第28話 異世界言語のお勉強
「昨日は楽しかったね、カノン」
「誤解を含む言い方はやめてもらって」
昨日の出来事から一夜明け、私とセインスは、二人で朝食準備しているところだ。
さて、今日は休日と言ってもやることがある。
「今日は二人で言語の勉強をしようか。コミュニケーションは取れるから、書いてある文字を読めるようにならなくちゃね」
「はあああああぁぁぁぁ…」
とのことなので、今日はお馴染みサテナに行って、簡単な本をいくつか買ってくる。
「この本は、この世界で有名な伝説が書かれた本だよ。沢山の単語で構成されているから、ある程度語彙は身につくだろう」
「沢山、かぁ…」
♢♢♢
「まずはタイトルからだね。これを読める?」
そうして私に文字を見せてくれた。
kdβ·φωii
分からない。全く分からない。
ただ、一つだけ分かったことがある。この文は、現実でいう、アルファベットとギリシャ文字に酷似したもので構成されていて、読みは日本語と同じらしい。
全く、無茶苦茶な言語だ。
「わかりません。セインス先生、教えてください」
「やっぱりね、これは『黒い龍』と読むんだ」
(あ~、読み順が日本語と同じだと仮定して、『kdβ』が『黒い』、『φωii』が『龍』って読む感じか…あれ?じゃあ、この点は何なんだろう…)
私は、それに疑問を持って、セインスに質問した。
「ああ、その点は読むようなものじゃない。いわば前後の単語を繋いで、修飾するようなものだ。わかりやすく言うと、『強い人』という一つの単語は、記号を使って、『強い·人』といった具合に分けることができる」
なるほどー、と私は頷き、ページをめくる。そこにもさっきと同じような文字の羅列、そして何やら、よくわからない記号も沢山ある。
その後もセインスに教えられながら、この『黒い龍』の伝説を読み進めていった。
異世界だからか少し厨ニ臭いが、聖書や古事記もそう変わったものでもないと考えて、記号や単語の意味を聞きながら、ペラペラとページをめくる。
「しばらく、カノンは仕事を休むといいよ。この一週間の間に、その1ページを、見ないで読めるようにしておいてね」
「ふ、ふぁいいいぃぃ…」
私に課された宿題は、この最初の1ページを、一週間で完全に暗記してくることだった。
教えられる単語は、この朝から昼までの時間で、もう全て教えられたらしい。
(この記号の意味とかも覚えておかないといけないんだよね…英語の方が、まだ簡単だったな~)
この言語の難しい所はもう一つある。
それは、関係記号の数の多さだ。
日本語や英語でいう、助詞や助動詞といったものが、全て記号のようなものに置き換えられているのだ。
「ただでさえ数が多いのに…このページだけでもかなりある…無理じゃないのこれ」
私は文字を指先でなぞりながら、一つずつ解読していく。
面白かったり、興味を持った方は、ブックマークや評価をよろしくお願いいたします。
異世界言語は、これから何かと出てくるので、基礎的な記号などをここに書いておきます。
· :修飾記号。この点と隣り合う後の語句を前の語句で修飾する。
∼ :〜は、といった意味。例:φωii∼ mαqψ【龍は生き物】
≈ :〜に、といった意味。例:σλaa≈ llθ【部屋に入る】
σλaa:部屋 llθ:入る
< :〜を、といった意味。例:ρox< jeuo【魔物を倒す】
ρox:魔物 jeuo:倒す、殺す
= :〜だから、といった意味。
(dx, ) :命令。カッコの中に動詞を入れて使う。dxは、異世界語での命令(dokx)の略。
例:λγ≈(dx,jno)【ここに住みなさい】
(ωy, ) :〜できる、といった意味。カッコの中に動詞を入れて使う。ωyは異世界語での可能(ωvuyf)の略。
アルファベットとギリシャ文字、形が全く同じものは使いませんが、似ているものは気合で把握してください。
例:yとγ、uとυなど




