憂鬱が消えない理由
雨が屋根に当たり、その音が部屋中に反響して、僕の睡眠を妨げる。
時々、眠りの入口に辿り着くと他の女の夢が現実へと引き戻す。その度、全ての憂鬱が雨音と共にこの部屋の中に広がる。
重い空気は弱った心を押し潰すには充分過ぎるほど残酷だ。
溜め息、憂鬱、不安。長い間の想い出は拷問にも似ている。それから抜け出したい、ここから逃げ出したい、それが目を閉じる瞬間に願うことになってしまった。
何も考えることはない。ただの現実逃避。
「どこかへ逃げてしまおうか」
そう考えるが、そんな勇気もない。
だから、雨は嫌いだ。