第102話 顔合わせ
「最寄り駅は次ですね。首都環状内環線反戸駅です」
反戸は美空さんとか亜紀さんとかが住んでいる場所らしい。自警団は大学でサークルという体でやっているが、基本的な活動拠点は反戸にしているらしい。
拠点を狙われた時、大学だったらいろいろとまずいからだ。
駅に到着したら、南口から外に出て、ここからしばらく目的地まで歩くことになる。
途中に亜紀さんが居るらしい。大学に居たのをわざわざここまで戻ってきたんだとか。
「あ、いたいた」
「亜紀ってこの人?」
水色の髪を後ろで2つに結んでいる、パーカーを着てやや無気力な女性が、道の脇に佇んでいた。
「久しぶり。って、時雨ちゃんは知らないんだっけ。私が光明院亜紀だよ」
「……お嬢様?」
「いや?平凡な孤児だよ?」
平凡な孤児にしてはなかなか名前が仰々しすぎじゃなかろうか。
「件の自警団の人たちには先にこの先の飲食店に来てもらってるから、そっちに行こう」
◇◇◇
「お待たせー。連れてきたよー」
「遅いぞ、どこで道草食っていたんだ?」
「あなた方が早すぎたんだよ、修司。1時間前行動はさすがにやり過ぎ」
店内に入ると、そこに座っていたのは片目が隠れるくらい黒い前髪を伸ばした、少し痛い三白眼の男の人と、金髪にピアスを付けた明らかに見た目がチンピラな男が座っていた。
「亜紀さん、間違えたでしょ」
「何だ、会うなり失礼な奴だな」
カルシウム足りてないのかな?なんだかずっとイライラしているような気がする。
とりあえずその人たちの目の前の席が丁度空いていたので、そこに3人詰めて座ることにした。
「やべぇ……女の子ばっかで落ち着かへん……」
「盛るな冬木。……それで、助けをくれるとの話だったが、お前が来るのか?亜紀」
「そんな訳ない、私は別件で忙しいから、時雨ちゃんと咲ちゃんに行ってもらうんだけど」
そう聞いた時、黒髪の人はこちらに目配せをして、困ったような表情をしていた。
「大丈夫なのか……?見た感じ……高校生と中学生だぞ?」
「どっちも高校生だけどね」
男の人は咳払いをして、それはともかく、と話を続けた。
「……まあ、まずは自己紹介からだな……俺は鷺沼修司だ。20歳で、港川区の方で自警団をしている」
「私、陽山時雨。高1。よろしく」
「高宮咲です。高校3年生です。巻き込まれました。よろしくお願いします」
「高校3年生……?」
「何か問題でも!?」
高宮先輩は顔を膨らませて、コップにはいった飲み物を一気に飲み込んだ。
「あー、えっと、俺は冬木圭介や。こいつと一緒に自警団をしとる。よろしく」
大阪弁っぽいのを喋っている金髪ピアスは、そう私たちに名乗った。
「と、言うわけで、2人とも実力は保証するから、大丈夫?」
「炎使いなのか?この際贅沢は言わないが、そっちのほうがこちらとしてはありがたい」
「私がそうだよ。でも何で炎使いが必要なの?必要だとしても、特殊魔法で代用出来ない?」
私は純粋な疑問を、彼にぶつけた。
「俺たちが倒しているのはゾンビだ。奴らはいくら身体を壊しても関係なく動いてくる。物理的な攻撃や、毒に精神攻撃も意味がない」
「つまり?」
「そうなると、骨まで焼き尽くすレベルの炎で塵に返すのが一番手っ取り早い。要するにその場で火葬してやればいい」
「特殊魔法だと、火力が足りへんのや。魔力消耗も激しい。これじゃあ追いつかなくなってきてなぁ」
確かにそれなら炎を使うのが手っ取り早そうだ。というか特殊魔法ってそんなに弱かったんだ。
「わかった。いつから協力すればいいの?」
「とりあえず現状は理解してもらいたいからな。今日時間があるなら説明だけは済ませておきたい」
私と高宮先輩は、2人とも(高宮先輩は不服そうだったけど)了承して、今日の午後からその活動に参加することにした。




