初対面の桜
今回は新キャラが登場します。ただし、原作キャラの登場が著しく少ないです。ご了承ください。
心也が目を覚ますと、近くで喧嘩のような声が聞こえてきた。
???1「だから何度も言っているでしょう!?あなたはもう少し離れてください!」
???2「なんで私が離れないといけないのよ!そういうあんたが離れなさいよ!」
心也が寝ている布団をはさんで2人の少女が口喧嘩をしていた。まず心也は元々ここで一人暮らしなため、状況処理が追いついて行かない。
はぁ?今どうなってるんだ?なんか仕事で疲れて帰ってきて、朝起きてみたら2人の少女が俺の家の中で喧嘩をしている。いやいや、俺はまず一人暮らしだぞ?それにこの家には誰も近付けないように基礎的な閑散魔法を使ってたぞ、それを無視できるのはよくて中の中級妖怪。だがそれほどの実力がある奴ならまずここには近づいてこない。
心也が考えているうちにもさらに喧嘩はヒートアップしていき、ついにはお互いの襟をつかんでいる。…相手の襟をつかむ少女ってなんか特に怖くない気がしてきた…
心也「取り込んでいるところ悪いが、お前ら誰だ?」
???1「すみません心也様!私は心也様の刀【桜柳】のつくも神です。名前は刀の銘の【桜柳】からと、刀身の花びらか綺麗だったのから取って桜 柳華と名乗らせてもらいます」
そう言ってつくも神、柳華が頭を下げる。柳華は【桜柳】のつくも神のはずだが、なぜか蒼い髪の毛だった。さらに服装は黒の和服、だいぶ似合っている。
つくも神?それってアレか、長年大事に使われてると道具が意思を持ち始めるアレか。
そして心也はもう一人の心也の妖怪化時と同じ、薄桃色の髪の毛の少女を見る。
心也「柳華は頭上げろ。それでお前は?」
???2「あちゃ~さすがのお兄ちゃんも分からないか…私はお兄ちゃんの桜に残った妖力から独立した存在。まぁ能力は大体お兄ちゃんの劣化版だけどね。名前は神代 心でいいかな?」
言いながら心は小さな炎と水を指から出す。…なるほど【自然を扱う程度の能力】と言ったところか。
心也「分かった。それじゃ俺は朝飯作るから適当に座ってろ、部屋は好きに使っていいから」
そう言って部屋を出て行き、適当に食べられる物を作ってリビングになっている部屋へ持って行った。
するとそこには早々と2人とも座っており、丁寧に座布団まで敷いてあった。その数は2つ。…俺に食うなと?その後も全く座布団を追加する気配が無いので、机に並べて襖に仕舞ってある座布団を2枚取り出す。なぜ2枚なのかと言うと…
心也「紫、どうせ見てるだろ?お前も食べるか?」
紫 「あら、良く気づいたわね。私に気付く妖怪なんて居ないと思っていたけど」
そう声が聞こえると、空間が割れて金髪の女性がその中から出てくる。心也はそれを眺めながら引き攣った笑みを浮かべる。…もう少しましな登場の仕方は無いのか?そのスキマの中の目が怖いんだが。
心也「そりゃ毎日毎日舐めるように見られたら気付くさ」
紫 「舐めるようにって…もう少し他の言い方はできないの?///」
そう言って紫がうつむきながら頬を赤く染める。心也としては気持ち悪いという意味で言ったのだが、他の意味で受け取ったようだ(他の意味があるかどうかも分からないが)。
なんか紫って初めて会った時から胡散臭いだけかと思ったんだが、別にそういう訳でもないみたいだな。時折少女っぽくなるし。まぁ、これが紫だと思っとけば別に問題無いか。
心也「それで紫はなんでここに来たんだ?飯を食べに来たわけでもないだろ?」
紫 「まぁ元々スキマに落として話をしようかと思ったのだけど、この家からは妖力が漏れないようになってるみたいだし、でてきて話をしようかと…」
心也「話を逸らすな。本来の目的は?」
紫 「うぅ…初めて会ったときに名前を教えてもらわなかったのを思い出したのよ!だって恥ずかしいじゃない、知り合いなのに名前聞くの…」
紫の言葉を聞き、心也はハッとする。
そういえばこいつには名前教えてなかったな。最初に会った時は俺が一方的に都の位置を聞いたし、それ以降も紫が見ているのも無視してきたからな…
そこで心也は少し思案した。…こいつに教える名前って十夜 六月の方がいいのだろうか?一応遠い未来で会うことは確実なのだから、本名を教えておくべきなのか…
心也「それはすまなかった。あのときは俺が急いでたからな、そういうことに考えを回す余裕が無かった。それじゃ、改めて『心也』だ」
紫 「こちらも改めまして『八雲 紫』よ。…って、あなたの苗字は何なのよ」
心也「別に気にするな。そういえば俺の生い立ちも話してなかったよな?俺は今日仕事休むつもりだから、そこでいじけてる奴らの紹介も含めて話し合おうぜ」
そう言って心也は「私たちってだいぶ空気だよね、柳華さん…」「そうですね、心さん…それと名前でいいですよ…」「それじゃ、私も心って呼んでいいよ…」などと部屋のいつ移動したのか部屋の隅でブツブツと話している2人を机まで引っ張っていき、座らせて自己紹介をさせる。なぜいきなり話題を変えたかと言うと、俺も会ったのは今朝が初めてだしな、一応把握しておきたかったからだ。
それからは色々なことを話した。俺が別の世界(おそらく未来)から来たことは前回話したからそれの詳細や、今後の予定などを話し、心の自己紹介の好きな物の部分に俺の名前が入っていたり、それを聞いた紫がなぜか怒りだしたり、気があったのか柳華と紫が結界について語りだしたりと…まぁグダグダに話しながら居ると、外は暗くなり、夜になってだいぶたったようだった。
心也「それじゃ俺達の仲を深める親睦会はこれで終わらせるか」
紫 「いつの間に親睦会に変えたのよ…それより心也、柳華をもらって行ってもいいかしら?」
柳華「それは止めておいた方がいいですよ。実は私、結界を語ることはできますけど使えませんし。それに家事も全くできませんよ?」
心也「それは俺からも願い下げだ。こいつを連れて行かれると刀が扱えん」
紫 「本人と持ち主が言ってるから諦めるけど…心也、心、柳華、突然だけど私の計画に協力してくれるかしら?」
心 「具体的にはどういうものなのかな?…私はお兄ちゃんが賛成なら賛成だけど」
紫 「私が協力してほしいのは、妖怪と人間が共存できる世界を創造すること。世界と言っても一つの地域に結界を張って外と隔離した世界を作りたいと思っているのよ」
人間と妖怪の共存か…別に悪い話ではないと思う。俺としてはかなりいい話だとは思うが、実現はかなり難しいだろう。何よりその共存をできる人間や、そう言った妖怪を集めなければならない。さらにはそれを守ることのできない者への抑止力になる存在も。…俺達にそれを探すのを手伝えと言うことだろう。
心也「分かった、その計画に乗ろう。柳華と心もそれでいいだろう?」
柳華「私の決定はすべて心也様に委ねています。私個人としても賛成しますが」
心 「私はさっき言った通り、全部お兄ちゃんに任せるよ!」
心也「だそうだ。紫、俺達はお前の計画に全面協力をしよう」
紫 「ありがとう…それじゃ私は御暇させていただくわ。心也、もう一度言うけど本当にありがとう」
紫はそう言い残してスキマに入って消えて行った。心也達はそれを見送ると、各自で大きく伸びをして「また明日」と言いながら話の中で割り当てられた部屋へ戻って行った。心也は自室のベッドに入りながら、明日から面倒臭いことになりそうだな。と考え眠りについて行った。
受験がかなり忙しくなってきたため、3月の10~15くらいまで休ませていただきます。すみませんがご了承ください。