第46話 平都の裏側
「……ROUNDER、か…そいつらが不穏な動きをしていると?」
「対象は我々では無いようですが」
とある路地裏で、二人の男女が話していた。
「具体的な目的は?」
「わかりません、あちらに優秀なハッカーが居るせいで、情報を正確に把握できないのです」
「だと思ったわ、アスね……断片的でもいいからなんとか情報を探りなさい。もしこちらに不都合があるようだったら……分かっているわね?」
「もちろん」
ふっ、と、男の姿が消える。女は近くでドッカンバッカン戦っている誰かさんの方に目を向ける。
「私も動くかぁ」
◇◇◇
河瀬地方。平都市及び平阪地方の西側で隣り合う、丘陵地帯が主となる、はっきり言ってしまえば田舎な地方だ。
私が車で走っているのは、河瀬市から平都市に向かう自動車道だ。住立区の方でひと悶着あったらしいが、それは丸っきり逆方向なので、そんなに気にしていない。
「このチンケなノートパソコンで国の機密情報を見られるなんて、世も末ね。私の固有魔法がシンプルに強すぎるだけかも知れないけど」
「リーダーとはどんな話をしたんですか?」
「こないだのセレナの殺害作戦の失敗は伝えたわ。あんたと私がヘマした話をね」
「はあ、それで?」
「次ヘマしたら、首が飛ぶわよ?」
「はは……頭に留めて置きますよ」
油屋は苦笑いして、再び運転に集中する。これは冗談ではなく、結構ガチ目の話だ。百歩譲って私はどうにかなるにしても、こいつは次ミスをしたら、翌日には無惨な死体となっていることだろう。
油屋が隣で運転している最中に、私がいじっているのは普通のノートパソコンだ。
ただ、内容は普通じゃない。今度行われる浄化作戦の、第一目標となる総理大臣の殺害を円滑に行うための、政府内部の機密情報だ。
「今更機密情報なんて探ってどうするんですか」
「今度、東海地方東都市で、G7サミットが行われるのは知ってるでしょう?それで、しばらく総理はそこに滞在するわけだけど、いずれ平都市に帰ってくる。そのときに通る道のりは、できるだけ安く、そして早く行きたいわけよ。だから、通る道のりは自然と絞られる。飛行機使わずとも車で行ける距離なら、誰でも車を使うに決まってるわ」
「つまり?」
「平都市に帰る車の最短距離は、平坂湾アクアラインを通るルートよ。だから場所はアクアラインの平都側の入り口、影島JCTで決定、だから、今度は護衛の情報を探っているのよ。流石にこればっかりはわからないのよね」
私はそう言いながら、パソコンのタッチパッドをいじる。一般市民には知り得ないはずの情報が次々と流れてくる、何度かやったことがあるが、うまく行ったときは本当に爽快だ。
「影島JCTの場所は……確か平都市東州区の先っちょですよね」
「そうそう、図で表すとこんな感じ」
美山半島
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東州区 ◎影島JCT==⇒
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港河区 _____/………………………………
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│……………………………平阪湾……………
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住立区 │……………………………………………
「……かなり簡単な地図だけど、影島JCTの場所は、まあこんな具合になっているのよ」
「じゃあ、そこを目指せばいいんですね?」
「いや、決行日までは中央区内のホテルに泊まる手はずになっているわ、そこに向かって」
「分かった」
時間はもう夕方頃だ。カウントダウンは、刻々と迫っていた。




