第49話 偶然の出会い
「まさか、こんなところに衝が居るとは思わなかったよ〜!」
「くそったれ、今日はとことん運が悪いな……それもこれも今日俺をここに連れてきたお前のせいだぞ正治」
「理央もだ。俺だけに責任転嫁するのはやめてくれ」
今、俺たちは偶然出会った衝の姉と一緒の席に座っている。ちなみに、衝の姉…美空さんに同行していたもうひとりの男性は、理央と時雨が一緒に座っている。
断じてカップルではないらしい。
「こないだ咲ちゃんから聞いた見学の人って、正治くんたちのことだよね?」
「まあ、そうですね」
ここまで話したところで、衝がすぐにストップを掛けた。
「なんで、姉貴はコイツのことを知ってんだよ。コイツと咲先輩にも何か関係があんのか?」
「咲先輩は魔法同好会の部長だろ。俺と時雨と理央はそこに見学に行ったから顔見知りなんだよ」
「なるほどなぁ……何で魔法同好会なんて入ろうとしたんだ?」
まあ、そこは当然の疑問だろう。普通の人なら、魔法なんてのにはそんなに関わりたいとは思わないだろう。
「……ま、俺は約束したからな、時雨と。一度本気で勝負して、勝てたら時雨の秘密を教えてもらおうと思ってな」
「人の秘密探ろうとか……オメェは最低だな」
「うるせぇ黙れ。俺の好奇心は人一倍強いんだよ」
「好奇心は猫を殺すってことわざ知ってっか?」
俺と衝の間で、再びピリピリした空気が流れ始める。
「ほ、ほら!ここで喧嘩しないで!アイス溶けちゃうし」
「「あっ」」
◇◇◇
「……で、四人で何をしていたのー?」
「いや、学校が崩れて休校になったので、せっかくなので遊び倒そうと」
それを聞いた美空さんは、ビクンと飛び上がって、額から汗をダラダラ流し始めた。
「……おい、クソ姉貴。お前……さては犯人だな」
「ななななな何のここことだか……」
「しらばっくれても無駄だぞ」
「うぅ……確かに校舎の穴は私が原因だけど……不可抗力だったんだよー!」
不可抗力で校舎に大穴とは、これは一体何をしたのか気になるが、とりあえず今は黙っておく。
「ま、まあ魔物倒せたんだし、大丈夫でしょ!」
「お前が戦っていたのかよ」
美空さんは笑顔を必死に取り繕って、やっぱりまだ汗を流してキョロキョロしていた。
「ま、まあ自警団はやっているし……あのくらいなら私一人でどうとでもなるけど……」
「おい姉貴、さっきから新情報が出まくって訳わかんねぇから一回整理しろ」
「護月家って複雑なのか?」
さっきから実の弟である衝ですら知らない話が、美空さんの口からポンポン出てくる。確かに衝は結構本気で姉を嫌っていたみたいだが、まさか姉の仕事も知らないとは思っていなかった。
「衝がいつも遊んでいるって思っているのは、私が自警団の仕事をしてるからだよ……まさか私に厳しいのってそういうこと?」
「だけじゃねぇがな!」
「え……私は心当たりない……」
「いっぱいあるだろうが。胸に手を当てて考えてみろや、あの三年くらい前の、俺への気持ち悪いポエムは一体どういう気持ちで書いたんだ」
「あれ、読んでくれたの?……嬉しい!」
美空さんは、感極まったのかついに衝に抱きついた。衝はうめき声を上げてそれを引き剥がそうとする。
俺は美空さんのブラコンの片鱗を見た。




