27話 同好会の新メンバー
「いらっしゃ~い」
「お邪魔します」
高花の家に着き、玄関口で靴を脱いで家へと上がる。
「あれ? お友達は?」
「へ?」
気が付けば先程まで横に居た存在が見当たらず、どこかと視線を後方へとやると薄っすらと開いているドアの隙間から顔をのぞかせている龍崎の姿が見えた。
「何やってんだ?」
「だ、だってオレ他人の家に上がるのなんて初めてだし」
顔を赤くしながら慌てた様子で家の中へと入ってくる。俺も重症だと思っていたがこいつも中々だな。よくこれで高一の時、学校来れてたよな。
「初めまして。あなたが龍崎さんって言うんだね~。違うクラスの子?」
「おい高花。一応同じクラスだぞ」
「え!?」
一瞬、気まずい空気が三人の間を流れる。
「いやいやいや、冗談だよ。し、知ってるよ?」
「大丈夫だよ。オレは気にしてないから。だって不登校だしさ」
「不登校? そ、そうだったんだ」
一瞬だけ安心したかのような表情になった後に、不登校という重い言葉でまたぎこちなくなる。
「ま、まあ取り敢えずゲームしよっか。全員、モンサーやるんだよね?」
気まずい雰囲気をかき消すかのように言って高花が部屋へと案内してくれる。俺も龍崎もそれについていく。
「ていうか龍崎君はモンサー初めてなんだよね?」
「うん」
「まあでも俺達ってかなりローペースだからすぐ追いつくと思うぞ」
「だね! まあ分からないことがあればお姉さんに聞きなさい。何でも教えてあげるから」
「ありがと」
未だ緊張感の抜けない龍崎に対して、高花は持ち前の明るさで和らげようとしてくれる。そういえば高花って自分がゲーム好きなことを隠してほしいって言ってたけど、今回はオーケーしてくれたな。なんでなんだろう? 俺が三人くらいいたらもっと早く終わるんだけどな~とか言ってたからか?
「このモンスターって強い?」
「うん! 滅茶苦茶強いよ! なんたって私の相棒だからね! 可愛くて最強!」
うん? 待て待て待て待て。何かナチュラルにカラフルベイビー勧めようとしてないかこの人。
「龍崎。騙されるな。そいつはこのゲームの中でも一番弱い。おとなしく違う奴に……」
「え? でももう押しちゃったよ」
高花のアドバイスを聞いた瞬間に選択してしまったらしく、俺がそう声を掛けた時には既に手遅れであった。
「まあでも良いよ。このモンスター可愛いし」
「だよね! 一番可愛いよね! それに最強だし!」
可哀想に。今作から進化先が追加されたとはいえ、第三の島からようやく進化素材が集められるようになるとかいうかなりの鬼畜仕様である。それに進化しなければステータスも技も弱いままだし。
最初の選択でしか手に入らないモンスターの上、育てる人が少ないのか攻略サイトにすら情報が少ない。進化先が数十種類あると公式が発表していたものの、現在世界中に存在する猛者たちをしても判明しているのはわずか三形態のみであった。
その後、俺達は龍崎にモンサーの事を教えながら第三の島を進めていく。第三の島ではカラフルベイビーの進化素材を集めながらボス鍵の素材も集めていたため、最初の中ボスにすらたどり着いていなかった。
「もう第一の島、終わったの!?」
「えだってチュートリアルみたいなものでしょ? こんなのすぐだよ」
「そう言ってやるな。高花はそこをクリアするのに二日もかかったんだから」
「え? 逆にどうやってそんな時間がかけられるの?」
「何をー!」
数時間遊んだためか、すっかり龍崎も高花と打ち解けてそんな会話まで飛び交うようになる。龍崎を誘っておいてよかった。二人のままじゃクリアまでに途方もない時間がかかると思ってたからこうもゲームが上手いと助かるな。
それから俺達は晩飯の時間が始まるまでゲームを続けるのであった。
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