第101話 クレイジーガール
これは、星姫と正治の事件があったその裏であった、もう一つの事件である。
◇◇◇
私こと、陽山時雨は特に宛もなく街の中をうろついていた。
正治くんが東京に旅行に行くと聞いて、私は本当にやることがなくなってしまった。
私も電車で適当なところに遊びに行っても良いが、それも別に行きたいところなんてない。
(美空さんに聞いて仕事の打診でもしてもらおうかな……こないだの魔物は手応えがあまりなかったし、ドラゴンは速攻で倒されちゃったし……せっかく名目上自警団やっているんだから、活用していかないと)
私は最近聞いた美空さんの番号に電話をかける。
『プルルル』
「…………」
『お掛けになった電話をお呼びしましたが、お出になりません』
「何でよりによって……」
私は終了ボタンを押して、通話を一旦終了する。
これは困った。このままじゃやることがなくて野垂れ死んでしまう。
魔法の腕が鈍ってくると、これからのことに関してもかなり問題が出てくるから、定期的に低級でもいいから爆散させるぐらいしたほうがいいだろう。
「はあ……つまんないなぁ……そうだ、高宮先輩に話をつけに行けば良いのか」
私は来た道を後戻りして、寮の方に戻っていく。
◇◇◇
私は高宮先輩の寮のインターフォンを鳴らす。
中からドタバタ音がして、すぐにドアが開いた。
「あ、時雨さん!どうしたんですか?」
3年生のハズなのに、私よりも圧倒的に身長が低い高宮先輩が中から出てきた。
「暇だから、自警団の仕事を斡旋して」
「え……私に言われても……はぁ……わかりました、亜紀さんに聞いてみます。仕事を持ってくるのは大体あの人ですし」
亜紀……それって一体誰だろうか?
高宮先輩は電話をその人に掛けた。すぐに出てきたらしく、高宮先輩は、スピーカをオンにして、私と一緒に話を聞いた。
『どうしたの?私は美空から押し付けられた仕事で忙しいんだけど』
「あ、それはすみません。今時雨ちゃんと一緒にいるんですけど、暇すぎてやることがないから仕事が欲しいとのことで……手を付けられていない案件があれば……」
「私、暇すぎて死にそう」
『なかなかクレイジーだね。一応1つあるよ。まあ、これは私のとこの自警団が請け負っている案件じゃないし、人手が足りないから援軍を寄越せって話なんだよね』
そう言うと、スピーカ越しにガサガサと音がして、お待たせ、と聞こえてきてからまた話し始めた。
『あったあった。私の伝手がある自警団いくつかから、今起こっているゾンビ事件の調査の人手が足りないから、誰かを貸してくれってあるの。私たちが調査している連続殺人事件よりも、被害規模が大きいらしいから大変なんだと』
「条件とかってあるんですか?」
『炎が使えたらいいなぁ、って話だよ』
「私炎使えるよ。ドンピシャじゃん」
『そう?じゃあ今日反戸の方まで来てくれる?一応その人達と一緒に話をつけたいから』
亜紀さんがそう言うから、私はスマホを使って反戸という場所を調べた。
「よかったですね。時雨さん」
『せっかくだから咲も来てよ、暇なんでしょ?』
「えっ」
高宮先輩は流れるように巻き込まれた。私がこんなこと話したばっかりに、
ごめんなさい。思ってないけど。




