第67話 神野星姫
ゴールデンウィークが始まった。というわけで、俺は電車で東京まで行こうと思ったのだが、実は俺は平都中央駅を通過したことはあるが、来るのは初めてだ。
平都中央駅
中央新幹線、東京新幹線(旧東北新幹線)、東西新幹線などの新幹線、都市地下鉄、私鉄、TR在来線などのおぞましいほどの種類の電車……バスもいくつも出ているため、ココに来れば、本州大体の都市ならば簡単に行くことができる。
ただその弊害として、駅構内は非常に複雑な構造になっており、改札の前なら少しだけ開けた広場になっているが、他の場所に向かえば、どちらに何口があるのかもさっぱりわからん迷宮構造になっている。
道順に従っていけばたどり着くので、人混みに惑わされないように気をつければ良いだろうが。
「だとしても、私鉄との乗換の利便性の向上は図ってほしいな」
俺は、駅構内の案内図を見ながら、そうつぶやいた。
平急線の改札をぬけて、そのすぐに目の前にあるのがこの案内図だ。
面倒なのはそこからTRの改札まで行く方法だ。駅ビルの商業施設を経由していく必要があり、しかも途中階段を通るため、複数ある階段のどれを選ぶか、人の流れにただ従っていくだけでは、迷ってしまうリスクのある配置だ。しかもそれがクソ広い。
つまり、駅は同じなのに、別々の駅であるかのような錯覚を覚えるほど離れているのだ。
だがしかし、俺はこの程度で迷うほど、方向音痴ではない!そう意気込んで歩き始めたのだが……
「あれ……これって一体どうなって……」
色々な方向に首を傾け、案内板を必死で見続ける、星をイメージしたような髪飾りをつけた女の子……見た目は中学生の誰かみたいだが、
「んんんんー!!」
「えっと……大丈夫ですか……?」
「はっ!?どっ、どちら様っ!?」
なんか凄く可哀想というか……見てしまった以上後に引けなくなるような感じになって、思わず声を掛けてしまった。
「通りすがりの人ですが……一体どうしたんですか?」
「あ、えっと……東西線に乗りたいんですけど……どうやって行けば良いのかわからなくて……」
「そんなことなら、俺もそっちの方に行くのでついていけますよ?」
「はっはい……ありがとうございます!」
◇◇◇
自分のことを、神野星姫と名乗った少女は、終始呼びかけにワンテンポ遅れて反応するような、ちょっとポケっとしているような子だった。
「本当にありがとうございます。あのままだったら一生たどり着けないところでした」
「いや、そんな大げさな……」
「せっかく東京に帰るつもりだったのに……情けないです」
「そうだったんですか、それで東西線を…………ん?」
俺はそれを聞いて、首をかしげた。
東京に行く、別にこれも変なことではない。距離で表せば相当遠いが。
さて、東京に行く電車は東西線だっただろうか?
違う。東西線が向かうのは“東都”だ。“東京”ではない。
「……?どうかしました?」
「……あの……凄く言いづらいんですけど……乗る電車間違えてますよ!?」
「えっ……そんなはずは……」
彼女は、スマホで東西線の路線図を調べて、その中身を見て絶句する。
「ほ、ホントだ!似てるけど違う!」
「ついに似通った地名の弊害が出たか……」
俺ははぁ、とため息をついて、また歩き始めた。星姫も慌てて俺の後についてくる。
こう言っちゃ失礼かもしれないが、この子少し天然というか、アホっ子属性があるのかもしれない。




