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悠久のクロスファンタジア 〜DUAL WORLD〜  作者: はとかぜ
第3章 星の魔術師編
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第74話 水面下の躍動 -Ⅱ-

「ふ~……着いた着いた。帰りの電車の時間もあるからあまり長くは滞在できないですね。」


「浅草……懐かしいですね。結構昔にお母さんと来たときに以来でしょうか?あと、別にタメ口で構わないんですよ?」


俺達がいるのは、ニュースで外国人観光客の話題をやるときには大体出てくる浅草の雷門の前だ。


境界事変直後は、このあたりも荒廃していたが、有志によって速攻で再築され、今はこうして多数の観光客が集まる風景を取り戻している。


「覚えているのか?母親のこと。俺はぼんやりとしかわからないのだけど」


「はい!今でもはっきり覚えていますよ!」


そう言って彼女は笑った。十年前のことをはっきり覚えているのは、相当記憶力がいいのだろう。


「……楽しい思い出があったのか?」


「今でもたまに思い出しますよ。ここだって、何回も家族とここに来て、写真を撮ったりしましたから。現像して残しているんです」


この場所は、星姫にとっては、思い出深い大切な場所らしい。当然、俺にだって思い出の場所はある。


(いや、あれは思い出というよりトラウマだな。だけどその事件がなければ、俺達が深く魔法に関わることは無かっただろうけど)


俺は昔のことを思案しながら、あたりを見回す。とりあえず、このまま浅草寺の方に参拝に行こうと思う。


せっかく来たのだから学業成就でも仏様に願ってご利益をもらってきたいものだ。まあ神社ではなくてお寺なのだが、それは気にしない。


「じゃあ、ここを進んでいきましょう!そしたら本堂の方にたどり着きますから!」


「ああ、わかった」


◇◇◇




「ねぇ、何をお願いするの?」


星姫は、俺に小さくそう聞いた。


「あー……勉強のこととか、友達関係とか……あとは……世界が平和になりますようにとかか?」


「壮大ですね」


「最近、そうやって考えることが増えたんだ。人の死の間際を、この目で見たからかもしれないな」


彼女は、そう聞いて、ふーんと、なんとも言えないような表情をした。その目にこもる感情は、俺には読み取れなかった。


「じゃあ、私もおんなじこと、お願いしようかな」


俺達は二人で手を合わせる。


―――――――


「お守り買います?」


「そんな金ねぇよ」


浅草寺の境内の中で、俺達二人は歩きながら話した。寮の門限が6時くらいだったはずなので、そろそろ帰らないとまずいかもしれない。


「東京駅に戻らねぇとな。帰りの電車ももう2時間後くらいに乗らないといけねぇし」


「そうですか……なら次はどこで会いましょうか?」


「特に決めてねぇけど……次会うときには、連絡してくれよ。俺の友人もいるし、一緒に遊べたらいいかもな」


本当ならスカイツリーも行きたかったが、仲見世通りのお店を色々見ていたら、思ったより時間を食ってしまった。


「友達……ですか……」


「ヤンキーぽいやつはいるが、ヤバイ奴とかじゃないから安心してくれ。今日君は?」


「……私は東京に泊まります。明日には帰りますかね」


「ふーん、そうか。それじゃあ、またどこかで」


俺は、1日中一緒にいた別に友達とは言えない星姫と離れて、東京駅に向かうことにした。




◇◇◇


「ふぃー……なんか今日疲れたなぁ……」


その少年が東京駅の改札をくぐる時、


「さて……到着ね。場所は常に捕捉しているし、問題なしね」


人知れず一人の大学生がすれ違って、改札の外へと出ていく。




5月1日 5時30分


(次は俺から誘ってみるか、悪いひとじゃなさそうだし)


(ここですべて終わらせる。真実がどうであれ、これ以上命を失わせない)




旧都東京、その水面下で彼らは躍動する。

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