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満天  作者: 印殷
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第4話

あの天の心の叫びの発表からも月日がたっていき、気がつけばもう卒業式の2週間前だった。天はいまだにいじめられていた。が、以前より確実に強くなっていた。そして、見てみぬ振りする人も居なくなった。誰か彼かが声をかけるようになった。だんだんと、天の言っていた宝物の意味がわかる人が増えてきた。それだけでも、天の心は救われた。

 だが、天の闘いはまだ終わらなかった。天が望むものは“いじめの撲滅”自由研究にもそのことが切々と書いてあった。

 ある日の放課後、天は健太に呼び出された。天は、これがチャンスなんだと、静かについていった。

「お前さ・・・・・」

と健太が口を開いたとき、天は大きな声で言った。

「僕のどこがダメ?」

健太は一瞬何を言われたのかわからなかったが、すぐに、

「は?」

と聞き返した。天は、

「何がダメ?」

と聞いた。健太は答えにつまった。天にダメなところなど、どこにも無かった。それは、健太も知っていた。しかし、健太にしてみればその完璧さが気に入らなかった。

「お前にダメなところなんてねぇよ。ただ、それが逆にムカつく」

と健太は言った。天はうなづきながら聞いていた。

「別に、お前のことが嫌いなんじゃない。ただ、お前が完璧だから。何してても。頭いいから体育とかダメなんだろうなとか思ってたけど、しっかり出来るし・・・・・。その完璧さがムカつくんだよ」

と健太は言った。天は、にっこり笑って、

「僕は・・・・健太君が思ってるほど完璧じゃない。完璧な人間なんてどこにも居ないんだ。もし、人間が完璧だったらそれは人間じゃない。ロボットだ。僕は、朝起きるの辛いし、ご飯食べるの遅いし、牛乳飲めないし、出来ない事なんてたくさんあるよ。僕は、完璧じゃないんだ。みんなと同じなんだよ?」

と言った。健太は、目を泳がせながら、何か考えていた。3分ほどの沈黙の後、健太が口を開いた。

「お前、俺のこと嫌いじゃないのか?」

と聞いた。天は首を振り、

「嫌いじゃないよ。むしろ・・・・・・好きかな?」

と言った。健太は、

「は?」

と言い天をにらんだ。天はテレもせず、

「健太君は、いじめるけど、どこか、優しさがあって。強いし。だから、健太君のこと僕は好きだな。健太君は?」

と聞いた。健太は、しばらく黙り込んだ後

「・・・・・・・ごめん。今までいじめたりして」

とつぶやいた。天は聞き返した。健太は、

「だああ、もう。ごめん。今までいじめて。・・・・これから、友達になってくれるか?」

と言った。天は大粒の涙をこぼしながら、

「うん」

と一言だけ言った。

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