whitefriends
食堂に着いた私は、店内を見渡す。
人影は数人いる。
皆で談笑しているようだ。
みな、組織に配属されている、表の顔を持っている人達ばかり。
「マスター、水を一杯とトーストを頼むわ」
後ろの植え込みから不意に女のような、涼しげな声がする。
私はその声に聞き覚えがある。
見覚えのある顔で、確か、私の師匠のサンゴが生きていた頃、私のスタイリスト役だった、小坊主だ。
確か、ルールを破ったもの『組織の存在を外部に漏らしたもの罰則すべし』その掟を造ったのが、この青年だ。
名前をルーと言う。
私はトーストが運ばれて来るのを見届けると、背中越しにこう切り出す。
「双子はカードをボスに黙って使ってしまった…」
見届けると、背中越しにこう切り出す。
「双子はカードをボスに黙って使ってしまった…」
怒りに任せて私は言ってしまう。
「私があの男を罠にかけてしまったわ」
「鬼面仏心だな」
「しかし、あの男は自分の生徒を見殺しにしたのよ」
「お前、それを見て、何とも思わなかったのか?」
「私が決めているのは、強くなりたいことだけ」
「孤立無援だな。あのロングヘアー切ったのか?どうしたのだ?」
「ルー。あなたもね。その腕の傷はどうしたの?」
「ただの掠り傷だよ…」
そうは見えない、ルーの外見は暗殺者にはほど遠い。歌舞伎の紋様と白髪のまとめ髪。
「この傷、ボスに付けられたのだ。だが俺はね、掟を破ったあの双子が許せない」
「だから、なんなの?」
私は冷たい水を一気に飲むと、トーストを差し出す。
ルーはしかめっ面するとこう告げた。
「棺桶まで、ボスにもらった。このファーを大切に取っておくつもりだ」
「取りあえず、この『支配するインセント』を置いて置くわね…」
私はボスであるベリーの事を思い出す。
あの方にはサイドにクランとスイートが従えているはずだから難しい。
「奴に会うつもりか?そんな丸腰で?」
ジュニパーは大きな頷く。
「えぇ、そのとおりよ」怒りに任せて私は言ってしまう。
「私があの男を罠にかけてしまったわ」
「鬼面仏心だな」
「しかし、あの男は自分の生徒を見殺しにしたのよ」