをしているお兄さん。
「頑張ってるね、こんなに寒いのに」
心の中なんだか応援したくなる三人。
すると「下手くそ、うるさいからやめちまえ」
酔っ払いのおじさんが叫んだ。
急に縮こまってしまう弾き語りのお兄さん。
心の中、あんなに一生懸命にやってたのになんだよあのオヤジ、と文句を言う三人だったが、おじさんが怖くて縮こまっていた。
おじさんが過ぎた後、寂し気にギターを片付け始めるお兄さん。
すると三人は言った。
「あのぅ、良かったら一曲やって下さい」
嬉しそうな表情を浮かべ、頭を下げたお兄さんが歌いだす。
なんだか、冬の夜風が暖かくなった感じがした。
ビューーーッ
三人は手拍子して、その場の雰囲気を盛り上げ、楽しんでいた。
寒い冬の夜、なんだか心も身体もポカポカ暖かい。
「素敵な歌、ありがとうございました。これは三人からのお礼です、受け取って下さい」
三人からの気持ちを受け取ったお兄さんは本当に嬉しそうだった。
帰りの駅のホーム
「若者に夢をあきらめずに大切にして欲しいなぁ、なぁーんて偉そうにね」と、スー。
「でも本当に自分も自分の夢を大切にしなきゃなって思いました」ピューもなんだか勇気付けられていた。
サーとスー、二人は急にポーズを決め(酔っている)
「僕らは夢を持っている人たちを応援するーー」
「サーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ」
「スーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ」
「じゃあ僕も、ピューーーーーーーーーーーッ」
隣に立つおばちゃんは、なんぢゃこの変質者達は、と思いドン引きしていたと言われる。
「また飲みましょう」
「是非」
「すぐにやろう」
「さて、明日も仕事楽しんで頑張りますか」
冬の夜空に、少しだけ星が顔を覗かせる、普段は肌にしみる冷たい夜風も今夜は酔いの為か暖かく、まるで新しい一歩を後押ししてくれるよう。
心も身体もなんだかポカポカ暖かくなった、そんな三人の冬の夜。
街のネオンの灯り、空から輝く星々の光が、明るく優しく人々を包み込むよう照らしていた。




