表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

商人の俺はカネの力で近衛騎士になったので世界平和は勇者にお願いしたいのに、聖剣を使えるのは俺だった

作者: 維瀬ゆうに

ずっと平和だった。

俺は成功した商人の息子で、今は近衛騎士をしている。


近衛騎士になる方法は2つ。剣の腕前で勝ち取るか、カネで買い取るか。

だいたいは剣の腕前で近衛騎士になっているが、俺はカネで近衛騎士になった。

平和な世界で強さとかいらなくね?


近衛騎士は楽だ。

王様の近くをウロウロしてれば、たくさん給料を貰える。

訓練はあるが、俺は1度も参加したことはない。しんどいことしなくてもカネは貰えるからね。


「後は貴族と結婚して、将来は楽に暮らすだけだなー」


たまに本音を言っちゃうのが俺の悪い癖だ。

とか反省してたら、


「おい。グレー・ゴールドアックス!早く集まれ」


兵士が俺を呼びに来た。


「魔王軍との戦略会議が始まるぞ。近衛騎士がフラフラするな」


そう。魔王軍との戦争が始まってしまったんだ。



――



「よくぞ皆様集まってくれた」


武闘派の貴族が大声で仕切ってる。

王様と貴族が大勢集まったので、城で一番広い謁見の間を作戦会議室にしている。

近衛騎士としては、彼らの護衛をする必要がある。俺はサボろうとしたんだけどね。


「なんだ?成金グレーも作戦を考えるのか」

「魔族にどうやってカネを渡すんだ?」


貴族が俺にいつものように声をかけてくる。


「そうですね。カネを渡す傭兵の雇い方を考えてるんですよ」


貴族への対応をミスると給料が減るから、強く言えない。

俺も早く偉くなりたいぜ。


「つまらない作戦はやめて、良い作戦を話し合いなさい。これは戦争なのですよ」

「これはシルビア様。本日もお綺麗ですね」


割って入ったのは、若くして騎士団最強と言われ、公爵家のシルビア・レッドフォール。

赤毛で少し釣り目。細身な体格を活かした戦い方をするらしい。

俺は訓練に参加しないので詳しくは知らない。


「お世辞はいいから真剣に考えなさい」

「おっしゃる通りです。シルビア様のそばに居られるよう努力いたします」

「そういうことは、私を守れるくらい強い者になってから言いなさい」


強い男が好きなのか。

シルビアは一番偉い貴族だし、彼女自身が強いから俺を守らせるのにちょうどいいんだけどな。

強さを条件にされるとキツイ。


「ハッハッハッ。にぎやかだが、良い作戦が飛びかってるのかな?」


遅れてやってきたのは、辺境の村からやってきた勇者アレン。金髪のイケメン。

この城の宝物庫にあった聖剣を軽々と持ち歩いている。


「アレン様。勇者であるあなたも作戦会議に参加してください。」


シルビアが俺に言ったように注意している。

しかし、アレンの口調は変わらない。


「ハッハッハッ。作戦みたいな難しいことはみんなに任せるから、僕がどこで戦えばいいかを決めてくれよ。僕がどんなに強い魔物でもこの聖剣で粉々にしてみせるさ」


この勇者の良いところは、鋼のメンタルだと思う。

流石勇者。その強さで世界を平和へ導いてくれ。


俺が強めに応援していると、遠くから大きな鳥が羽ばたく音が聞こえてきた。

音はだんだん大きくなっている。


ドッガアアアアアアアアアンッ


天井から黒い何かが落ちてきた。

俺を含めて、王様や貴族が驚きのあまり動きを止めている。


落ちてきた黒い何か、羽の生えた黒い人型が周りを見ている。

よく見ると角が2本と赤い目をしていて、2メートルほどのカマを持っている。

コレ人間じゃない!魔物じゃね?


「ヒャハハハハ。人間がたくさん。人間は皆殺し」


黒いのはヤベーことを言って、近くにいた貴族へそのカマを振り下ろす。


ザシュ


貴族はあっけなく縦に半分になった。


騎士たちは剣を抜き、魔物を囲みだす。

貴族は逃げようと、扉へ向かいだした。

俺は、誰よりも早く逃げようと、扉へダッシュする。


「ヒャッハー。誰も逃がさねぇ。プロテクションウォール」


魔物が呪文を唱えると、部屋より少し小さい範囲へ半透明の膜ができあがる。

膜に触れるとかたい壁のように感じた。

これが魔法か?魔物は魔法を使うらしい。


「うわっ、閉じ込められた。逃げれねぇ」

「おい。成金グレー。お前も戦えよ」

「うるせー。俺は弱いんだよ!」

「威張るな!」


貴族と怒鳴りあっちゃった。

一旦落ち着こう。


後ろを振り返ると、騎士たちが次々殺されている。

魔物は空中に浮かびながら、一方的にカマを振るっている。

めっちゃ不利。


魔物は王様を見つけ


「お前が一番偉い人間だな。お前も殺してやるよ」


急降下を始めた。


「ハッハッハッ。僕が相手になるよ」


勇者が王様を守るように立ちはだかり、聖剣を振りかぶる。


「邪魔するな人間」


ガギィィィィィンッ


硬いものがぶつかる音がした後、俺の近くに剣が転がってくる。

勇者を見ると、半分に切り裂かれていた。


「わお。勇者弱い」


魔物はすぐにカマを振りかぶり、王様へ襲い掛かる。


ザシュ


王様も半分に切り裂かれた。


「おのれ。魔物め!」


そこへシルビアが切り込む。

が、魔物がシルビアに気づきカマを振り上げる。


このままだとシルビアが殺される。

俺は近くの剣を拾う、すると急に体が軽くなり、すぐにシルビアの目の前へ来れた。


「させるかよっ」


ガギィィィィィンッ


魔物のカマを遠くへ吹き飛ばし、そのまま魔物へ斬りかかる。


ザシュ


魔物をナナメに切り裂く。


少し待ったが、魔物が動き出しそうな気配はない。


「危なかったー」


俺が振り返ると、シルビアがうるんだ目で俺を見上げていた。


「カッコイイ」

「おう。シルビア様は俺が守るぜ」


なんかうまくいったから、ここでポイントを稼いでおこう。


「ありがとうございます。これまでのあなたは実力を隠していたのですね。しかも、聖剣をあのように華麗に扱えるとは。あなたこそが真の勇者だったのですね」

「勇者グレー様ありがとうございます!」

「助かりました!勇者グレー様」


シルビアや貴族がワーワー言ってくる。

ん?聖剣?

俺は右手を見ると聖剣が握られていた。

そういえば、剣を拾ってから、体の調子が良くなったし、魔物の動きもよく見えていた。

これが聖剣のチカラなのか?


「元勇者アレンは、この国一番の力持ちとして聖剣を振るっていたのですが、グレー様が本当の持ち主だったのですね。そうとは知らずこれまで失礼いたしました。」


シルビアがこれまでの態度を謝ってくる。

他の貴族も同じように謝ってくる。


シルビアはこちらへ真剣な目で見つめ


「勇者グレー様。あなたこそが人々の希望です。世界平和のために、私と共に戦いましょう!」

「えー、俺は楽な人生を送りたいんだが」


たまに本音を言っちゃうのが俺の悪い癖だ。

だけど、世界を救った後のほうが楽な人生を送れそうだな。


「だけど、シルビアのためにも世界を平和にするよ」

「ありがとうございます。勇者グレー様」


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


本作について、下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。

また【― 感想を書く ―】へ正直な感想をいただけると、とても励みになります。

ブックマークもいただけると本当にうれしいです。


よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ