第52話 シェルター暮らし
「いやー!買い物楽しかったぁ!」
「随分と長くいたよな」
買い物帰りの大量の荷物を抱えた俺達は、学校のシェルターに帰ってきた。
一応シェルターもいくつかの個室に別れている。仲いい人と適当に一緒の部屋に居てー、とのお達しがあるので、俺は理央、時雨、衝の3人と一緒の部屋だ。
「やっぱり電波繋がんねえな……」
「外に出てみたら?」
そう時雨に言われて、シェルター外に出て、校庭の近くの階段に腰掛けた。
「人がたくさんいるな……」
「わざわざ通信用のアンテナに繋ぐくらいなら、外に出てやったほうが効率がいいでしょ」
もう時間は夕暮れ時だ。ひび割れがいろいろな場所に入った校舎が、オレンジ色の光に照らされていた。
「城南地方倉穂市で、上級の魔物を確認……最近本当に多いな……」
「確かに、前より増えたかもね」
昨日のことと言い、最近はこの国だけでなく全世界で、孔の出現数の増加、そして、出てくる魔物のレベルアップが凄まじい。
一部の専門家の間では、まだ境界事変から10年ほどしか経っていないが、第二次境界事変は、すぐにでも起こるのではないかと危惧している者もいる。
俺としては、あんな大惨事は二度とごめんだ。今度こそ死ぬかもしれない。
「私は、自分の心配そんなにしてないけどね」
「時雨はな、俺らはあのデカブツが襲来してきたら、生きていられる自信がねぇよ」
俺は、もう一度スマホに目を落とす。ありのままを伝えた一つの画面は、その事件が真実であることを物語っていた。
「そろそろ戻ろうぜ。ご飯も食べなきゃだし」
◇◇◇
「正治ー、何を買ってきたの?」
「カツ丼」
「なんかこないだもそれ食べてなかった?」
時雨が言っているこないだとは、初めて出会ったときのことだろうか、確かにあのときも俺はカツ丼を食べたな。
「まあ、好きだからな」
「警察の取り調べみたい」
刑事ドラマでも見たのだろう。実際の取り調べでカツ丼って出るのだろうか?
「衝、お前は何食べてるんだ?」
「おにぎり3個」
「シンプルだね」
衝は、あのガタイの良さそうな体格をしているが、食べるものは意外と少なかったりする。
ただ、栄養バランスは考えているらしく、おにぎりの具は鮭と高菜と昆布だ。
「おっ、テレビはつくんだな」
「有線で繋げりゃいいからね」
もう外の陽は完全に沈んでしまっているだろう。外に出られなくなった今、唯一の暇つぶしはこのテレビだ。
今映し出されているのは夕方のバラエティ番組だ。クイズ番組らしい。
「……宿題でもするか」
今日一日は、ずっと遊び呆けていたので、少しでも進めておかないと、またあの先生に怒られることになるだろう。
◇◇◇
「一緒に寝て大丈夫か……?」
「だから念のため布団を離したんじゃん。私たちも正治たちも、そんなに寝相悪くないでしょ」
この部屋には窓がない。地下シェルターなので、当たり前といえば当たり前なのだが、外が見えないとどうしても時間感覚がわからなくなる。
俺達が時計に気がついたとき、もう時間は九時を回っていた。
というわけで、俺達はこれから寝るのだが、一番の懸念は寝るときの男女でのハプニングだ。
俺と衝にとっては、寝相が悪くて理央か時雨の体にでも触れたら、マジで社会的に死ぬことになる。ここは友情パワーを信じたいが、念には念を入れてだ。
「だいぶ離れたな」
「これで大丈夫だと信じよう」
俺らは電気を消す。光の入らない、文字通り真っ暗な部屋になった。
「ねぇ、正治君」
時雨の声だ。何の話だろう。
「今日は、楽しかった?」
「あ、ああ、四人で昼食食べたり、買い物するのは楽しかったぞ」
「そう。それなら、良かった」
声が、聞こえなくなった。
時雨も、もう寝てしまったのだろう。
俺も目を閉じた。
◇◇◇
『■■■悠久■■てに、■は■■■変わる』
『■の■■は、いず■■■の■に託■■る』
『そ■■も、更■■■次も■■■、だ』
『い■■■■■てくれ、■■生■■■わって■』




