24話 テストの結果
「天野君、点数どうだった? 先生に褒められてたっぽいけど私に勝てるかな?」
「天野! お前の点数を教えろ」
一時間目が終わり、先生が退出した瞬間に高花と天城が同時に聞いてくる。確かに桜井先生、俺の時だけ何点か言ってなかったなとぼんやりと思い出す。
「まあでも今回は残念だけど天野君の勝ちは無いけどね。私満点だし」
「というかあのテストで俺を超えるのでも無理だろ。さあ、早く見せてくれ」
「分かった分かった。そう急かすな」
そう言って二人の目の前へ点数の書かれた答案用紙を見せる。
「えっ?」
「は?」
俺の点数を見て二人ともピシャリと固まり動かなくなる。俺がどうしようとキョロキョロしていると丁度そこに桜川と高沢が現れる。
「二人して何止まってんの? 天野っちの点数がそんなに高かった?」
「ははは、いつの間にか天野も人気者になったもんだな。どれどれ俺も見てやろう」
いつも高花や天城と仲の良い二人までが覗き込んでくる。お前ら関係ないだろ。普段ボッチの俺の所にこんなに人が集まってきたらなんか気まずいじゃねえか。
「え? 105点? やば」
四人の静寂を破ったのは後から来た桜川であった。
「いやいやいやいやおかしいだろ! どうして100点満点のテストで100点越えなんかあるんだよ!」
「なんか暇だったから最後のコラムみたいな問題を解いたら加点された。俺だって知らない」
ようやく天城のスイッチが入り、文句を言われるも点を付けたのは俺ではないため加点の理由を聞かれてもそうとしか答えようがない。第一、100点以外の点数をつけられたのは俺だって初めてだったからなんなら俺だって驚いてる。
「嘘……私負けたの?」
今でも信じられないという顔をして高花はそのまま固まっている。一方で桜川と高沢は点数勝負にはかかわっていないため二人は凄い凄い、と言ってくれる。
「天野って数学できんだな。頭良いとは思ってたけどまさかここまで頭良いとは思わなかったぜ」
高沢君、まあ君とは喋ったことないしな。というかクラスの大半と喋ったことがないわけだけど。高花と喋る前なんかほぼ一人だったしな。クラスで一人ほんの少しだけ喋れてた奴は居たがそいつも不登校になって居なくなったし。
「別に。数学だけだ」
「いや数学を出来るのがすげえんだよ」
高沢は天城とは違って純粋で良い奴みたいな感じなんだな。ただ単に天城の横で騒いでるイキリだと思ってた。今も純粋に褒められて悪い気はしない。
「嘘だ! 何かの間違いだ! こんなことがあって良い筈が……」
「ほら、奏多。もう授業始まるから席戻るよ」
「ちょ、凛。引っ張るなって。てか、天野! あの話は無しだからな! 分かってるよな!」
そう言って桜川が天城の服を引っ張って席に戻っていく。残されたのは俺と未だ信じられないのか固まっている高花だけであった。
「あの話。別に無しで良いからな」
固まっている高花を前に何となく悪い気がして、俺がそう言うも高花は首を横に振る。次にこちらへ向き直った高花の顔はどこか赤みがかっていた。
「約束だもの。今更無しにするのは不公平だよ。皆に聞かれちゃ不味いんだよね? 放課後、屋上で聞くよ」
いや、別にそんな大した事でも無いんだけど。まあ良いか。
「分かった」
俺はそれだけ返事をすると、次から始まるテスト返却の準備を始める。それからのテスト返却は集中できずに過ごすのであった。
♢
放課後、屋上には俺と高花が居た。何だか場違い感を抱きながら屋上の扉を開ける。
「何でもって言ったもんね。良いよ、言って。心の準備は出来てるから」
数歩歩いたところで高花が背を向けながらそう言う。心の準備が出来たって言うほどのもんじゃないんだけどな。何か高花がやたらと緊張感を醸し出すせいでこっちも緊張してきた。そんな大層な事を言う訳じゃないから何だか申し訳なくもなってくる。
「……いや、普通に一緒にゲームしよってだけなんだが」
「へ?」
俺の言葉に高花が気の抜けた顔でこちらを振り返る。だから大したことじゃないんだってホントに。
「そんなの同好会でやるじゃん」
「だって俺が高花としたいことなんてそれぐらいしか思いつかなかったし」
「いやもっとあるでしょ。何かほら」
そこまで言うと高花は黙り、もう一度そっぽを向く。
「ほら?」
「な、何でもない! ていうかそもそも才司が皆の前では言えないとかいうから勘違いしたんだよ!」
「だってゲームしてるのは内緒なんだろ? そりゃあ皆の前で一緒にゲームしたいとか言えるわけないじゃないか」
自分から言い出した癖に忘れたのか? まあ別に高花が良いなら別に良いんだけどさ。
「あ、あー、そういうことだったのね」
「だろ?」
ようやく高花の中にあった誤解が解けたみたいだ。良かった。何か知らんが俺のことを変態扱いしてやがったしな。
「じゃ、じゃあしょうがないから才司のお願いを叶えるためにゲーム同好会今日やるよ」
「別にいつも通りだろ」
そう言い合いながら屋上から降りていく。その日の放課後、俺達はようやく第二の島を攻略し、第三の島へと到着するのであった。
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