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黒猫の大冒険

作者: もずみ 吟

保護猫をもらってきて、自分の住まいに慣れて来た時の話し


  黒猫の大冒険

                                          もずみ 吟


アタシは色の黒いメス猫として生まれた。

生まれた時から狭いオリの中での生活。名前も無い。

喧嘩は嫌い。だから同じオリに入っていた他の二匹のメスの白黒の猫とも喧嘩したくないからトイレもご飯も残り物しか食べていない。だから、いつも空腹だった。

一週間に一度、飼い主のお婆ちゃんがオリから出してくれるけど、家中を歩きまわる力は出なかった。

他の兄弟は二階に遊びに行っているけどアタシの力じゃ二階には行けない。悲しくてしょうがない。

 もっと自由に遊びたい…

 そんな生活が五年間も続いた。

 ある日、いつもオリから出してくれるお婆ちゃんが、アタシを抱えて外に運び出してくれた。

 何事かと思っていたら、すらりとした体系の男の人が現れた。そしてアタシを抱いて籠の中に入れた。

 アタシは何が起こったのか理解できない。

 気づくと、いつもは見慣れない光景が現れた。しかも籠に入れられたまま白い壁のお湯の出る部屋に連れていかれ、籠から出されたと思ったら、お湯をかけられていい匂いのするもので洗われ、またお湯をかけられてビショビショになった。濡れるのは嫌い。

 その後、温かい風の出る物で体を乾かしてくれた。ようやく濡れた体がすっきりした。

 そして、アタシの事をメランと名付けてくれた。

ギリシャ語で黒という意味らしい。

アタシにはよくわからないけど。メランという言葉が自分の事だとわかったのは三日経ってからだった。

 夜、アタシを連れて来た男の人が寝る時だけオリに入れる。

 でも、それ以外の時間は家の二階の部屋ならどこの部屋に行ってもいいという事が分かった。

 狭いオリの中から見るとやたらと広く感じた。遊び放題だ。

 ご飯も美味しいし、喧嘩する事に怯える事も無い。楽しくてしようがない。

遊び歩いているうちに力も付いてきた。ご主人様も優しく接してくれる。

 そんな生活が三年続いた。

 ご主人様は一階から二階に移動しているようだ。今いる部屋以外に遊び場所があるのかな?

 でもご主人様が出入りしている扉はアタシの力じゃ開けられない。じゃあ、扉が開いた隙を狙って入ってみよう。

 きっと楽しい世界が待っているんだろうな。

 そこで、ご主人様が扉を開けた瞬間に扉から飛び出して他の世界に行ってみた。

 アタシにとっては大冒険だ。しかも階段を降りる力がついてる。体が動く。昔と違う。

 そして階段下の世界は異世界と感じた。見る物全てが新鮮だ。

 ご主人様はアタシを追っかけてきて「メラン」と大声で呼ぶけど、楽しさに打ち消されてしまった。

でも二つの部屋に入って全力で走りながら見たことの無い部屋を見て回った所で、ご主人様に捕まった。

 また見慣れた部屋に抱えあげられて、いつもの部屋に連れてこられた。

 物凄く怒られたけどアタシにとっては大冒険だった。

 だってあんなにたくさん移動したのは初めてだから。

 隙を見て、また大冒険しようかな。

 うふ♡


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