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悠久のクロスファンタジア 〜DUAL WORLD〜  作者: はとかぜ
第3章 星の魔術師編
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第77話 予想外の帰還

「続きを始めましょう。もう少しギアを上げていきましょうかね」


脇腹に蹴り込まれたが、魔法装甲によってある程度は防げた。『天秤座』にも発動時間があるはずだ。効果が途切れたところを狙って近接戦に持ち込めばいい。


(運動機能には問題なし。物理攻撃が互角になった以上、一定の距離を取りながら遠距離で攻撃する!)


相手は魔力を手のひらに貯めるような動作をした。


さっきとは何か違う。


「『錬合』


衝壁弾(しょうへきだん)』」


ためた魔力はこぶし大の光弾になり、更にいくつにも分裂しこちらに高速で飛んでくる。


(多い!しかも速っ!?)


魔法弾はこちらを追尾し、外れた弾は建物跡などに衝突し爆発する。嫌な予感がするので、できる限り避けたかったが、どこに逃げても袋のネズミ、ここで全力で魔力防壁を展開すれば、何とかこの場を耐え忍ぶくらいは出来るはずだ。




パリン、と音がした。


――――――……


―――――――――………




◇◇◇




「んあ…………あれ、ここって……」


「やっと起きた。やっぱりこっそり追いかけて正解だった」


ここは一体何処だろうか。目を覚ましたらいつの間にかここに居た。目の前には亜紀がいる。


ベッドの上で寝かせられているし、やっぱりどこかの病院だと思う。


「……あれからどうなったんだっけ……」


「美空ちゃんが出てから、私も私でその犯人にマーキングしていたんだけど、いきなり変な感覚になってね、犯人の魔力の質がいきなり変わったの。当然私にとっても想定外、よくよく考えれば一人で行くのは明らかに無茶だったし、それから美空ちゃんのことを追いかけたの。魔法を使ってね」


「あーっ!そうだ……防いだはずなのにいつの間にか食らってたんだ、攻撃を……」


やっと消えかけていた記憶を取り戻して、私は成人してから初めて、純粋な恐怖を感じた。


「そうだよ……防いだはずなのに何で……『天秤座』といい、全部デタラメ過ぎる!その上防御貫通なんて……あんなの勝てないでしょ」


「随分トラウマを植え付けられたんだね。実際私が見つけた時瀕死状態だったし……あと、無理に動かないほうが良いよ。回復魔法は掛けたけど、あくまで応急処置だから」


私は亜紀にそう言われて、私は自分の身体を改めて見た。病衣の下は見るも悲惨な状況になっており、体全体が包帯だらけだった。


当然といえば当然だった。いつもはきっちり防壁で防げるので、手加減無しの本気魔力弾を、生身に直に食らうのは始めての体験だった。


「ところで、ここは一体どこ?病院なのは分かるんだけどさ……」


「ここは平都。私が持って帰ってきたの」


「持って帰ってきたって……」


それならまあ安心だ。生きていると知られたら、次は本当に死んでいるかもしれないし。それなら犯人のいる場所から少しでも離れたほうがいい。


「とりあえず、他の自警団と情報共有して。私はもうこの件には関わりたくないわ」


「どっちみち、その身体じゃ関われないと思うけど」


「わかってるよー、あとはそっちで何とかしておいて」


全部丸投げで申し訳ないとは思っているが、今は入院中で動きたくないし動けないのだ。




「ん……誰か来たよ。開けようか?」


「え?うん……お見舞いかな?」


病室のドアがノックされた。誰かがお見舞いに来てくれたか、お医者さんあたりが来たのだと思う。


亜紀はドアを開けた。


……と、同時に謎の衝撃波が私の顔面に飛び込んできた。


「ふぐっ!?」


「良いザマじゃねぇか、姉貴」


「おい、衝!?怪我人に追い打ちかけんじゃねぇよ!?」


一瞬敵襲だと思ってしまった。衝撃波は致死性があるわけではなかったので、痛みは頬を軽くぶん殴られたくらいで済んだ。


「しょ、衝?お見舞いに来てくれたの?……だよね?」


私は痛む頬を抑えながら、そう聞いた。


「最初は来るつもり無かったんだけどなぁ、姉貴が大怪我してるって言うから、少しでもそれを拝もうとなw」


「なんて言うから俺もついてきたんですよ!ったく、昨日は昨日で日帰り旅行に行って疲れ切っているってのに」


付き添いで来たらしい正治くんがそう言った。


「へぇ、旅行行ってたんだ。どこに行ったの?」


「東京です。知り合った女の子に案内して貰ったんですよ」


「何だお前、随分お盛んじゃねぇか」


「黙れマセガキ、お前には言われたくない」


何と微笑ましい会話だろうか。私から見たら羨ましくて仕方ない。


「東京かぁ……昨日私が戦って負けたのもそこだけど……」


「あ、そうなんです?じゃあどこかですれ違っていたんですかね」


「かもねー!私は焦っていてそれどころじゃなかったけど。よかったら聞かせてくれない?入院生活結構続くみたいで暇なのよ」


「それ俺も気になるな。一体二人でどんなことしてきたんだ?」


「別に何もしてねえよ!!ただ案内してもらっただけだ!!」


それから三十分近く、4人で話していた。気づいたときには、昨日の戦闘のことも忘れかけていた。

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