ヒカリのサバイバル・ゲーム
海原ヒカリは、一人で森を走っていた。
無人島で開催された、全国高校生サバイバル・ゲーム大会。サバゲー部の猛者達が一同に介し、テレビ中継もされる一大大会。
友人に無理矢理参加させられたヒカリは、突然の奇襲で仲間と散り散りになり、武器も取り落とし、たった一人で逃げ惑う。
不意にガサガサッ、と茂みが揺れ、恐怖に駆られて唯一残ったハンドガンを乱射。
すぐにガチン、とスライドが下がったまま停止して弾切れになる。
それを見計らったように、奥から迷彩服姿の少年が現れた。
突き付けられるライフルの銃口。
瞬間、ヒカリは覚醒する。
手に下げていたビニール袋からそれを取り出してーー
「大会も大詰めを迎え、ついに最終日です。残ったのはわずか二チーム、人数も残り一人ずつ。今正に、決着が着こうとしています!」
それは異様な光景だった。
まるでミシンのような軽い連続音を立て発射されるサブマシンガン。それを手に後退する男と、飛来する銃弾を時に避け、時に撃ち落とし、ジグザグに駆けて迫るヒカリ。
その手の中で、それは銀色に光る。
スズキ目サバ科サバ属、マサバ。
両手にサバを逆手に構え、一気に男に近付いて、
男の口がにやり、と笑った。
後ろ腰に隠した、銃身の短いショットガン。曲芸のようにくるん、と手の中で回転して銃口が向いて、
ヒカリの眼前で弾けるソードオフ・ショットガン。
「ちいぃっ!」
間一髪被弾は避けたものの、手の中のサバは持ち手の尾を残して吹き飛ばされた。
「とどめだっ!」
ジャコンッ、と弾を装填して再び突き付けられる銃口に、今度はヒカリが笑う。
「奥の手はこっちにだってっ!」
シャランッ、と背中から抜き放つ銀色の輝き。それはムチのようにしなってショットガンを巻き取り、彼方へ投げ飛ばす。
サバ亜目タチウオ科タチウオ属、ホンタチウオ。
その名の通り太刀のように美しいその姿に、男は歯噛みしてサバイバルナイフを構えて、
「ここまで来て、魚なんぞにぃっ!」
「遅いっ!」
ヒカリの一撃は鋭く男の顔面に叩き込まれて、
「な、生臭い……っ!」
そして、高らかにゲーム終了のアナウンスが流れた。
「優勝は海原選手! …と言いたい所ですが、今回、事前に申告の無い生魚を使用したため、大会規定により失格となります! 非常に残念ですが、また次回お会いしましょう!」
無人島は横須賀の猿島のイメージです。サバやタチオウも取れるらしいです。




