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悠久のクロスファンタジア 〜DUAL WORLD〜  作者: はとかぜ
第3章 星の魔術師編
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第94話 電話越しのお話

『まもなく、悟町。都市地下鉄住立線はお乗り換えです』


日の傾きかけた中を、俺は電車に揺られながら悟町まで戻っていた。


この数日間は、長いような短いような、いろいろなことがあったせいで時間感覚が狂ったような感じがする。


(ほんと……疲れたなぁ……ゴールデンウィークつっても、明日からまた学校挟むんだよな……一日だけだけど……)


また、あいつらと顔を合わせることになる。いつもの日常が戻ってきたって感じで、そっちのほうが楽しいけど。


急行の電車は、悟町駅に到着し、俺は一番近かった出口からホームに降りた。


斜陽がホームを淡いオレンジ色に染め上げていた。いつの間にここまで時間が経っていたのだろうか。


体感時間が馬鹿みたいに早く進んでいるのだろう。それだけ俺は熱中していたのかもしれない。




「……ま……機会があったらまた誘うか。最初はあいつなんて気にしていなかったんだけどな。


若気の至り……ってやつなのか……なんか用法が違う気がするな」




ブツブツそんなことをつぶやきながら、俺はホームの階段を上がっていく。




◇◇◇




「そう言えば、美空さんにどうやって説明しようかな……」


もう時間も夕方だし、伝えられることは伝えたい。まあ、特になにも変わりはなかったと伝えるだけだし、すぐにそのへんで終わらせてしまおう。


いや、あともう一つ……




『こんばんわ〜!もしかしてこないだの話?どうだった?』


「見た限りだと、今回の事件としてみればおかしいとこなんてなかったです。変な気配もしませんでした。


……ただ、異様に俺に執着していると言うか……なんというか……」


美空さんは電話越しでんー、と唸って、


『それって狙われてるってこと?好意とかじゃなくて?』


「それが、わからないんです。


人の本心なんてわからないけど、俺には、殺されるような心当たりなんて無かった。星姫自身も、俺に好意を抱いているような節があったし……」


『……さすがに分からないかも……とりあえず事件としては何もなかったと』


「はい……それでお願いします」


俺は近くの壁に寄りかかって、スマートフォンを持ち直した。


それで、電話を切ろうとしたけど、それを伝えたら美空さんから、まって、という言葉が飛び出した。




『……無いなら無いに越したことはないけどさ、一応これからしばらくは用心しておいて。それともう一つ』


「はい……?」


『神野星姫、彼女なんだけど、調べたら6年前、東京で家族を誰かに殺されている疑惑が出ているわ。それが一番動機として可能性が高い』


俺は耳を疑った。確かにそれだけの出来事があれば、大量殺人を起こすには動機としては十分だった。だが、


わからない。黒幕はサキュバスでは無かったのか?まさか共犯?


仮説にサキュバスの存在を含んだ場合、途端に真相がわからなくなる。


「それって……一体どういうこと何ですか?」


『……サキュバスの目的は判明しているけど、星姫をそれに関わらせる必要はない。もしくは目的自体がブラフか、他にも不可解な点がたくさん……手っ取り早く言うと、わかんない』


「っ……」


『私ではこれが限界だった。だから、無責任だけど私はあなたに任せる。一番あの子のことを理解してるでしょ?』


「俺たち会ってからまだ1週間も経っていないんですけど」


『水族館デートをしたら立派な親友よー!』


「美空さんが焚き付けたんですよね!?」


美空さんはあっけらかんとそう話した。




『それに、もどかしいんでしょ。早く真相を知りたくて』


痛いところを、と俺は思った。推理小説で結末を先に読むような、俺の性格を熟知していたんだ。


美空さんも別に昔からの知り合いじゃないのに、何でそんなに細かいところまで知っているのだろう。


「はあ……わかりました。報酬ナシはやめてくださいよ」


『そこはちゃんと支援金からだしますー。』


こんな無責任な大人にはなりたくないなぁ、と、俺は思った。


『そうそう、最後に一つ。


星姫の固有魔法は星座モチーフの魔法。分かっている限りだと、『射手座』、一直線の高火力攻撃、『水瓶座』、大量の水を生成、『てんびん座』、両者の攻撃力や防御力の操作、の、3つ。


サキュバスの方の肉体は星姫と融合していて、任意入れ替えが可能。身体そのまま、精神だけ乗っ取ることも可能らしいわ。


サキュバスの固有魔法は不明、そっちはなんとか探って頂戴。もし戦うことになったら、ぜひ活用してみてね♪』




「わかりました、じゃ、切りますね」


「ええ、ありがとうね。こんなことに付き合ってもらって」


俺は、通話を切った。


◇◇◇






夕焼けの光が差し込む病室で、護月美空はスマートフォンを持って寝っ転がっていた。


「どうなるかなぁ……危なくなるようだったら、亜紀を向かわせればいいか」


無責任なのは分かっている。だけど、結局私に勝てなければ誰にも勝てないのだ。少しでも更生の可能性は残しておきたい。




「これで良いんだよね。快征」

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