表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悠久のクロスファンタジア 〜DUAL WORLD〜  作者: はとかぜ
第1i章 魔界・転移編
34/183

第31話 街を襲う災厄

「……これで終わりですよね?」


「ああ、概ね間違っていなかった。合格だよ」


 仕事やらが忙しくて、なかなか教えることは出来なかったが、カノンはしっかり勉強してくれていたらしい。


 後はひたすら単語を覚え、日常的な文を、読んだり書いたりできるようにすればいい。


「次は文書を書くということになるかな。単語も覚えていかないとね」


「…ああ…そうだった」


 カノンは、まだ寝足りないのか、ベッドの中に倒れ込んだ。


「ふぁ~…」


「僕は今日も仕事に行ってくるよ。最近忙しいからね」


 そう言って、僕はドアから外に出て、街の方向に向かって、全力疾走した。


 今日も普通に仕事だが、一つ懸念事項があった。


 父と結んだ契約の期限が、あと一週間で終わりなのだ。


(意外といけるかと思ったけどな…なまじ平和なお陰で稼ぐ機会がなくなってしまったな)


 お金を稼いでも日々の生活費で飛んでいくし、元がそもそも少なかった。


 これでは10万ソイルなんて夢のまた夢である。


 途中で街道に合流し、そのまま平坦な地面を直進する。


 街の外は、田園が拡がるいつもと変わらない牧歌的な光景だ。


(やはり何もない…諦めて別の職業でも探すべきか?だがもう時間も技術も無い…どうすれば)


「セインス〜、何を考え込んでるの?」


「…うわっ!?…なんだ…ユーラさんだったんですか」


「うん!なかなか来ないから街の門の前で待っていたの。まぁ、別の目的もあるんだけど」


 それを聞いて、僕は首をかしげた。


「別の目的?」


「さっき、街の外を巡回していたときに、あの魔物狼と同じ、魔王の紋章を持ったゴーレムを見つけたの。他にもサテナの周囲で、同じように紋章を持った中級(ミドルクラス)上級(ハイクラス)の魔物が出現、いつも通りに見えるけど、もうこの街は厳戒態勢だよ。畑にも街道にも、人通りが全く無いでしょ?」


 考えてみればそうだ、この城門も、何もないのに閉ざされているし、街道に人の気配は全くなかった。


「…そういうことでいいんですよね?」


「うん、来るよ


 異常なまでに強化された、魔王軍団がね」


 ユーラさんがそう言った直後だった。


 森の方向に、いくつもの魔力の気配。


 正確な数は分からないが、低級(ロークラス)の気配は数え切れず、中級(ミドルクラス)もかなりの数だ。


「…待て、あの森って、さっき僕が出てきた…」


 その時、自分の背中に悪寒が走るような感覚がした。


「…カノン!!!」


 ♢♢♢


 何が起こったのか、私には全く理解できなかった。


「…ま、もの…?」


 目の前に現れた、巨大な石像のような魔物がそびえ立っていた。


 家はもう半壊して、周囲は360°完全に囲まれていた。


(…今回は助けもない、もうここで死んでしまっても……)


 ……こないだまでの私なら、迷うこと無く諦めていただろう。




 私は根っからの利他主義者だ。


 人に迷惑は極力かけたくないし、私が死んで誰かが助かるのなら、喜んで身を投げられる。


 だけど、いや、だからこそ、


「…だめ、絶対だめだよ!私が死んだら、セインスが悲しむかもしれない、それだけは絶対いやだーっ!!」


 私は、こないだの感覚のまま、魔法を発動する。


 手のひらの中に現れたホログラムのように煌めく防壁は、石像の魔物が振り下ろした拳が当たった瞬間、甲高い音を上げて、魔物の拳を砕いた。


「っ!!そこをどいて!」


 次は自分の拳に力を込める。先程と同様のものを拳の形に纏い、そのまま石像の体の中心にぶち込んだ。


 硬そうに見えた石像の体は、甲高い音を上げていともたやすく崩れた。


 できた隙間を私は抜け出し、木々につけられた印を辿って全力でダッシュする。


 後ろから乱雑に地面を踏む音が聞こえる。


「ハッ…ハッ…ヤバい、足がつる〜!」


 久しぶりに走ったので、足が悲鳴を上げている。


 街まで行ければ助けがくる…そこまで逃げられれば、


 逃げられれば…


「ぐあっ!!?」


 早すぎた。


 あの巨体でどうやってあんなスピードが出せるんだというレベルのスピードが乗った、硬い拳の強すぎるパンチをもろに喰らった。


 触らなくても分かる。今、確実に背骨が折れた。


「あ”あああぁぁぁァァァア!!??」


 勢いのまま、地面に思い切り倒れ込む。パニックで全く分からなかった痛みが今になって脳天を突き抜け、私は今まで出したこともない声で悶絶した。


(頭が…回らない…はやく、かいふ、くを…)


 思考も回らない。回復魔法を使おうにも、魔力の流れもパニクってぐちゃぐちゃ、脊髄もやられたせいで、もう足はピクリとも動かない。


「…最悪だよ、せっかく…ほっそい希望が…見えたっていうのに…」


 拳が振り下ろされる。


 同時に目の前に光が見えた。ついにお迎えが来たらしい。


「……!…ノン!!」


 私を呼ぶ声がうっすらと聞こえる。




「カノン!!大丈夫か!?」


「っ!セインス!?」


 あのこちらに向かって急接近する光はセインスだったらしい。


 セインスは手に持った剣で、私に振り下ろされる拳を手首から裂断し、周囲の魔物をついでに一掃した上で、私に向き直った。


「大丈夫か?立てるか?」


「ついさっき下半身不随になったんだよ?立てるわけがないでしょ」


「下半身不随!?一体何があったんだ…はっ!?とりあえず回復を!」


 セインスは、『アビリティ・ヒール』と唱え、私の腰に手を当てた。


 痛みがどんどん引いていって、完全に途絶していた脚の感覚も回復した。


「すごい…」


「ふう、よかった。街を目指していたのかい?」


「まぁ、そこに行けば助けがあると思って」


 私は、考えていたことをそのまま答えた。


「そう、じゃあ、このまま街まで行こうか。城壁の中のほうが幾分安全だろうさ」


 セインスはそう言って、街の方向に私の手を引っ張っていく。


「ちょ…私まだ病み上がり…」


「そういうこと言っている暇もないからな、つらいなら僕の背中に乗るといい」


 人に迷惑をかけるのは、やっぱりなんだかいやなので、私は遠慮して歩いていくことにした。




「キヅイテイルダロウ?ニンゲン。ナゼワレヲムシスル?」


 明らかに人間じゃないくぐもった声、一言で分かった。


 さっきの奴らとは、格が違う。


「ああ、確かにな。悪いが僕たちは戦えない。


 真正面からかち合っても、勝てないことはわかり切っているんだ」


「ナンダ?オモシロクナイ。


 ソノケンデ、ワガシモベヲキリステタノハ、ワレノゲンカクダトデモイウノカ?」

面白かったり、興味を持った方は、ブックマークや評価をよろしくお願いいたします。


作品タイトルがなかなか定まりません。短い文で内容を伝えるって難しいですよね。(2023/06/02)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ