表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/183

第7話 異空境界

 『異空境界』の出現ポイント、およびタイミングは、非常に不規則だ。


 世界各地で観測され、記録上でも、大きな偏りは感じられない。


 『異空境界』の大きさも不規則で、一応大きい方が強い魔族が出てくる確率が高いのだが、とんでもなく強い人型魔族もいるため、あんまりそれは当てにならない。


 そして、魔族の等級も存在していて、低級(ロークラス)中級(ミドルクラス)上級(ハイクラス)超級(グランドクラス)災害級(ディザスタークラス)の五種類に分類される。


 現在単独での討伐記録が残っているのが、最高で超級(グランドクラス)一体である。


 そして、今上空に現れた『境界』は、大体この広場をすっぽりと覆うほどの大きさ。


 推定される魔族の等級は、低級(ロークラス)から中級(ミドルクラス)中級(ミドルクラス)ならば、並の人間瞬殺レベルだ。


「…逃げるぞ、全力で」


 俺は、とっさに起き上がった理央と、ぼーっと眺めていた時雨の手を引いて、出しうる限りのパワーで、広場から抜けようと足を回した。


 だが、時既に遅し、『境界』からは、既に決まった形を持たないスライム型の魔族が出てきていて、そのおかげで広場は大混乱、人の濁流で、思うように前に進めない。


「くっそ!前にも進まねぇ、誰か転んだりしたのかよ!」


「正治!早くしないと後ろのスライムに丸呑みされる!迂回出来る場所はないの!?」


 そう言われて、俺は辺りを見渡すが、どこもかしこも人の海、とても迂回できそうにはなかった。そんなことをしている間にも、スライムは大きく膨張し、辺りを飲み込もうと動き出す。


(埒が開かねぇ、前の奴らはともかく、ここにいたら俺らは真っ先に奴に食われる、それならなんとかして倒すしか…)


 だが、仮に後ろのスライムが低級(ロークラス)だとして、近代兵器で倒せるかと言われれば、無理だ。なんせ、魔族の魔法防壁を突破するには、最低限で核兵器が必要になってくる。


 そんなのリスクとリターンが釣り合っていない上に、そもそもどこから調達するんだっていう話になる。


 ならばどうするか。


(魔族にダメージを、魔法防壁を貫通して、かつ安定して与えたいなら、魔法で攻撃するしかない、ただ、魔法って、大体()()()だからなぁ…下手に撃って周りの建物に被害は及ぼしたくない、あとで何を言われることか…)


 いつまで待っても、警察どころか、魔族討伐の専門の人も来てくれない。


 今、魔族はほとんど動かず待機してるが、あのチャージタイムが終わったあと、何が飛んで来るかは考えたくもない。


「…倒したほうがいい?」


 そんな言葉が、真横から聞こえてきた。正治と同じく、人の列の後で、頑張って逃げようとしている時雨の声だった。


「へ?倒せるのか?被害を出さずに」


「被害はわからないけど、倒すことは出来る」


「あ、ああ、まあ別に、うん、加減はしろよ?」


 俺が返事をしたら、時雨は少し人混みから離れて、手を突き出した。


 さっきの言葉が、わかっているのか、いないのか、いかにもやばそうな、煌々と煌めく火球が手の中に現れる。



 瞬間、時雨の手の中にで、それは炸裂し、閃光弾のような強い光と同時に、ものすごい轟音が、あたり一帯に鳴り響いた。


 炎だ。だけど俺の知っている炎魔法とは桁が違う。


 爆発力はダイナマイトの数倍にも匹敵するレベルだろうが、これが限界かと言われれば間違いなくNOと言える。




 それが彼女の、陽山時雨の固有魔法だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ