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悠久のクロスファンタジア 〜DUAL WORLD〜  作者: はとかぜ
第3章 星の魔術師編
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第75話 ファーストコンタクト

東京某所、16:25、


「はあ……何なんだろう……あそこで路地裏にでも連れ込んで殺してしまえばよかったのに……あそこで全部終わっていたのに」


あの時、彼は油断しまくっていた。さり気なく人目のつかないところに連れ込んで、そのまま殺してしまうことなど容易だった。


確かに決心はついていたはずだった。何年も前からずっと。


(なのに……何で……)




ざりっ、と、アスファルトの地面を擦る音が聞こえた。


「いたいた。要件は分かっているでしょう。大人しく捕まってもらうわよ」


「……何で……周りには十分気をつけていたはずなのに……」


「そうよ!随分と苦労したわ。私達みたいにサーチ系統の魔法使いがいなければ詰んでいたわ」


名前はわからない。だけど、自分に明らかな敵意を持っていることは分かった。




『あなたの手に余るわね、寝ていなさい。すぐ終わるから』


頭の中に声が響く。意識が闇の中に落ちていく。


◇◇◇




(さっきから妙な気配がする。2種類の魔力が一つの身体に重なり合っているような……)


夜になり、犯人が人気のない場所に来たタイミングで、私は直接、彼女に接触した。


だけど近くに近づいたときに気づいた。


彼女の内側にはなにかいる、と。


魔力の質で他人を特定するのは至難の業だ。それが出来ればこいつはとっくの昔に捕まっている。


だが、互いに異質な魔力が2つある時、その違いは、わずかながらにわかったりする。


例えるなら、2つの違う大きさの文字を用意して、片方を人に見せて、これが何ピクセルかなんて聞いたところで、わかるわけなんてまずない。


だが、2つの文字を同時に見せて、どちらが大きいかと聞くのは簡単だ。見たまんま大きい方を答えればいいのだから。


魔力の質なんていちいち覚えていられないし、こんな状況でもなければ違いなんてそもそも感じる機会もない。


(操られている可能性も考慮しないとね。引き剥がして倒すのが最善だけど……そう上手くはいかないだろうし)


引き剥がせなければ、最悪、少女もろとも、なんて自体にもなりうる。少女を拘束したところで、元凶が身体を捨てて逃げ出したらもっと面倒なことになる。


終わりの見えないいたちごっこにはしたくない。被害が更に拡大すれば、取り返しのつかないことになる。


(どんな状況になっても的確に対処する!遅くとも夜明けまでには!)


私が体内で魔力を回して、戦闘態勢を整えたと同時に、2つの気配のうちの1つが、どんどん増幅して、片方の気配を飲み込んでいく。




「あー、陽の光を浴びたのは久しぶりね。と言っても、私は太陽あんまり好きじゃないのだけど」


見た目に全く変化はない。だが口調と気配が明らかに違う。ずっと少女の中に居座っていたらしい。


「別人……かしらね。魔族だとは思うけど」


「要件があるならさっさと言って。こっちも暇じゃないのよ」


「要件?さっきも言ったけど分かっているでしょう、私がアンタを捕まえに来たってさ!しらばっくれんな!」


「まーねぇ……でも、私はぶっちゃけこの娘の身体はどうなっても良いわけなんだけど、そこのところどうなの?あなたに攻撃出来る?」


見た目からは似つかないような口調で、少女?は嘲笑うように口走る。


「出来なきゃこんなとこわざわざ来てないわ。それはともかく、


やっと本性表したね。さっさと白状しなさいよ。自分の正体も、何もかも」


「そうねぇ、じゃあ、最後に教えてあげる。私の正体と、その目的を」


そう言って、彼女は指を打ち鳴らす。すると、途端に彼女の身体は、大人びた体型に変わっていき、頭から角が、腰の方からは尻尾が、背中からはコウモリのような翼が、それぞれ生えてきた。


「面白いでしょ?この娘の身体と私の身体を、一時的に融合させているの。今の私は2種類固有魔法が扱えるわ……と言っても、この身体だと私の固有魔法しか使えない。器と魂に親和性が無いと、上手く機能しないのよ」


「何言っているのよ。器がどうだの、魂がどうだの、要は結局固有魔法は2つあるけど、1つしか使えませんって話でしょ!」


「人間界の人間は流石に知らないかぁ……まあいいや。じゃあ私の種族はわかる?」


「見たこともないからわかんない」


「女の子に聞いたのが間違いだったわ。そりゃあわかるわけなんてないわよね。まず関わらないもの」


彼女はため息をついて、そう言った。


「私の種族はサキュバス。淫魔とか夢魔とか言われたりするけど、別に四六時中そんな大層なことはやっていないわ。私の目的はただ1つ、崇拝する御主人様のために、従順な下僕を何人か見つけて連れてくること……!これ程光栄なことはないわ!」


私は顔を赤く染めるこいつに少し引いた。でもそうだとすれば辻褄が合う。強そうな荒くれ者に目をつけて、実力を見定めて()()を行っていたのだろう。


(女の子の身体を使っているのは……本体に戦闘能力がないからかな?それともその子がその下僕にしたいって子なのかな?考えていてもこんがらがるだけだし……もう早いとこ倒して聞き出すのが得策ね)


「女の子だと『魅了の瞳(チャーム・アイ)』も効かないし、こっちの方が戦いやすい。もう始めていいわよね?」


「良いよ。暇だし。あとは捕まえてからゆっくり聞くわ」


そう言って、身体を元に戻してポケットの中から呪符のようなものを取り出す。




「まずは小手調べね。『射手座・閃星』」


立川・国立放棄区域。そのど真ん中で、一筋の閃光を皮切りに、戦闘が始まった。

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