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悠久のクロスファンタジア 〜DUAL WORLD〜  作者: はとかぜ
第3章 星の魔術師編
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第95話 VS魑魅魍魎




「……まあ、いっか。学校行きながらなんかアクションを起こしてくるのを待つか」


任されたとしても、俺だってわざわざ死地に殴り込んでいきたいわけじゃない。説得が最善なのに、殴り合いになっては意味がない。


あちら側から狙ってくれるなら好都合だ。わざわざ居場所を見つける必要が無いからな。


今の時刻は5:30ぐらいだ。さっきもそうだが、なんか時間が経つのが異様に早い。


(……こういう嫌な想像って、最近良く当たるんだよな……一応警戒するか)


気休め程度ではあるけど、薄く魔力装甲を纏って、周囲に気を配る。


この辺は大通りで、人通りもそこそこだ。いきなり攻撃を仕掛けてくることは無いと思うが……




時間はかからないので、ゆっくり歩いて帰ろうと、そう考えたその時だった。


「……っ、ま、魔物!?」


小さな路地に通じるその曲がり角の先に、人のような出で立ちの、それでいて人とはかけ離れた容姿の魔物が佇んでいた。


その視線はずっと俺だけを向いていて、溢れ出すような殺意をはらんでいた。


次の瞬間だった。




「グルブォアアアアア!!!」


「早速かよ!!畜生!」


高温を帯びた体表面をこちらにぶつけて来ようとする。当然熱くて仕方がない。


魔力装甲で体表面を防護して、俺は周囲に落ちていた小石をいくつか拾い上げ、最高速度で射出する。


そのスピードは銃弾以上である。それは頭、胸、腹と、急所を正確に貫いていく。




「ガッ……キ……サ……マ」


「何だったんだ一体……いや……まだ居やがんのか、さっさと出てこい!」


まさかこんなに早いとは思わなかったが、全員がこの程度なら、今の俺にはどうということはない。


浮遊を使って上空に上がる。人の往来が多いこの場所からはできるだけ離れたほうがいい。


(住宅地に大量に潜んでいたのか。そりゃ気が付かないわけだ)


俺の居場所を察知した、空中特化の魔物たちは、空から俺を撃ち落とそうと画策する。


「何でよってたかって俺を狙ってくるんだよ!」


浮遊だって上手く扱えるわけじゃない。だから一度地上に降りる。


まずは弾だ。俺の魔法はそれがないと話にもならない。


眼の前に現れるのは巨大な獅子……それも、さっきとは打って変わって膨大な冷気を纏っている。


ちょうど理央といる時がこんな感じだ。


もうすでに派手に暴れたようで、周囲の家がボコボコだ。




「せっかく氷が大量にあるんだ、使わせてもらおうか」


「ガアアアアアアァァッッッ」


獅子の咆哮が響き渡る。周囲はさらにぼろぼろになり、屋内にいた人はもう確実に消し飛んでいる。


俺は、周囲に散らばった氷の塊をかき集め、1つの大きな塊にする。


「くらえっ!」


ちょうどボウリングをするような感覚で、大質量の氷の塊を敵にぶつけ、他の瓦礫を容赦なくぶつけて追い討ちをかける。




(倒せた……のか?良くわかんねぇな)


膨大な魔力反応は消失した。


だが、まだ周囲にはたくさんの気配がある。


一方向から風切り音がして、魔力の衝撃波が飛んでくる。攻撃は止む気がしなかった。


(今度はムカデか!確かこないだの魔物もそんなんだったよな)


飛んでくる衝撃波をくぐり抜け、俺の魔法で絡め取る。絡め取ったらあとは簡単、自分の魔力を加えて、周りの魔物にぶつけてやればいい。


◇◇◇




「これで……最後だっ!」


ラストの魔物にトドメを刺し、俺は荒い息を吐きながら、頬の返り血を拭った。


瓦礫が積み重なったこの空間で、立っているのは俺一人だけ。このあたりが主戦場だったから、生き残りの気配はない。


魔物と目を合わせたら最後、弱者は為すすべもなく死ぬ。どっかで聞いた言葉の意味がようやくわかった。


(やってくれたな……誰が黒幕なんだよ……まさか)


後ろの方で足音がした。そこに立っていたのは。




「烏合じゃだめだね。でもずいぶん消耗したんじゃない?


島江正治」


星姫だった。




「……星姫……いや、違うな。例のサキュバスだろ。俺に用があるんなら電話してくれよ」


「知っていたの?つまんない……まさか生きていたの?あの女」


星姫の皮を被ったサキュバスは、びっくりしたような顔をした。あの女、とは美空さんのことだろうか。




「……なんのつもりだよ」


「分かるでしょ。あなたを殺すの。危険の芽は小さいうちに摘んでおかないと」


何故俺がこいつらの危険になるのか良く分からない。ただの善良な一般市民のつもりなのだがな。




「悪いが、お前に用はない。さっさとその身体の持ち主に代わってくれ」


「嫌よ、計画がめちゃくちゃになるじゃない。もうこの子から私は引き剥がせないわ。


もし私を止めたいなら、星姫ごと殺したらどう?」




「知らねぇよ。やってみなけりゃわかんないだろ。実際に試してから言ってもらいたいね」


瓦礫を魔法で持ち上げ、準備を整える。どうせあっちもこちらを殺す気だ。


星姫に対して、なんの情も抱かないほど、俺は薄情者ではない。助けられ、説得できる可能性があるならば、俺は全力で見つけ出す。




「無茶だと言っているじゃない、強情ね。いいわ、命を掛けて戦いましょう。あなたの知らない本当の殺し合いよ!!」


呪符が焼き切れた。

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