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翼よ、天まで届けよう  作者: 松谷 真良
プロローグ的ななにか
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プロローグ

30XX年。


科学力の進んだ日本は、超能力のような力を人間に植え付けることに成功した。

そして、それを普及させたのが、大谷家、山崎家、月野家、そして羅城家の4家。羅城家を除いた3家は、いまでは日本政府に次ぐ勢力となっていて、分家も多く日本には欠かせない存在となっている。


超能力に近いものは、一人の人間に対していくらでも植え付けることができると、理論上はなっている。が、その人の性格、精神強度に応じて限度というものは出てくるのではないだろうか、というのが最近の学者の説となってきている。


その、超能力にちかいもの、だが。これが普及したことによって、日本は荒れた。なにしろ、完全犯罪は起こせてしまうわ、法律には引っかからない方法で犯罪が起こせてしまうようになったからだ。

困った日本政府は4家へ相談した。どうすれば、能力者たちは大人しくなるのか、と。


大谷家は、我ら4家が取り締まろう、と言った。


山崎家は、結界を張って罪を犯した者から能力を取り上げればいい、と笑った。


月野家は、能力者たちを一つの所へ集め教育をすればいい、と答えた。


羅城家は、能力者たちにもランクをつけ、それによって優先されるような制度を作ればいい、と投げやった。



政府はそれらのいいところを取り上げて、学園都市、というものを太平洋上に作り上げた。


そこでは、ペーパーテストで能力者たちはランクを決められる。ペーパー能力者の誕生だ。



学園都市は結界が張られ、外部とは隔離されている。

そして、学園、の名が指すように、学園都市にいるのは学生が8割。残りの2割は研究者たちだったり、4家の関係者たちだったりする。



能力者たちによって起きた混乱が落ち着いてきたのと時を同じくして、魔界という存在が世界へ知れ渡る。

そこには、魔王と呼ばれる絶対的な存在がいて、自衛隊は埃のように、能力者たちは虫のように蹴散らされた。



再び困った政府は、4家の力も封じることも目的として、魔界とこの世界―現界―を隔てる結界を張るように命じた。

この命には当時一番力のあった月野家が応じ、当主が魔界との間に結界を張った。


これでさらに月野家が政府へかける圧力は大きくなった。







と、いうわけでそんな学園都市にある学校から物語は動き出す。

学園都市は超能力開発を行う街だ。学園都市はあらゆる教育機関・研究機関の集合体であり学校の授業として超能力の開発を行っている。学園都市の人口の約8割は学生で日々自身の能力の向上に努めている。


そして学生の能力レベルを測定する行事こそが能力テストだ。学生は定期的に能力テストを受けることが義務付けられており、その能力テストの日というのが今日だった。始業式から2週間後という時期にあるこの検査イベントは結果の優れない学生にとっては悪夢のような行事だ。



例えば、異能力者がうようよと存在するクラスを見て、ため息をついた美が付くか付かないかという所の顔立ちの金髪橙眼の少年のように。


「よっ、どうした水樹?」


そんな彼の肩をたたいたのは、この学園の生徒会長で彼の親友でもある大谷スバル。


「ああ…能力の検査結果がなぁ…」

「ま、しょうがねぇじゃん?お前が馬鹿だからランクが低いわけで、実際は強いし?」


ポンポンと肩をたたき出したスバルの手を払いのけ、水樹は宙を睨み付ける。


「それは関係ねぇ!!馬鹿なのは…多分、血筋なはず!大体、おかしいだろ!頭の良さで能力値を決めるとか!俺、最下位なんだけど!そんなに頭悪い!?」


そんな彼の言葉に、スバルはしばらく悩んでから、首を力なく振ってつぶやく。


「…ゴメン、かける言葉が見つからない」

「そう…」

「馬鹿な水樹が悩むなんてなぁ…」


ワザとらしく遠い目をして水樹をからかいにかかるスバル。


「ちょ、それはないって、マジで!?どんなふうに見てんだよ!」


さっさと話題を変えることにした彼は水樹の隣に座る。


「そーいう風に見てんだよ。ああ、今日転校生が来るってさ」

「4月なのに?」

「理事長の知り合いらしい。知らないのか?」

「ああ。聞いてねぇ」


キッパリと言い切った水樹にスバルは情報が入ってくると期待していただけにがっくりと肩を落とす。


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