夜は怪談
サーとスーは大喜び、酔っ払い大ご機嫌。
焼肉屋からの帰りのタクシーである。
「いやー今日は最高の日だ、ありがとうみんな」
スーの感謝の言葉を聞いた直後だった。
ザアアアアアアーーッ
でたぁーっ 冬馬名物この展開は、「あっ雨だ」サーとスーがソッと囁く。
「雨強いね」大喜が言った。
するとタクシーの運転手さんが「こんな日は怖い話がしたくなりますね」(すげー運転手だった。彼のあだ名は通称タクシー会のピナ川さん、三度の飯より怖い話が好きだったのだ)
さっそく、ノリノリの子供達
「怖い話してぇ〜〜」
「ひゃあおああっ」一瞬、だいの大人二匹が悲鳴をあげた。(へい毎度っ)
「じゃあ、話ちゃおっかなー」
やめてくれよぉ〜 頼むよぅー、ビビりまくる、サーとスーの内心である。
「深夜の2時頃、私この辺りを運転してたんだよね」
ギョッとする一同、このあたり?
「こんな雨の日夜でした」
ザアアアアアアアアアアアアアアアアーーッ
うわぁ、外で聴く怪談はよりリアルで怖いなぁ、しかも現場。
身震いする、サーとスー。
「でも、今はまだ2時より全然前だもんね」必死に今のシチュエーションは、その日と違うんだと猛烈アピールする二人。
子供達は目を輝かせながら真剣そのもの、話に聴き入っている。外はなるべく見ない様にしていた。
「一瞬、人が立ってた様に見えて、車を止めたんです」
サーが話をこれ以上、進ませない為にこんな事を言った。
「普通止めないですよ、夜中の2時に知らない人が立ってたら、そうでしょう?」
すると、きみ子が即答「仕事じゃい」
「車を止めると、女の人が立ってたんです」
次はスーだった。
前には進ませないぞ!!と言わんばかり。
「その女の人、女優さんだと誰に似てました?」
「スー、そんなの良いよ」と冬馬君。
はやく続きが聴きたかったのだ。
「乗せると、また不気味でねぇ、一言も喋らないんですよ」
「その女の人、もしかして下痢だったんじゃない?」サーである。
無視され続けられる。
「妙なんですよ、行き先も言わないし」
「あっ、分かりました。日本人じゃないんですよ。その人何処の国の人でしたか?」サーとスーが言う。
その時だった。
「じゃあかしいいいいっ」運転手のおじさんキレる。
どうやら、一番怖いのは運転手のおじさんだったみたいだ。
気になった子供達「で、どうなったの?」
「フランス人だった」
えっ、オチそれ?
皆はずっこけた。
「だから、喋らなかったんですか?」さすがに今までのフリは何だったんだと思ったのか、スーがタクシーのおじさんに聞いた。
「だから、喋れなかったんだ」オヤジがシリアスな顔で頷く。
なんじゃこりゃ、なんじゃこの話。
だが
「いやね、そのフランス人の方、良く見たら足が無いんですよ、フッと消えてしまいましてね、この場所で」
「はひょおおおおおおおおおおおおおおお〜〜んっ」
サーとスーの男根からチッチが4滴でたったちゃ。
子供達も怖がっていた。
一つの疑問、彼は何故、その女性をフランス人と認識出来たのか?
きみ子が聞いた「どうしてフランスの人って分かったの?」
「いやね、フランスの国旗のTシャツ着てたから」
なんちゅー愛国心、主張の強き幽霊!!
だが、これでイギリス人だったら笑う。
しかし、何故に日本に?まさかこの辺りで?
「この辺りで事故あった?」多網が聞いた。
「全く関係はないと思ってるんですけど、二年前に日本人と、ドイツ人のハーフの方がここでひき逃げされて足を失い亡くなったと」
それだろ、間違いなく。
フランスでも、イギリスでもなく、日本とドイツじゃないかーー。
ザアアアアアアアアアアアアアアアアアーー
雨は依然強い。
タクシーは進み、そうこうしてるうちに、スーの家に着く。
「ありがとう、タクシーの運転手さん、また怖い話きかせてね」大喜びの子供達
「また、呼んでくれたら、ここに来るよ」
スーは思う、あの人は呼ぶまい。
ガチャ
「ただいま〜〜」
寝巻き姿のスーのお母さんが、わざわざ二階からおりて来てくれ
「お帰りなさい、布団出してあるから、敷いて使って下さいね、それじゃあ お休みなさい」
「ありがとうございます」
しかし、あんな怖い話を聴いた直後、全く眠れそうにないサーとスー(子供達じゃあないのかっ)。
二人はまだ、リビングで起きてる事に。
すると子供達も「まだ起きてて良い?」
二人は思う、賑やかな方が怖くないと。
「もちろん」
ザアアアアアアアーー
多網がつぶやく「もっと怖い話聴きたい」
その発言にヒートアップする子供達。
「サー、スー話して」
ギョッとして意識を失いかける二人。
するとスーが「僕は決して、決して、怖くないけど、きっとサーが怖いと思うからやめようよ」
ピキンッ
「僕もね、怖い話沢山あるけど、スーが寝ションベン漏らしちゃうから昼間ね」
ビキンッ
「どっちが怖いか勝負だ」
なんちゅーライバル意識。仲が良いんだか悪いんだか。
ザアアアアアアーーッ
「じゃあ、僕から」スーに気合いが入る。
「待って」 ピッ 多網が電気を消したった。
「はひょ?」急に声の小さくなる二人。
子供達はさっそく、布団を敷き。
皆で布団に寝そべり、毛布をかぶる。
こりゃ、たまらん。
そう来たかぁ〜〜。
サーとスーは、ほぼ同時に思う。
何とかして僕らも布団に入り、掛け布団をかけ、安心した状態で話したい。
だが、端っこになるのは絶対嫌だ。
バッ 二匹はバッタの様にピョンと跳ね、布団に入る。端にならない様に争う二人は実に見苦しかった。
「僕だよぉー」 「僕こっちー」「ずるいよー」
「サー サー サー」 「スー スー スー」(宇宙人かっ)
一応40過ぎの大人である。
ジャンケンで負けたスーが端になる。
「おじちゃん達、なんでそんなに端がやなの?」気になった、きみ子が聞く。
「ちょっと端っこだと埃がさ」
「虫にさされそうじゃん」
めちゃくちゃな理由である。
「なんだ、怖いのかと思った」
ギョッ プライド高き男達は焦るが「やだなぁーないないそれ」声は見事にハモる。
「この状況、最高だね!大人混ざっての夜中の語り合い怪談話たまらない〜〜」ニンマリ冬馬君。
「最高〜〜」っと喜ぶ、子供達。
ザアアアアアアアアーー
外の雨音が部屋の中に良く響き渡っている。
怪談話の良いシチュエーションである。
「じゃあ、スーよろしく」大喜が言った。
「僕のは怖いよぉー知らないよぉ〜寝れなくなるよ」
皆んなは(サー以外)は、その前置きに期待しまくりである。
そして、スーが話始める
「むか〜し、むかし、あるところに」
子供達は即座に思ふ。
あっ、怖くないやつだ。
一応聴いている。
ザアアアアアアアアアアアアアーー
30分後
「そして、桃太郎はようやく、鬼ヶ島に辿り着き。洞窟の中には、それは、それは、恐ろしい鬼」スーは必死に鬼の顔を想像しない様に頑張った、目をつむっている。あー怖い怖い。
「この辺りが特に怖いんだよ、鬼が出てくんだよぉ」
スーは、話てる人間が想像しちゃうから一番怖いんだよ、そんなことを思った。
子供たちは、疲れていたのか、スーの脚色した桃太郎が、つまらんかったのか、既にみんな寝ていた。
しかし、サーとスーは子供たちが寝てることに気づいていない。
一時間後、ようやくスーの話す、桃太郎は幕を閉じた。
ちなみに主役の名前は桃から産まれた桃太郎なのだが、あだ名はスーの本名、とけたみ からとられた、とけたみ太郎だった。
ちなみに鬼のあだ名はサー鬼だった。
何故か、ストーリーには、とけたみ太郎の婚約者、女王の小夜が出て来たそうな。
どうでもいいついでに続けるが、女王の小夜はスイカから産まれていた。
更にどうでもいい事だが、山にしばかりに、川にオシッコに、のシチュエーションでスイカは流れて来ていた。
ちなみにスイカの中にひそんでいた女王の小夜は、スイカを真っ二つに切ろうとした婆さんの包丁を真剣白刃取りしたそうな。
何故か多網はこのシーンを一番怖がっていた。
ふぅー怖かった、ようやく終わった。
「じゃ、次サーよろしく」
ザアアアアアアアアアアーー
「僕が、結婚するちょっと前の話なんだけど」
なんだかちょっと怖そうだと、冬馬君が起き始める。
「大喜、多網、きみ子」皆んなをすぐに起こした。
「仕事の出張で、夜ビジネスホテルに泊まったんだ」
息をのむスー「ガチなやつ?」
布団を肩までかける。
ザアアアアアアアーー
「コン コン、確かに誰かがノックしたんだ」
「開けても、誰もいない」
「疲れてるんだ、そう思うようにして、電気を付けっ放しにベットに寝転んだ。でも、やっぱ怖いから安心する為、テレビをつけたんだ」
子供たちも、布団に肩までもぐって話を聴いている。
「寝られない、するとまた コンコン コンコン」
「その時だった、窓のところに眼鏡をかけた覇気の無い死人の様な顔が」
お前の顔だ !! 皆は即座に思った。
いつものパターン、自分の顔が映ってたんじゃ。
「コン コン コン」
「僕は悲鳴をあげると、同時に思い出した。部屋に出前とったのを」
皆は布団の中でずっこける(器用だ)
「でも、窓に映った顔だけは絶対に本物だよ、化物みたいだったもん」
「翌朝、フロントの人に聞いたよ、あの部屋で何かありましたでしょ?って」
「そしたら、急に土下座して、すいませんでした。あの部屋で前日」
皆は息をのんだ。
「大きい方を漏らしてしまった方が居て」
「僕は直感したよ、漏らして、多分だけど、そのお客さんお亡くなりになったんだと、だから窓に亡霊の様な化物顔が。でも、それ以上は聞かなかった」
実は、そのお客さんはウンコ漏らして、その部屋臭いから嫌だと、隣に移動していた。
ああ、不運なサー ああ サー ああサー。
説明はもう要らないだろうが、彼が化物呼ばわりする窓に映る死者の顔は自分である。
サー サー サー サー サー。
こうして夜は更けていった。




