第72話 再会
池袋、東京市3大副都心(新宿含む)の一角だ。東京市の中では豊島区に位置し、多数の商業施設を抱えた土地である。
まあ、それはそこら辺に置いいて、
「あ!数時間ぶりですね!」
「……ん!?もしかして……俺がここに来ることを知っていたんですか?」
何で星姫がここにいるのだろうか。仮にも総面積619平方kmの、一つの市としては超広大なレベルに入る東京市だぞ?そんな中で一人の人間と打ち合わせもせずに再会なんて出来るのだろうか?
「ここならレストランいっぱい有るかなぁって思って、練馬から戻ってきたんですよ~!」
「あなたの実家って練馬だったんですか……」
「せっかくだし、もっと私と一緒にいてくれませんか?ずっと一人で暇だったのです」
「いやっ……ええぇ……」
どうやら俺の拒否権は、ずっと昔に遥か彼方に飛んでいってしまったようで、グイグイ腕を引かれながら、近くのファミレスに入っていくことになった。
ちょうどお腹も空いていたので、その点に特に文句はない。
◇◇◇
「えっと……俺達一応会ったの今日の朝だよな?」
「はい、そうですよね」
「あの……随分と俺を信用しているようだけど、警戒心とかないんですか?」
「……悪い人なんですか?」
「いや、違うけどさ……だめだ、人見知りには知り得ない世界だ……」
連れ込まれたのはこの際どうでも良いが、話すことがないというのは、俺にとっては最高に苦しい時間を感じる状況だ。
彼女自身も、やっぱりふわふわしていて掴みどころがいまいちわからない。それも相まってなかなかやり辛い。
「えっと……正治さんでしたっけ?高校生なんですよね?どこの高校に通っているんですか?」
「……住立の高校です……何でそんなこと聞くんですか」
「今日の朝、出会いが少ないって言ったじゃないですか。こうして外部と関係を保っていたら、青春時代も満喫できると思うんですよ♪」
……とのことらしい。
人から離れようと思ってはるばるここまでやってきたのに、知り合いを増やすことになるとは思わなかった。
「勝手には来ないでくれよ?」
「大丈夫ですよ。ちゃんとアポ取ってから行きますから」
「それなら、まあ……一応連絡先だけ交換しておきましょうか」
星姫は、わかりました!と、元気よく言って、スマホをいじり始めた。さては謀ったな、こいつ。
◇◇◇
「あの……やっぱり俺がここに来ることを知っていましたよね?」
「いや……?たまたまですよ」
彼女は、本当に何も考えていなさそうな顔で、パスタを頬張りながらそう答えた。それが本当なのかは、神と彼女自身しか知らないだろう。
「何か頼まないの?」
「あ、いや頼みますけど……」
もしかしてこの子……話したいことは特にないのに俺をここに誘ったのだろうか?合計3時間は一緒にいると思うが、未だに性格の全貌が捉えられない。
おそらく無計画に色々なところに首を突っ込んで行っちゃうような、そんな性格だと思うが……
「…………」
「…………」
「おまたせしました。ご注文、お伺いいたします」
「えっと……ペペロンチーノでおねがいします」
「はい」
――――――………………
くっそ気まずい。何か共通の話題とかは無いだろうか。
「あの……好きなこととか何かあるんですか?」
「うーん、強いて言うなら、身体を動かすことですかね。と言っても、スポーツとかが得意な訳ではなくって、のんきに一人で散歩したり、そういう感じですね」
「そうなんですね……」
「…………」
「…………」
ちくしょう、話が続かねぇ!やっとこの状況に違和感を覚え始めた星姫がこっちを申し訳無さそうにこっちをチラチラ見始めた。そんなことされると俺までどんどん恥ずかしくなってくる。
「あの……なんというか、すみません。無理矢理誘っちゃって……」
「ああ、まあ、だ、大丈夫ですよ……」
「あの……まあ、また今度会いましょう!」
「は、はい」
俺達二人は、まだ俺の注文したペペロンチーノも届いていないのに、別れ際みたいなことを話している。
俺の1日は、ここからどう変わっていくのだろうか?




