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悠久のクロスファンタジア 〜DUAL WORLD〜  作者: はとかぜ
第3章 星の魔術師編
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第90話 神野星姫 -Ⅱ-




◆◆◆


私は寝ているの?


身体の感覚がしない。


いや、暖かい?まるで布団に包まれているような。




私の視界に光が走る。


◇◇◇




「星姫ー!もう朝だから起きなさい!お姉ちゃんがご飯作ってくれているんだから」


「も、もう少し寝かせてよ。今日休日……日曜日……」


「平日も休日も変わらんでしょ」


私は包まっていた布団をお母さんに引き剥がされた。


今が凄く大変なのは良く知っていた。だから早く叩き起こしたいのは山々だったのだろう。


粗末な造りのバラック小屋の隙間から光が漏れ出す。昨日の雨から一転して、青空をチラリと覗くことが出来た。




「おねーちゃん……片腕だけでご飯作れるの?」


「だいじょーぶ!!お姉ちゃんを信じて……あっつ!?油跳ねたぁ!」


私には姉がいた。名前は神野天姫(かみのあまひめ)、顔好し性格好しで、昔は変な輩にナンパされまくっていたらしい。


やはり姉妹は似るのか、お姉ちゃんも私に負けず劣らずおっちょこちょいだった。


今は何もなければずっと家に居る。境界事変があって、そこで片腕を失ったからだ。


もう随分慣れたとは言っていたけど、お母さんが心配性だから、出来れば屋内だけの家事に済ませるように言っているらしい。


ここまで時間が経つと高位回復魔法も意味をなさない。


「私が手伝う?」


「ダメよ。まだ8歳なんだから危ないの」


「私は両腕あるもん……お姉ちゃんよりはだいじょぶ」


「あー!もう、ふくれっ面も可愛いわー!!」


お姉ちゃんがフライパンから手を離して私の頭を撫でた。何か子供扱いされている気分。いや、まだ子供ではあるけど。


「こら!フライパン離さないで!危ないしガスボンベも少ないんだから!」


「んー……もっと触っていたいのに」


お姉ちゃんは私の頭から渋々手を離した。


「じゃあ、あっちで待っていてね。すぐ出来るから」


「わかったー」


私の家族は二人だけだ。お父さんは私達だけを逃がして、自分は戦火に呑まれて亡くなった。


お姉ちゃんは3人で逃げている途中、私と、それを抱えたお母さんを庇って、魔法の流れ弾を喰らった。


正直、これが良かったと言えるのかは分からない。私たちだけでも生き延びたのを良かったとするか、それともお父さんとお姉ちゃんの左腕を気にしたほうがいいのか、


「うぅ……眠い……」


私はウトウトしながら、机に頭をぶつけそうになった。


物資も安定してきていたから、毎日缶詰生活って訳ではなくなったけど、まだ電車も都市も復興していないから、先行きの見えない不安な状況だった。


それでも私は、今の日常が好きだった。


仮設の台所の方を見ればお姉ちゃんがいて、リビングの方にはお母さんがいた。今の生活に希望を見ることが出来ていた。


「はーい、私特製の目玉焼きと、配給のかったいパン。美味しそうでしょ!!」


まあ、一つ文句を言うなら、配給のパンがクソ硬かったり、これまた配給の牛乳が、明らかに水増しした味の薄いお世辞にも美味しいとは言えないものだったり、


世界からの支援物資だったし、人が多いのは知っているし、あまり文句も言っていられる状況では無かったが、早くあったかご飯を食べたいというのが本音だった。


「あ、そう言えば、今日近くでお祭りがあるのよね。私と天姫は行ったことあると思うけど」


「私は……?」


「星姫ちっちゃかったから、覚えていないんじゃない?」


このお祭りは4年ぶりだった。今年こそは、と、このあたりの集落の人が企画してくれたものらしい。


「私もいきたい。いつからなの?」


「言われなくても連れて行くわよ。屋台とかは無いのだけど、射的くらいならあるかしらね」


かくして、その日の夜はお祭りに行くことになった。

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