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第8話 事後処理

 光と熱が収まった後、周囲に残ったのは、スライムの残骸と、幸い引火はしていないが、黒く焼け焦げた駅の外壁と、アスファルトが残っていた。


「これで一件落着っと」


「な〜にが一件落着だよ!地面も外壁も真っ黒焦げじゃねぇか、加減をしろって言ったろ!」


「加減はしたよ。どこにも引火してないじゃん」


 膨大な熱を、もろに受けた駅の外壁は、まだ赤熱しながら煙を出しているところもあった。


鉄筋が溶けかけている時点であれのヤバさは十分に伝わる。有機物や可燃性のガス類が周囲になくてよかった。


「火事になったらやべぇぞ」


「ま、まぁそうなる前に退散しよ!もうピリ辛チーズバーガーLサイズポテトセットはもういいから!」


 今度は、理央に手を引かれながら、この広場を出ることになった。


ふと空を見上げると、そこにさっきの『境界』はなく、青々とした空に、白い雲が点々と浮かんでいるだけだった。


 ♢♢♢


 青白く光る大量のディスプレイ、その赤髪の女性は、ゲーミングチェアに腰掛けながら、キーボードをカタカタ叩いていた。


 と言っても、別にゲームをしているわけじゃない。その画面に映るのは、現実世界。行き交う人々を様々な角度から捉えた映像が映し出される。


「あ、これかな~、これまで何人も挑んで捕まえられなかったってやつ、『BLACK STAR』の裏切り者、小銭稼ぎには最適ね」


 彼女は、誰かに電話をかける。


 口元に、微かな笑みを浮かべて。


 ♢♢♢


「じゃ、また明日〜」


「うん、またね~」


 私は正治と時雨ちゃんの二人と分かれて、私の部屋に帰る。


 今日は、なんだかいろいろあった。朝に、衝と正治と一緒に、学校に登校して、スパルタ教師(予想)が担任になって、時雨ちゃんと出会って、仲良くなって、一緒にアイス食べて、魔物の襲撃に遭って、今日一日だけにしては、あまりにもジェットコースターな時間だった。


「ん~、明日も似たような日になるのかな」


 私は、寮の通路のど真ん中で、大きく背伸びをした。すると、口から自然とあくびが出てきた。


「まぁ、それも悪くないかな、死にさえしなければ」


 そう呟いた直後、後ろの方で、カツン、と乾いた音がした。


 とっさに後ろに振り向こうとした、だけどそれより先に、口に何か押し付けられるような感触が先にきた。


「ムグゥ!??」


「騒ぐな。大人しく寝ていろ」


 意識が朦朧とする。何か薬品を吸わされた、だけど、それを引きはがせる様な力はもう私には出せなかった。


 最後に聞こえた音は、私の体が、床に倒れる様な音だった。

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