表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

短編集

手話

作者: _






 上唇にシャーペンを乗せて上を見るうわ調子。


 夕日が差し込む教室は天井だけはオレンジで汚れない。


 カタン。


 考える間にシャーペンがノートに零れた。


『……』


 ペンを拾う私の手の上に手が重なる。


『究極に暇そう』


 友達の声。彼女の声。私は暇だよって返した。



「よーし、じゃあ手相を占ってあげよう」


 人差し指を立てて提案する相手に頷いてあげる。


 頬杖に使ってない方の手を上げて診断を少し待つ。


「ほうほう、これはこれは」


 私は頬杖を捨てて話を少し見た。


「恋愛線が良い調子ですね、あなたのお近くに、あなたのことを思っている人がおられるのかもやしれませんよー」


 へえって思いながら流す。



「それは灯台のように暗く、外のように明るい。近すぎて見えないのかもしれません」


 なるほど。曖昧な答えが彼女のやり方らしい。



「愛の告白も予想がつく、そんな濃ゆい線です。おほん」


 手を口元に乗せて咳払う。


『好きです。付き合ってください。と言うでしょう』


 在り来りすぎてその通りだと思った。



「お礼の返事は私も好きでしたを希望しています」


 私は二回だけ瞬きを送って話を促す。


「おおっと、生命線はその分ペラいです。死に際は振られた友達に刺されて一瞬、これが本当のフレンドリーファイア」


 面白くはない、上手なジョーク。


「生命線はギリギリまで来ています、心当たりは?」


 彼女が朝の持ち物検査を顔パスした事実が今になって響いてる。


「感情線が、揺れてます。ふらふら、ふらふら」


 もう手相なんか必要ない。彼女はそう言って私の手を握り込む。


 ギュッと握ってズッと引き込み私の二の腕を捉えて薄ら笑み。


 傾く酒瓶のように少なく多い言葉が一つと一つ。


『占ってあげた、お礼は』



 鋭い眼差し。手汗を吸う手。孫の手も借りたい危機的状況。



『好きです、付き合ってください』



 刺される前に精一杯の返事。



『私も好きでした』



 口元がチュッと音を立てた。







他のサイトにも投稿されるらしい。そのサイトはまだできてないみたいなのであれですが。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ