第40話 小さな魔法使い
時間は飛んで放課後になった。
魔法同好会の部室は、4階にある。名前を聞いたときには胡散臭そうな感じがしたが、調べてみれば、案外真っ当な同好会らしい。
内容としては魔法科の延長線みたいなものらしい。
「やっぱりおどろおどろしい雰囲気なのかな?」
「どうだかな」
そして今、その魔法同好会の部室の前に私達は立っている。別におどろおどろしい雰囲気でも、胡散臭い雰囲気でもないが、やっぱり入るとなると少し緊張する。
「し、失礼しまーす……」
ガタッバキドコゴカガッシャーン
「???????」
俺がドアを開けた瞬間、中にいた人が、大きな音を立ててすっ転んだ。
「す、すみません!まさか人が来るとは思ってなくって」
「そんな昭和のノリみたいな……」
中にいたのは、見た目が中1と中2を反復横とびしているような、かなり小柄な少女だ。俺より背が小さい。
本当にこの人が先輩になるのだろうか。
「というわけで!私がこの魔法同好会のたった一人の生徒にして、部長である高宮咲高校三年生です!」
「一人で同好会、ねぇ」
「去年までは先輩がいたんですよ~!」
時雨が少しおちょくってみると、この子は慌てて反論した。もしかして、結構かわいい?
「と、とにかく、ここに来てくれたんですよね?決して間違えたというわけでは……」
「大丈夫ですよ……そのことに相違はないです」
この人、だいぶ動揺しているようだ。まあ、ここまで部員数が少ないと、来る人も少ないと思っていたのだろう。
「ところで、一人で一体何をしているんですか?」
「あ~……これと言って特別なことはやってないですけど、大学の方に同じようなことをしている先輩がいて、たまに一緒に活動していたりしますね。今年からは活動日時もなくなったし、好きなときに活動する自由な同好会ですよ」
「へぇ〜、その先輩ってどんな人なんですか?」
理央はさり気なくそう聞いた。すごい、俺一人なら既にフリーズしていた。
「一番良く知っているのは護月先輩ですかね!私が高一の頃の先輩なんですけど……」
「ん!?なんか今見知ったような名前が……」
「奇遇だね。私もだよ」
モリツキと聞いて思い浮かぶのは一人しかいない。言わずもがな、護月衝のことだ。
「あ~……高宮先輩、護月衝って知ってます?」
「えーっと……確か護月先輩に弟がいて、その子の名前が衝君でしたね……嫌というほど聞かされました……もしかしてお知り合い?」
「友達です」
高宮先輩は、へぇ~、と言って、もう1つ質問してきた。
「じゃあ、もしかして先輩にあったことありますか?」
「正治、ある?」
「いや、ないな。名前だけしか聞いたことない」
衝の姉について、おそらく理央も俺も、その存在と名前しか聞いたことはない。容姿は衝と似たような色調の髪を、かなり長く伸ばしているらしい。
そして衝曰く、クソ姉貴。一体何があったのだろう。
「いい人なので会ってみてください!結構アグレッシブですけど……」
衝の評価と、高宮先輩の評価でめちゃくちゃ食い違いが生じている。あの衝のことだから、天邪鬼な逆張りでもしているのだろうか。
「まぁ、今日は何もしないですけど!興味があったら是非!お願いします!入ってください!」
高宮先輩に必死で懇願された。実は各々他にも候補を決めていたが、それらがかなり選びにくい状況に追い込まれた。
俺達のスクールライフはどうなるのか。




