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「私は勇気を出してボスに呼びかける。後ろの二人と変わって下さい」
「いや、だめだ。お前は上司を罠にはめんな。そんなやつにこの二人とコミュニケーションをとらせる義務はない」
二人の声が聞こえる。
「待ってくれボス。ドラゴンにこのゲームのヒントを教えてもらいたい」
ボスは暫く沈黙すると、
「いいだろう。ただし、あの青年の身軽をキチンと報告してからだ」
「分かりました。即時、そちらへ向かいます」
そう言うと、私は震える手で電話の受話器をおろした。
ボスと話すのはやはり骨が折れるわ。
私は上の階に登ると、青年を見つける。
タイガーのクリスタルがそこらに散らばっている。
奴は逃げたようだ。
青年は包帯を何故か肘と膝に巻いている。
「これってさぁ、宝石に見えるけど、ただの石だろう」
「あなた、あいつの攻撃を受けなかったの?」
「ああ、オレは生徒だからな。先生には逆らえないよ」
「これからボスの所に行くのだけれど、あなた怪我しているみたいね」
「その姿じゃ喫茶店にも行けないでしょう」
「ああ、これ寝間着姿なんだ」
散らばっているクリスタルの中から私は2、3個、ヒビが入った物を見つける。
タイガーがミスをすると怒りの波長がクリスタルに集まって、傷をつけてしまうのだ。
「帯姿に見えるのだけど…」
青年は少し考えたようだ。
ボスの所に行くには正装に着替える必要があると思う…。
「その昔、サンゴさんに巻いて貰った包帯なんだ」
「あぁ…それは解けないわよねぇ…」