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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。

短編

梅雨におけるちょっとした幸せ

作者: たかせまこと
掲載日:2021/05/13

ズバリシーンはないですが、出来上がっているカップルのお話です。

苦手な方は、回避してください。

「ああ、もう!」


 家事は分担。

 同居するときに約束したわけじゃないけど、なんか自然とそうなってる。

 だから、食後に食器を片付けるのは、作らなかった方。

 今朝は君が作ったので、片づけはオレ。

 水切り籠に洗った食器を並べたあと、シンクを磨いていたら、洗面所の方から苛立った声がした。

 そのあと、君はガシャガシャと、リビングに簡易物干しを組み立て始めた。


「どうした?」

「雨続きで、洗濯が全く乾かねえ」

「まあ、梅雨だからねえ」

「なのに誰かさんが張り切って洗濯もの増やすし」

「あー……」


 全然ってことは、昨日洗った洗濯も乾いてないのかな。

 風呂場の物干しは、もう、いっぱいなんだろう。

 しかし、洗濯物を増やしたのはオレだけのせいじゃないはずだ。

 昨夜、久しぶりの休日前夜だとエキサイトしたのは、お前も同罪。

 窓の外は、どんよりとした雨空。


「コインランドリー、行く?」


 ベランダから持ってきた竿を、器用に部屋に渡して、干す場所を増やしていく君に声をかける。


「いい。これでエアコンかければ、今日中には乾くだろ」


 ボクサーパンツ。

 緩めのトランクス。

 色のついた靴下。

 五本指の靴下。

 真っ白な足袋。

 軍手。

 白のTシャツ。

 色付きランニングシャツ。

 部屋着のジャージ。

 ハーフパンツ。

 白いステテコ。

 ところどころほつれたツナギ。

 デコボコした楊柳織の襦袢。

 真っ白な和服は、白衣と書いて“はくえ”と読むのだと最近知った。

 大きめのバスタオル。

 シーツ。

 枕カバーが二枚。

 防水シーツは、オレたちが愛し合うのに必要なもの。


 次々と君が干していく洗濯物を見ていて、嬉しくなった。


「キモイ」

「ん?」

「洗濯物眺めて、何にやついてんだよ」

「いやだって、嬉しいなって思ってさあ……」

「は? 洗濯物が乾かないのが?」


 眉間にしわを寄せて、本気でボケてる君を抱き寄せる。


「洗濯物がごっちゃになってるのが」


 青空の下で気持ちよく干されているのを見ても、同じように感じたと思う。

 けどさ。

 自分ちのリビングだよ?

 ものすごくプライベートなところに、当たり前のようにごっちゃになって干されている洗濯物。


 これ、すっげー幸せでしょう。


「ふたり分の洗濯一緒に干されてたら、ホントに一緒にいるんだなあって、嬉しくなったんだよ」


 だから、また洗濯物増やしちゃっても、怒らないでね。


<end>


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