第2章幕間 波打凜花
―――Reporting to the British Government.―――
《イギリス政府への報告》
―――A "boundary" was observed over the city of London at 6:00 PM London time today.―――
《今日ロンドン時間午後6時、ロンドン市内上空で『境界』を観測。》
―――At the same time, a grand class demon was identified in the "boundary".―――
《同時に、その『境界』から、超級の魔物を確認》
―――After 2 minutes and 23 seconds, it is defeated by Namiuchi Rinka.―――
《2分23秒後、波打凜花によって討伐される》
―――There were zero casualties. No major damage to the building.―――
《死傷者は0人。建物にも大きな損害はなし》
「It's over《終わりましたよ》」
私はそう言って、後ろに避難していた人々の方を振り返る。眼の前には、身体中に穴を空けられ、ピクリとも動かなくなった超級の死体。
たった今、私が一人で倒したものだ。
「Thank you very much. Are you the best in the world?《ありがとうございます。世界最強とはあなたのことですか?》」
「Maybe that is what is supposed to happen. My name is Rinka Namiuchi. Please keep it in mind, even if it is just in a corner of your mind.《多分そういうことになっていると思います。私の名前は波打凜花です。頭の片隅にでも良いので覚えておいてください》」
英語で話すのは少し疲れる。もう海外をぶらぶらし続けて3年は経つが、世界に目を向けてみると、英語が公用語の国に行くってことは結構珍しかったりして、どの言語もなかなか慣れない。
話すことは一応できるが、やっぱり久しぶりに母国語で会話をしてみたい。
「いつもより少し時間かかったかなぁ、海外って本当に魔物少ないけど、出てくるときはドカンと出てくるから、現地のハンターじゃまともに戦えないのよね」
日本に居たとき、まあ3年前くらいの話だが、ほぼ日常的に魔物が襲来してくるので、毎日のように全国各地を駆けずり回って、そこそこの強さの魔物を討伐していたりした。
「ま、境界事変ほどじゃなかったけど……あの時は本当に死にかけた。魔王クラスが5体も束になってかかってくるとは思わないもん……」
私が世界最強という情報は、境界事変の時点ですでに魔物側に知れ渡っていたらしい。明らかに知っている動きだった。
まあ、他の人からしてみれば、魔王5体に絡まれて何で生きているという話になってしまうが、そこは私の素の強さと、運の良さが関係しているんじゃないかと思う。
自慢じゃないが、私は自分のことをしっかり強いと思っている。そういうのを自分ではっきり自覚しないと、ここぞというときに、しっかり実力を発揮できなくなるような気がするのだ。
「ふう、明日にはフランスに移動しようかな。三ヶ月後にはヨーロッパを出る予定だから……あれ、ヨーロッパ全部回るの結構きついな……」
私は、ヨーロッパの国々を指折り数えながら、ロンドン市街を進んだ。




